ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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米国はデフォルトによる世界恐慌を避けよ3

2013-10-15 08:48:44 | 経済
●デフォルトの場合、米国政府が取り得る方策

 リーマン・ショックの時は、基本的には民間企業を中心とした経営破たんだった。今回は違う。米国政府そのものが、債務不履行となる寸前なのである。しかもこれが初めてでなはく、今回切り抜けてもまたすぐ危機的状況が来る。
 仮に民主・共和両党の協議が決裂してデフォルトに陥った場合、米国政府の金庫は空になる。政府が社会保障費や退役軍人給付金の支給、何千もの企業との契約を履行する支払い等をできなくなり、一般国民生活に直接的な影響が出る。
 この危機において、大統領が検討する可能性のある措置として以下が挙げられる。

①政府資産の売却
 財務省が、金やモーゲージ担保証券(MBS)など政府保有資産を一部売却する。ただし、資産の投げ売りとなる可能性があり、大した時間稼ぎにはならないと見られる。

②米国憲法修正第14条の拡大解釈
 修正第14条の第4節は、法によって認められた合衆国の公共負債について、問題にされることはない(shall not be questioned)としている。同条項に基づき、大統領は、議会の承認を必要とすることなく債務上限を引き上げることが可能という見方がある。ただし、従来政府関係者は否定してきた。強行すると反発は大きいだろう。

③支払いの優先順位付け
 支払いに優先順位をつけ、政府の給付金受給者への給付金支給、政府職員の給与、外部契約者への支払いを延期する。ただし、そう長い間、延期はできない。特に社会保障費の支払い延期は、受給者にとっては死活問題となる。

④FRBからの支援
 米国では、事実上政府に通貨発行権がない。通貨発行権を持つFRBが政府を支援し、市場に介入して財務省の代わりに借り入れを行う。ただし、民間銀行のFRBが政府に代わって財政政策を実施することになるので、FRBの役割の変更だけでなく、国家体制の変革ともなる。

 これらの方策は、どれもこれなら事態を打開できるというだけの充分有効性を持った方策ではなく、また弊害を生むことを避けられない。
 アメリカ政府が抱える財政赤字は、1京6000兆円以上に膨らんでいる。1京とは、1万兆円である。全世界の総生産高の2倍以上の金額である。日本の財政赤字など、比較にもならない規模である。アメリカが財政破綻すると、信用が失墜し、米国債は暴落する。だが、アメリカが他の国と違うのは、ドルは基軸通貨だということである。そこで、デフォルトをきっかけに、アメリカが新ドルを発行し、債務を帳消しにするだけでなく、ドルを保有する米国民や外国人から富を吸い上げるのではないかという観測もある。
 わが国は、アメリカの圧力で、大量の米国債を買わされている。安全保障を依存している関係で、米国債は売るに売れない。だが、中国はどこかの段階で、世界で最も多く保有する米国債を一気に売りに出し、アメリカ経済を潰して、世界の覇権を握ろうと世紀の大勝負をかけるかもしれないという見方もある。これは本当の意味の通貨戦争となるだろう。

 次回に続く。

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