ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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巨大地震で製油所8割が機能不全に

2012-10-09 10:24:26 | 地震
 8月29日内閣府は、南海トラフ巨大地震について、死者が最大32万3000人に達するとの被害想定を公表したが、その5日前、経済産業省は巨大地震の製油所施設への影響をまとめたという報道がされた。
 報道によると、経産省は、政府の中央防災会議の作業部会による中間報告を分析し、南海トラフ巨大地震と首都直下地震が発生した場合、国内の約8割の製油所施設が「液状化現象などが加われば、相当程度、機能不全に陥る」とする分析結果をまとめたという。
 その分析結果が、8月29日に発表された内閣府による南海トラフ巨大地震の予測と連携しているものかどうかは、明らかでない。
 東日本大震災の発生後、一部製油所が操業停止に追い込まれた。石油元売り最大手のJX日鉱日石エネルギーは、仙台製油所(宮城県)、鹿島製油所(茨城県)、根岸製油所(神奈川県)が地震や津波の影響で操業を停止した。3製油所の精製能力はJXの能力の5割近くを占める。また東燃ゼネラル石油や火災に見舞われたコスモ石油の各製油所も地震で操業を停止した。東日本地域の製油所11か所のうち、一時は5か所が機能不全に陥った。そのため、全国の生産能力が地震発生前に比べて3割も低下した時期があった。ガソリン不足は関東地方以北を中心に深刻な状態となった。製油所の復旧には、半年から1年かかった。
 現代文明は、石油文明である。石油は、経済社会の血液である。全国約8割の製油所施設が機能不全に陥って、復旧まで半年、1年かかるならば、その間に、わが国は極めて深刻な状態に陥る。石油というと自動車や暖房機の燃料がまずイメージされるが、工業製品から食糧まで今日、ものの生産には石油が欠かせない。石油の供給が大幅にダウンした状態が続けば、衣食住のすべてにわたって、大きな困難が生じる。まさに死活問題となる。
 ガソリンを災害時に有効活用するための石油備蓄法や石油需給適正化法の改正が急がれる。また貯蔵タンクの耐震化、貯蔵場所の日本海側・北海道・九州への分散等を早急に進め、災害に耐え、力強く立ち直ることのできる体制を整えていく必要がある。国土強靭化計画に、重要課題の一つとして入れなければならない。
 以下は関連する報道記事。

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●産経新聞 平成24年8月24日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120824/dst12082407180001-n1.htm
【巨大地震】
南海トラフ・首都直下地震 製油所8割が機能不全に 経産省調査
2012.8.24 07:15

 東海、東南海、南海などの地震が連動して起きる「南海トラフ巨大地震」や「首都直下地震」によるエネルギー供給への影響を調査してきた経済産業省が、両地震が発生した場合、国内の約8割の製油所施設が「機能不全に陥る」とする分析結果をまとめたことが23日、分かった。これを受け、同省は7月末、各製油会社に貯蔵タンクなどが両地震に耐えうるか調査を指示したが、市場や消費者のパニックを懸念して秘密裏に実施した。
 同省は、政府中央防災会議の作業部会が7月19日にまとめた両地震の中間報告を独自に分析。専門家の意見を参考に全国27カ所の製油所について調べたところ、太平洋側の海岸近くに集中する22施設で「影響を受ける」との結果が出た。耐震強度に現行法上の問題はないものの、「巨大地震による液状化現象などが加われば、相当程度、機能不全に陥る」と結論づけた。
 同省関係者は「石油貯蔵タンクは数十年に一度の地震に耐えられるが、百年に一度の巨大地震は想定していない」と断言した。



 経産省は製油会社の調査も踏まえ、貯蔵タンクなどの耐震化スケジュールを来年3月までに決める方針。耐震化に必要な設備費の補助も平成26年度に予算化する方向で調整している。
 中央防災会議作業部会の中間報告は、高さ10メートル以上の津波が11都県を襲うと想定される南海トラフ巨大地震を「東日本大震災を超え、国難とも言える巨大災害」と位置付けた。また、発生確率が「30年以内に70%」とされるマグニチュード7クラスの首都直下地震については「わが国の存亡に関わる」としている。
 昨年3月11日の東日本大震災時には、仙台市など、全国3カ所の製油施設が津波や火災で半年から1年間も操業を停止。生産能力が地震発生前と比べて3割もダウンした時期があった。
 ただ、ガソリンを災害時に有効活用するための石油備蓄法や石油需給適正化法の改正案などの関連法案は今国会成立が危ぶまれており、危機管理の行き届かない状態が続きそうだ。
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