ほそかわ・かずひこの BLOG

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人権231~国連の組織・機関

2015-11-28 09:43:11 | 人権
●国連の組織・機関

 国連憲章は第1条に「連合国=国連」の4つの目的を定めたが、それらの目的を達成するために、6つの主要機関が設けられた。総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所及び事務局である。このうち、国際的人権保障にかかる主な機関は、総会、経済社会理事会である。
 国連は、連合国という軍事同盟のもとに、国際人権保障制度を創設した。経済的、社会的、文化的権利をはじめ、政治的、市民的権利など、国際的に受け入れられるよう権利の定義を行ってきた。同時に、これらの権利を促進し、擁護するとともに、各国の政府がその責任を果たせるように支援する機構を作り上げた。また、国際人権文書の作成、人権にかかる啓発・教育・訓練、個人通報の処理、国別・テーマ別の人権問題の研究と決議等、人権の保護と促進のための活動をしてきた。
 こうした活動に関し、国連総会は、人権の保護および基本的自由の実現を援助するため、研究を発議し、勧告することを任務の一つとする。憲章第13条1項bに定めるところである。総会は国際人権文書草案を全体会議で採択することによって、国際人権基準を設定する中心的役割を果たしてきた。総会が採択した世界人権宣言・人種差別撤廃宣言・女性差別撤廃宣言等は、勧告的な効力しか持たないが、国際人権基準を各国に提示するものとなってきた。これらの宣言に基づいて、国際人権諸条約が起草され、総会で採択された。
 総会の役割は人権基準の設定にとどまらず、人権諸条約の条約監視機関の年次報告を受領・検討し、必要な場合には勧告を行う。また加盟国の重大な人権問題を取り上げて討議し、人権侵害を非難する決議をし、あるいは人権の尊重を呼びかける勧告を採択してきた。
 次に専門機関としては、1946年に経済社会理事会の補助機関として人権委員会(Commission of Human Rights)が設立された。人権委員会は、当初単一の国際人権憲章の作成を目指した。だが、これは容易ではないことがわかり、まずすべての国によって尊重されるべき人権の具体的な内容を示す宣言を発し、一定の人権に関しては条約の形式を取るとることとし、その実施措置について検討を行った。こうして、人権委員会の起草によって、1948年に採択されたのが世界人権宣言である。
 人権委員会はその後、人権理事会に改組されている。また、その他の専門機関として、高等弁務官事務所が設けられるなどして、国連の国際的人権保障機関は強化されてきた。
 なお、国連の主要機関の一つである国際司法裁判所(ICJ)は、いち早く1945年に発足した。ICJは国家間の法律的紛争、即ち国際紛争を裁判によって解決、または法律的問題に意見を与えることを役割とする機関である。ICJの設置によって、国家間の問題を国際機関に提訴することができる仕組みができた。もっとも裁判が成立するためには紛争当事国の合意が必要である。そのため、ICJ設立後、国際紛争のうちICJで扱われた紛争はごく一部にすぎない。ICJは国連総会および特定の国連の専門機関が法的意見を要請した場合には勧告的意見を出すことができる。当事者となりうるのは国家のみであり、個人や法人は訴訟資格を持たない。ICJは人権裁判所ではなく、国際人権保障制度に直接関係する機関ではない。国連には、直接人権問題を取り扱う人権裁判所は、いまだ設立されていない。

 次回に続く。