2020年(令和2年)1月下旬から、中国武漢発の新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大しています。米国は、感染者・死亡者とも世界最大となっています。その中で、11月3日に大統領選挙が行われました。現職の共和党ドナルド・トランプ大統領と民主党のジョー・バイデン元副大統領の戦いです。この選挙でバイデン側によって不正行為が行われたとの証拠・証言が多数出て混乱が生じており、11月19日現在、勝者が公式には決まっていません。
こうした中で、トランプを支持する米国のキリスト教保守派の間には、今回の大統領選挙を善と悪の戦い、神と悪魔の戦いととらえ、さらにトランプを救世主とする見方が現れています。いかにもキリスト教的な発想です。また、法輪功系のメディアである大紀元は、世界的に有名な予言者ジーン・ディクソンの予言を、今年(2020年)の世界的な出来事、すなわち武漢ウイルスの感染拡大と米大統領選挙とに結びつけて解釈しています。ともに宗教社会学的に興味深い現象です。
私はジーン・ディクソンについて20数年前に調べたことがあります。彼女を有名にしたジョン・F・ケネディ暗殺の予言のように見事に的中したことが多くある一方、1980年代以降の世界に関する予言はひどく外れています。例えば、次のようなものです。
1980年代:米ソが同盟を組んで、共産中国と戦う。ソ連が中東を侵略し、中東全土を征服する
1984年:アメリカの歴史上初めて女性大統領が誕生する
1985年:キューバのカストロ首相が暗殺される。彗星が地球に衝突。20世紀最大の惨事となる
1986年:宇宙人の住む新しい惑星が発見される
1999年:地球の地軸が傾き、気候の大変動がおこる。ソ連の核ミサイルがアメリカに降り注ぐ
2000年:ローマ連合軍が核兵器を発射し、ソ連を撃破する
2000年まで:1962年2月5日に中東で生まれる人物が、20世紀末までにすべての宗教を統一して、世界の改革を実現する
2000年ごろ:中国軍とモンゴル軍が中東で戦争を起こし、イスラエルの勝利に終わる。この勝利を経て、ユダヤ教の国イスラエルで、イエス=キリストが救世主と認められる
2005年:中国が世界制覇のための戦争を起こす。中国は北欧諸国まで侵略する。戦争は19年続く
こういう具合です。彼女の過去の予言の評価を台無しにするような外れっぷりです。
彼女が水晶玉を使って見たという人類未来史の最後は、新約聖書のヨハネの黙示録に書かれたとされる神とサタンの最終戦争がハルマゲドンの地で起こり、イエス=キリストが再臨して、イエスを信じる者は救われるという典型的なキリスト教の終末論となっています。
私は以後、彼女の予言に関心を向けることはありませんでした。この度、久しぶりにジーン・ディクソンの予言に言及しているものに触れましたので、チェックしておきたいと思います。
大紀元系のビデオが伝えている内容の概略を記します。
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アメリカ人女性予言者であるジーン・ディクソン(Jeane Dixon、1904–1997年)は、20世紀のいくつかの予想外で驚くべき出来事を予言した。彼女は晩年、乱世に希望を持たせる予言を残した。
ジーンの最期の予言は2020年に関する予言である。彼女は1997年にこう予言した。
「人類の希望は東方にある。世界を一変させる人が東方で現れる。彼は神の知恵を人々に伝え、互いの愛で人類を一つにするために、新しい大同世界を作り上げる」
ジーンの預言は多くの古代の大きな預言と一致している。500年前のフランスの大予言者ミシェル・ノストラダムスは『諸世紀』で「一人の東洋人が神の慈悲で世界を贖い、すべての人は彼の神の杖に打たれて目覚めるだろう」と語った。ジーンのこの予言は、また長らく伝えられてきた東方の予言、「東方でこの世を救う聖人が現れる」とも一致している。
善悪の大決戦、是非の選択が未来を決める。2020年に向けてジーンはまた大きな予言をした。人類は運命の焦点となる是非の問題の選択、ハルマゲドンの試練に直面する。この予言は実質的に、「人類の希望は東方にある。世界を一変させる人が東方で現れる」の予言の続きである。彼女はまたこの期間中に救世主が人間世界に再臨するとも語った。
ジーンは1971年に出版された書籍『栄光への招待(The Call to Glory)』でこう語った。
「末日の善悪の大決戦が2020年に到来し、その時になると偽預言者、サタン、反キリスト者が人類と対陣して戦う。この善悪の戦いにおいて、人間世界は信仰に対する変革と復興の洗礼を受け、最終的に信仰がよみがえる。人類は創世主に対する忠誠な信仰を固め、そして生まれ変わる」
https://www.youtube.com/watch?v=ekTgPX8x8Hg
https://www.youtube.com/watch?v=dVkdYOgpLtk
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こうした法輪功関係の掲示は、善と悪の戦いにおける悪を中国共産党とし、東方に現れる指導者とは中国に現れる精神的な指導者であることを示唆しています。その主張の裏付けとして、ジーン・ディクソンの予言を引いています。確かにディクソンは、共産中国の誕生と強大化、世界に与える脅威と破壊を予言し、その克服を人類に警告しました。しかし、彼女が語った人類未来史の展開は、まったく実際の歴史と異なっています。また、彼女が予言した東方に現れる指導者は、具体的に1962年に中東に生まれる人物とされています。そうした彼女の予言を以って、主張の裏付けとすることには、はなはだ無理があります。
なお、私はキリスト教徒ではなく、また法輪功の学習者でもありません。米国のキリスト教保守派や法輪功の思想を支持していません。一つの宗教的な社会現象として取り上げたものです。
こうした中で、トランプを支持する米国のキリスト教保守派の間には、今回の大統領選挙を善と悪の戦い、神と悪魔の戦いととらえ、さらにトランプを救世主とする見方が現れています。いかにもキリスト教的な発想です。また、法輪功系のメディアである大紀元は、世界的に有名な予言者ジーン・ディクソンの予言を、今年(2020年)の世界的な出来事、すなわち武漢ウイルスの感染拡大と米大統領選挙とに結びつけて解釈しています。ともに宗教社会学的に興味深い現象です。
私はジーン・ディクソンについて20数年前に調べたことがあります。彼女を有名にしたジョン・F・ケネディ暗殺の予言のように見事に的中したことが多くある一方、1980年代以降の世界に関する予言はひどく外れています。例えば、次のようなものです。
1980年代:米ソが同盟を組んで、共産中国と戦う。ソ連が中東を侵略し、中東全土を征服する
1984年:アメリカの歴史上初めて女性大統領が誕生する
1985年:キューバのカストロ首相が暗殺される。彗星が地球に衝突。20世紀最大の惨事となる
1986年:宇宙人の住む新しい惑星が発見される
1999年:地球の地軸が傾き、気候の大変動がおこる。ソ連の核ミサイルがアメリカに降り注ぐ
2000年:ローマ連合軍が核兵器を発射し、ソ連を撃破する
2000年まで:1962年2月5日に中東で生まれる人物が、20世紀末までにすべての宗教を統一して、世界の改革を実現する
2000年ごろ:中国軍とモンゴル軍が中東で戦争を起こし、イスラエルの勝利に終わる。この勝利を経て、ユダヤ教の国イスラエルで、イエス=キリストが救世主と認められる
2005年:中国が世界制覇のための戦争を起こす。中国は北欧諸国まで侵略する。戦争は19年続く
こういう具合です。彼女の過去の予言の評価を台無しにするような外れっぷりです。
彼女が水晶玉を使って見たという人類未来史の最後は、新約聖書のヨハネの黙示録に書かれたとされる神とサタンの最終戦争がハルマゲドンの地で起こり、イエス=キリストが再臨して、イエスを信じる者は救われるという典型的なキリスト教の終末論となっています。
私は以後、彼女の予言に関心を向けることはありませんでした。この度、久しぶりにジーン・ディクソンの予言に言及しているものに触れましたので、チェックしておきたいと思います。
大紀元系のビデオが伝えている内容の概略を記します。
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アメリカ人女性予言者であるジーン・ディクソン(Jeane Dixon、1904–1997年)は、20世紀のいくつかの予想外で驚くべき出来事を予言した。彼女は晩年、乱世に希望を持たせる予言を残した。
ジーンの最期の予言は2020年に関する予言である。彼女は1997年にこう予言した。
「人類の希望は東方にある。世界を一変させる人が東方で現れる。彼は神の知恵を人々に伝え、互いの愛で人類を一つにするために、新しい大同世界を作り上げる」
ジーンの預言は多くの古代の大きな預言と一致している。500年前のフランスの大予言者ミシェル・ノストラダムスは『諸世紀』で「一人の東洋人が神の慈悲で世界を贖い、すべての人は彼の神の杖に打たれて目覚めるだろう」と語った。ジーンのこの予言は、また長らく伝えられてきた東方の予言、「東方でこの世を救う聖人が現れる」とも一致している。
善悪の大決戦、是非の選択が未来を決める。2020年に向けてジーンはまた大きな予言をした。人類は運命の焦点となる是非の問題の選択、ハルマゲドンの試練に直面する。この予言は実質的に、「人類の希望は東方にある。世界を一変させる人が東方で現れる」の予言の続きである。彼女はまたこの期間中に救世主が人間世界に再臨するとも語った。
ジーンは1971年に出版された書籍『栄光への招待(The Call to Glory)』でこう語った。
「末日の善悪の大決戦が2020年に到来し、その時になると偽預言者、サタン、反キリスト者が人類と対陣して戦う。この善悪の戦いにおいて、人間世界は信仰に対する変革と復興の洗礼を受け、最終的に信仰がよみがえる。人類は創世主に対する忠誠な信仰を固め、そして生まれ変わる」
https://www.youtube.com/watch?v=ekTgPX8x8Hg
https://www.youtube.com/watch?v=dVkdYOgpLtk
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こうした法輪功関係の掲示は、善と悪の戦いにおける悪を中国共産党とし、東方に現れる指導者とは中国に現れる精神的な指導者であることを示唆しています。その主張の裏付けとして、ジーン・ディクソンの予言を引いています。確かにディクソンは、共産中国の誕生と強大化、世界に与える脅威と破壊を予言し、その克服を人類に警告しました。しかし、彼女が語った人類未来史の展開は、まったく実際の歴史と異なっています。また、彼女が予言した東方に現れる指導者は、具体的に1962年に中東に生まれる人物とされています。そうした彼女の予言を以って、主張の裏付けとすることには、はなはだ無理があります。
なお、私はキリスト教徒ではなく、また法輪功の学習者でもありません。米国のキリスト教保守派や法輪功の思想を支持していません。一つの宗教的な社会現象として取り上げたものです。
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