ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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ユダヤ148~ユダヤ文明と日本文明の共通点・相違点

2018-01-06 10:59:39 | ユダヤ的価値観
●ユダヤ文明と日本文明の共通点・相違点

 私は、ユダヤ的価値観の超克、セム系一神教の脱皮、それらによる人類の共存共栄の実現を促進するために、日本文明には、果たすべき大きな役割があると考える。
 日本文明については、拙稿「人類史の中の日本文明」に書いた。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion09c.htm
 ここでは簡単に記すと、日本文明は、古代の東アジアにおいて、シナ文明の周辺文明だった。大陸から水田灌漑稲作、漢字、律令制度等を摂取した。しかし、7世紀から自立性を発揮し、かな文字、和漢混交文、和歌等を生み出した。そして、早ければ9世紀~10世紀、遅くとも13世紀には一個の独立した主要文明になった。最も大きな特徴的な要素は、神道、皇室、武士道である。比類ない個性を持つ日本文明は、江戸時代に熟成期を迎え、独創的な文化を開花させた。それほど豊かな固有の文化があったからこそ、19世紀末、西洋近代文明の挑戦を受けた際、日本は見事な応戦をして近代化を成し遂げ、世界で指導的な国家の一つとなることができた。
 日本文明は、西洋近代文明の技術・制度・思想を取り入れながらも、土着の固有文化を失うことなく、近代化を成功させた。日本の後発的近代化は、西洋化による周辺文明化ではなく、日本文明の自立的発展をもたらした。この成功が、他の文明に復興の目標と方法を示した。
 現代世界において、日本文明は、世界の主要文明の一つとして、独自の文化を誇っている。近代西洋文明の精華を取りいれて、科学技術を活用・開発している半面で、日本古来の伝統・文化・国柄を保っている。また東洋諸文明から伝来した宗教・思想・芸術等を保持しつつ、独創的に発展させている。
 次に、こうした日本文明をユダヤ文明と比較するならば、共通点としては、まず固有の民族宗教を文明の中核に持つことがある。また、ともに直系家族の社会が生んだ文明であること、婚姻制も内婚制であることが挙げられる。
 だが、ユダヤ文明と日本文明の相違点は、共通点より遥かに多い。
 まず、第一に、文明の中核にある宗教が、ユダヤ文明ではセム系一神教の元祖・ユダヤ教であり、日本文明はそれが非セム系多神教に分けられる神道である。ユダヤ教は、神ヤーウェ以外の神や霊的存在を崇拝することを偶像崇拝として否定する。これに対し、神道は自然の事象、人間・動物・植物等を広く神として崇める。
 第二に、民族の歴史・構成については、ユダヤ民族は、数千年にわたって各地に離散した体験を持つ。これと全く対照的に、日本民族は、日本列島という一所に定住し、1万年以上にわたって持続・繁栄してきた。
 第三に、ユダヤ民族は、苦難の歴史の過程で、早くに王統が絶滅した。これに対し、日本民族は、古代から今日まで皇統が連綿として一系で継続している。王統を持たないユダヤ民族は聖書によって集団を統合し、皇室を戴く日本民族は天皇を中心として集団が統合される。
 第四に、人と人、人と自然のかかわり方については、ユダヤ文明は対立・支配を追求する文明であり、日本文明は調和・融合を求める文明である。ユダヤ文明は他文明との争いの歴史を生き抜いてきた。これに対し、日本文明には宗教戦争がない。ほかの諸文明から流入した宗教を共存させてしまう。また、集約的灌漑水田稲作による米作りを通じて、自然と調和しつつ、持続可能な発展を続けてきた。
 第五に、他の文明との関係については、ユダヤ文明は主要文明に従属しつつ、逆にその文明の中核にまで浸透していくタイプの周辺文明である。これに対して、日本文明は一国一文明の自立性の高い主要文明である。
 こうした相違点は、日本文明がユダヤ文明の弱いところや欠けているものを提示し、さらにそれらを補い得る点でもある。

 次回に続く。

関連掲示
・拙稿「人類史の中の日本文明」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion09c.htm

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