ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

北朝鮮のグアム攻撃計画への防備を

2017-08-14 09:34:10 | 経済

 北朝鮮の米領グアム攻撃計画をめぐるここ数日間の報道を、ざっとまとめてみました。

 8月8日、米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、北朝鮮がICBMに搭載できる小型核弾頭の製造に成功したと国防情報局(DIA)が分析していたことを報道。DIAは北朝鮮が保有する核兵器の数を従来の推定を大幅に上回る「最大60発」としていると伝えました。
 北朝鮮は7月4日、28日に相次いでICBMの発射実験を行ってICBMを完成し、ほぼ米本土を射程圏内に収めたと見られますから、もしICBMに搭載できる小型核弾頭の製造にも成功しているとすれば、米国への脅威はすでに現実のものとなったことを意味します。
WP紙の報道と同じ8日、トランプ大統領は、「北朝鮮はこれ以上、米国にいかなる脅しもかけるべきでない。(さもなければ)世界が見たこともないような炎と怒りに見舞われることになる」と述べ、武力行使の構えを示唆して強く警告しました。

 これに対し、翌9日、北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍司令官は、中長距離弾道ミサイルと称する「火星12」で「グアム島周辺への包囲射撃を断行する作戦案を慎重に検討している」と警告。4発を同時にグアム沖30~40キロの海上に撃ち込む計画案で、「8月中旬までに最終完成させる」と表明。「火星12は、島根県、広島県、高知県の上空を通過することになり、射程3356・7キロを1065秒間飛行した後、グアム島周辺30~40キロの海上水域に着弾することになろう」と説明しました。
 同日、マティス米国防長官は、金正恩体制に対し「体制の終焉や自国民の破滅につながるような行動を検討するのをやめるべきだ」と警告。「自らを孤立させる道を選ぶことをやめ、核兵器を追い求めるのを断念しなくてはならない」と指摘しました。
 同日、米NBCテレビは、国防総省が北朝鮮に対する先制軍事攻撃の選択肢の一つとして、米空軍のB1戦略爆撃機による北朝鮮の弾道ミサイル発射基地などに対する精密爆撃を実行する準備を整えたと報道。グアムのアンダーセン空軍基地に配備されているB1爆撃機を使用。戦闘機による護衛と電子戦機や空中給油機の支援の下、北朝鮮国内にある約24カ所のミサイル基地や実験場、関連施設などを攻撃可能。トランプ大統領による命令があれば、いつでも実行できる状態にあるとのことです。

 10日、朝鮮中央通信は、前日「敵基地攻撃能力」保有の検討に言及した小野寺五典防衛相や安倍晋三首相を名指しで非難し、「日本列島ごときは一瞬で焦土化できる能力を備えて久しい」と威嚇する記事を掲載しました。
 米朝の緊張がかつてなく高まり、わが国も直接威嚇をうけるなか、小野寺防相が10日、衆院安全保障委員会での質疑で答弁。北朝鮮が米領グアムを狙って弾道ミサイルを撃った場合、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に認定し、自衛隊のイージス艦が迎撃することは法的に可能だとの認識を示し、「武力行使の新3要件に合致すれば対応できる」と述べました。また、自衛隊は守りに徹し、米軍が打撃力を行使する日米同盟の役割分担に言及し、「日本の安全保障にとって、米側の抑止力・打撃力が(攻撃を受けて)欠如することは、日本の存立の危機に当たる可能性がないとはいえない。いずれにせよ3要件で判断する」と回答しました。

 翌11日、わが国政府は、北朝鮮がミサイルが上空を飛行すると名指した島根、広島、高知の3県と愛媛県の陸上自衛隊駐屯地に、空自の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を展開する方針を決定しました。12日までに展開を完了しました。



 PAC3は、米領グアムを目指して高高度を飛ぶ北朝鮮の弾道ミサイルを撃ち落とす能力を持っていません。今回の中四国への展開は、主にイージス艦から発射される迎撃ミサイルSM3が弾道ミサイルの破壊に成功した場合、日本に落下してくる部品や破片を低高度で破壊して、地域住民の生命と財産への被害を防ぐもの。ただし、弾道ミサイルが不具合で、グアム方面まで飛ばず、失敗して日本に落下してくる可能性もあり、それを迎撃する備えにもなります。

 今後の北朝鮮及び米国の動きが注目されます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿