ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

アベクロだけでなく、クロブタに注目!

2013年07月12日 | 2013年からの資産運用
  NYの株式市場が史上最高値を更新しました。そして日本の株式市場もやっと落ち着きを取り戻したように思われます。例のアベチャン指数を見ておきましょう。

          11月13日    4月3日        5月22日     6月14日    7月11日
日経平均  8,661円     12,362(43%)    15,627(80%)    12,445(44%)    14,506(67%)  
円レート    79円       93 (18%)        103 (30%)     94 (19%)       99 (25%)


  私の旅行前の水準から本日まで円ドルレートは5円の円安、それに連動して株価は16%ほど戻しました。カップリングは続いていますね。この間、誰が買って誰が売っているか。しっかりと見ておきましょう。とても面白ことが生じています。

  昨年11月のアベちゃん宣言以来5月23日の暴落まで、ほとんど一貫して外人が買い個人が売っていました。暴落以降「あー、やっちゃいましたね」と私が書いたように買いに転じたのですが、それはほんの束の間でした。私の留守中及び先週末までの3週間の投資家別売買動向では、再び外人が8,938億円も買い、個人がほとんどその分の8,685億円を売り越しています。私に言わせれば、「これでホットひと安心」です。

  ニュースでは相変わらず「ボーナスを手にした個人が取引口座を新規に開設し、アベノミクスに乗じて株を買っている」ことになっています。そりゃ買う人もいるでしょうが、差し引き合計は全く逆です。ここまで10兆円も買ったのに動きが鈍ってしまった株を、外人のみがあきらめきれずに買い続けているのです。

  よかったですね。個人は証券会社にもマケズ、アベノミクスにもマケズ、昨年11月以来ただひたすら売っています(笑)。

  〇けい新聞などは株とともに生きている新聞なので(笑)、こうした都合の悪い記事は少なくとも目立っては書きません。書かなければウソをついたことにならないので、黙殺するのでしょう。このブログの筆者は何のしがらみもない正義の味方なので(笑)、読者のみなさんが道をあやまらないよう、「不都合な真実」こそをしっかりと書いていきます。


  さて、今日の話題は日銀のクロちゃんについてです。

  昨日日銀は金融経済月報で景気の現状について「持ち直している」とし前月の「持ち直しつつある」から判断を引き上げています。久々に明るい笑顔のクロちゃんを見ました。よかった、よかった、のですが・・・はたしてこれはクロちゃん効果でしょうか?

  クロちゃんは4月初めの就任以来、「異次元の金融緩和」によりデフレを克服すると謳いあげ、そのための強烈な資金供給を行っています。国債をめちゃくちゃ買い上げ、日銀のバランスシートを膨らませ、マネタリー・ベースを増やしました。それがどれくらい増えたかといいますと、3月末の138兆円が3カ月後の6月末には173兆円と35兆円も増やしました。それが果たして我々の手元に回ってきているのかが問題です。

  市中に出回るオカネの量はマネー・ストックと言います。3月末に1,141兆円だったものが1,158兆円と17兆円増加しました。

えっ?日銀は資金を35兆円も増加させたのに、市中に回ったのは17兆円?誰が食べちゃったの?
答えは日銀です。以前も説明したように、金融機関は国債を売ったオカネを日銀にある自分の当座預金に、ひたすら「ブタ積み」しているだけなのです。

じゃ、本来ならいくら市中のオカネが増えるべきかといいますと、次のように計算できます。

日銀のマネタリー・ベースが138兆円のとき、
市中のオカネのマネー・ストックは1,141兆円だった。
ということは、その倍率は

     1,141 ÷ 138 = 8.3倍

それを適用すれば、市中に増えるはずのオカネの量は日銀が35兆円増やしたので

     35兆円 X 8.3 = 290兆円  増えるハズ

なのにたったの17兆円しか増えていないのです。

  経済が「持ち直している」のはご同慶の至りなのですが、それが日銀のお蔭さまでないことは明らかです。

  いつだったか、読者のどなたかとこのブログ上で岩田規久男の「デフレ克服論」について議論しました。どなたかだったか、記憶が鮮明でなく申し訳ないのですが、議論はこうでした。

〇〇さんコメント
岩田規久男の著書で、日本のデフレの原因が日銀の政策の間違いであることがよく理解できました。

はやし
岩田氏の議論は単に「気合いダ、気合いダ、気合いダ」と言っているだけです。

〇〇さん
いいえ、気合いでなく理路整然と説明されています。

はやし
彼の著書のどこを見ても資金がどう市中に回っていくかの説明はなく、「総裁と理事を入れ替えろ」としか書いてありません。それを私は「気合いダ」と言っているのです。

  以上のような議論をしました。覚えていらっしゃる方もおられるでしょう。そしてなんと当のご本人がクロちゃんと一緒に理事にご就任されています。就任後も依然としてクロイワコンビから、資金循環の合理的説明はありません。
   
  日銀の供給量以下しか市中のオカネが増えないという「不都合な真実」は、7月9日に日銀から6月までの統計が発表されたのですが、また報道からは忽然と消えてしまっているようで、少なくとも私の眼にはとまりません。

  実はこのブタ積み、簡単に見逃すわけにはいきません。何故なら、今の世界のあらゆる市場はFRBの資金供給のさじ加減で動いているのですから。今後はアベクロコンビだけでなく、「クロブタちゃん」の動きもしっかりと見ておく必要があります。

  あー、どーやらやっと時差ぼけから抜け出すことができたようです(笑)
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北欧から学ぶもの

2013年07月09日 | 旅行

  2週間の旅行中、1週間は家内の友人のいるスウェーデンのストックホルムで過ごしました。友人は日本人の女性で、スウェーデン人の夫と二人の子供の4人暮らしです。この国では当たり前ですが夫婦共稼ぎで、典型的中流家庭と言ってよいと思います。彼が日本に暮していたこともあり、日本とスウェーデンの暮らしについて、長々と話を聞くことができました。今後の日本のあり方を考える上でみなさんの参考になればと思い、アップすることにしました。

  まず今回巡った3カ国の比較を見ておいてください。悪い癖ですぐ数字を比較しますが(笑)、2012年の3カ国と日本の一人当たりGDPを比較しますと、ドル建てで以下のとおりです。

・ノルウェー  99,400ドル3位
・デンマーク  56,200ドル7位
・スウェーデン 55,100ドル8位
・日本     46,700ドル13位、 2割の円安を加味すると37,400ドル25位


  産油国ノルウェーの約10万ドルという所得の高さには本当に驚かされますが、そうでない他の2国もすごい高所得でいずれも世界のベストテンに入っています。日本は比較時点の12年は13位ですが、その後の2割程度の急激な円安を勝手に割り引いて計算すると推定3万7千ドル程度と25位くらいに順位も落ちます。

  もっとも物価もこの比率で3国ともチョー高かったです。最初のノルウェーのセブンイレブンで500mlのただの水を買ったら、なんと700円近かったので、思わずガマンしようかと思ったくらいです。ちなにみ翌国債比較されるビッグマック指数を自分で見た値段で見ますと、

日本     340円
ノルウェー  700円
スウェーデン 550円
デンマーク  450円

という感じでした。高いですよね、700円は買うのをためらいます。


  それでも所得も高いスウェーデンの人々はとても幸せに暮らしていました。彼ら二人を通じてその暮らしぶりを簡単にまとめてみます。

  よく言われる高福祉高負担の社会システムはかなり徹底していて、納税者意識の高さには驚かせられます。自分たちはしっかりと税金は払う、そのかわり十分にリターンは返してもらうし、税金の使い道は徹底的にチェックすると言うのです。

  例えば、市長や議員の歳費の使途は、一枚一枚のレシートのすべてが公開されていて、出張でどのホテルのいくらの部屋に泊まり、何を食べいくらのワインを飲んだかまでわかるのだそうで、無駄使いをすればたちまち批判を浴び、選挙で落とされるそうです。公費での贅沢三昧を批判された元知事がそのまま国会議員になる国とは大違いのようです。

  所得税(30-70パーセント)と消費税(物により5―25パーセント)はとても高いのですが、普通の家庭の人びとはしっかり払いしっかりリターンを受取るそうです。子供たちの教育費は保育園から大学まですべて無料。育児中の両親の給与は父親分プラス母親分で2年分は企業でなく国家が支給するため、負担のない企業は育児休暇に嫌な顔もせず、両親は育児に専念できます。そもそも一般の社員に残業などあり得ないため、保育園の送り迎えも時間に余裕があるそうです。そしてもちろん医療費も無料。充実した社会保障は老後を含め国民生活に大変な安心感をもたらしてくれるそうです。そのためもうとても日本には帰れないと夫妻は話していました。

  おもしろいことにスウェーデンの税率はとてもフレキシブルに変更されるので、税理士泣かせだそうです。例えば外食を奨励するために外食の税率を25%から10%に変更しましたが、外食産業に増収がなかったのですぐにとりやめ、元に戻したそうです。同様に、企業に対する様々な税率もしょっちゅう変更されるそうです。国民がその結果をしっかりと見張っているため、政策当局は必至で効率を上げようとするそうです。

  家内の友人の日本人女性はじつは税理士の資格を得て、その辺りの事情に詳しいのですが、変更には翻弄されると言っていました。彼らは夫婦共稼ぎをしています。子供は二人いますが、夫婦が平等に休暇を取りながら面倒をみています。男女は権利も義務も驚くほど平等で、アメリカのようなレディーファーストもないほど徹底しているそうです。

  スウェーデンの人口は約930万人と非常に少なく、世界的に有名な企業も多くありません。車で言えばボルボは昔ほどのシェアーではなく、サーブは見る影もありません。最近ではスウェーデンブランドで気を吐いているのはH&M(衣料品のへネスアンドマウリッツ)とIKEA(家具・家庭用品など)くらいと言ったらいいすぎでしょうか。私のうちにはエレクトロラックス社のワイアレス掃除機があり便利に使っていますが、余り有名とはいえませんね。

  しかし、スウェーデン人は世界で競争力のある企業でなくとも、人生を十分に楽しむ働き方のできる企業を働き先として選ぶそうです。ほとんどの企業では残業はさせないし、労働者も経営者も残業はしない。そして権利として認められている休暇はよほどのことがない限りすべて消化し、もし消化できなくても五年間持ち越し可能。最後は買取制度があるとのこと。

  残業ゼロの会社と言えば日本で有名なのは女性物下着のトリンプ・インターナショナル(スイス)です。「完全に残業をさせなければ事務効率は極限まで上がる」というのがトリンプ日本法人の社長を長く務めた吉越浩一郎氏の考え方で、本になるほど有名です。
  偶然ですが、我々がストックホルムのあるレストランで食事をしていると、その吉越氏がフランス人の奥様と一緒にそばの席に着かれ食事をされていました。

  私の手元に6月26日付の日経新聞でタイトルが「長い日本の労働時間、生産性は著しく低水準」というOECD調査結果の記事があります。1時間当たりのドル表示生産性と一人当たりの年間労働時間を国際比較しますと、

          生産性  労働時間          
アメリカ      60ドル  1,704時間
ノルウェー     83ドル  1,421時間
デンマーク     53ドル  1,527時間
スウェーデン    52ドル  1,640時間
日本          42ドル   1,728時間 (現在の円レートでは推定34ドル程度)


日本の時間当たり生産性はアメリカの3分の2から半分程度、北欧3国ともだいぶ差があり、生産性の低さが目立ちます。これでは賃金も上がりませんよね。

労働時間を比較すると日本は相変わらず一番多い。どうみても無駄な時間を使って生産性を下げているようにしか見えません。そしてそれが人生を余裕のないものにしているようにしか見えないのです。

  何故このことにこだわっているかと申しますと、今のアベノミクスの目指すインフレによる不況脱却のやりかたでは、どうも働く人の幸せにつながらないのではないかと疑問を感じ、もっともっと生産性を上げ労働時間を短縮することで余裕が出てこそ、豊かな人生を送ることができるのではないかと思うからです。

  比較数字を交えながら、北欧とくにスウェーデン人の暮らしぶりから、少しでも日本人が学べることはないかと思い、書いてみました。

  こうして見ると、「成長戦略で競争力アップだ」と言いながら、実は「アップアップ」している日本人が、我ながらとても哀れに思えてしまいました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雪風ファンドさんへの回答

2013年07月07日 | ニュース・コメント

  雪風ファンドさん、いろいろお調べいただき、ありがとうございます。おもしろいチャートが見られますね。

  雪風ファンドさんからいただいたコメントは、みなさんもご興味があると思われるテーマですので、それに対する私の見解をお伝えいたします。

いただきましたのは以下のご意見とテーマです。

>林さんはマネーを信用しきっておられるように感じられますが、死角はないでしょうか?数年単位よりも長いスパンで考えれば、円にしろドルにしろ商品指数に対しては減価している期間の方が多いです。マネーの歴史は減価の歴史と言っても過言ではないでしょう。商品は確かに表面的には金利を産みませんが、長期ではマネーの側が減価していくのですから、実質的に金利を産んでいるように考えもいいように思います。

そしてご自身で示された数値に関しては、以下の通りひとつづつ回答いたします。

1.超長期の商品インデックスのインフレ調整後チャート
こうしたチャートをよく見つけられましたね。しかしこのブログの結論は、超長期では複数商品のインデックスは的か傾向にあり、思うような結果は示されませんでしたね。

2.インフレ率の米国債イールド比較

このチャートにある債券は、Bondではなく、短期のT-Bill(3カ月から1年物)のイールドを比較しています。超長期のお話をしているので、超長期のイールドを使用するべきで、比較対象としては適格性に欠けます。今ですとT-Billの12カ月は0.14%、30年物は3.71%で、インフレ率は1.4%。もちろん瞬間風速は意味がないのですが、およそこうした図式は継続しています。

  短期金利<インフレ率<長期金利

3.2ドルだった原油に投資する

第1次オイルショックの(73年)前に2ドルだった原油を買って、140ドル台の市場最高値まで保有して売れたとしましょう。40年間で70倍です。これは逆算しますと年率11.2%です。これなら長期債Bondにも勝てますね。30年債の平均利回りは9%ほどで、40年間で60倍です。しかし原油をどう貯蔵するのでしょうか?品質保持は?果たしてピークで売り抜けられるでしょうか?まあ100ドルであれば売却可能としますと、10.3%です。

4.100ドルだった金に投資する
  ちょうど73年オイルショックあたりの金価格が100ドルでした。それがピークで1,900ドル、つまり19倍です。これでは60倍の長期債に勝てません。


そして、

>マネーの歴史は減価の歴史です


という雪風ファンドさんのご指摘は、マネーに付きものの金利を考えなければそのとおりでしょう。しかし金利はインフレ(マネーの減価)に連動しますので、マネーの減価を補うようにできているのです。

もう一つ、「インフレヘッジを株式投資で」という考え方もあります。そうしたものを40年間のザックリした年率換算で並べます。参考のためにバークシャー・ハサウェイも入れますと、

・アメリカのインフレ率  4.3%
・米国債30年物      9%(30年債の発行は77年以降、10年債平均は7.5%程度)
・日本のインフレ率    2.6%
・原油    10.3%(2ドルが100ドルで売れたとする)
・金     7.6%(1,900ドルのピーク、現在値だと6.5%)
・S&P500 9.4%
・バークシャー  19.7%


  いかがでしょうか。こうして見ると、マネーの減価がインフレ率であるとすれば国債で十分に対応は可能です。それを凌駕する商品は原油くらいですが、投資は非常に困難です。

  商品への長期投資が何故一般的に行われていないかと申しますと、以下のような理由によります。
・現物のほとんどは賞味期限がある上、保管料が莫大にかかる
・先物インデックスなどは3カ月、6ヶ月で精算しないといけないので、長期投資に向かない。最近出てきた商品ファンド投資は長期投資も今後可能かもしれないが、リスクも非常に高い。


最後にまとめますと、

>林さんはマネーを信用しきっておられるように感じられますが、死角はないでしょうか?

マネーの信用力はもちろん変化し、移ろいます。しかしそれは相対的問題です。現在から将来の世界では、すべてのマネーが同時に信用を失うことはない、というのが私の見解です。

信用を失った通貨は売られ、代わりに信用力を持った通貨が買われます。数十年後まではわかりませんが、円、ドル、ユーロであれば、どれかが買われ、どれかが売られるでしょう。そしてその代替として時折通貨と同様に流動性に心配のないゴールドも代替的に買われることがあると思います。

>インフレ調整後では株式のパフォーマンスが最も良いので、バランスを考えれば、やはり、さまざまな金融商品でポートフォリオを組むというのがよさそうですね。

かならずしもそうとは思えません。私の著書の256ページに30年間の比較表がありますので、参考にしてください。債券投資は高い金利で買うと、ずっとそのままの高金利が継続しますので、とてつもないよい結果をもたらします。30年債は金利が高かったので23倍です。その間のS&P500は10倍でした。

また、債券以外は株式も含めて将来に渡る予想ができないので、どうポートフォリオを組むのかの回答を見出すのは困難です。私にはその自信はありません。

以上が雪風ファンドさんの商品投資のアイデアに対する、私の見解です。面白いスタディーでした。

なお、日本株や日本債券、金を含むさまざまな長期投資の30年間の結果比較は、先ほど引用した私の著書にありますので是非参考にしてみてください。
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ななしさんへの回答

2013年07月04日 | 2013年からの資産運用
 ななしさん、いつも私のブログを楽しみにお読みいただきありがとうございます。

いただいた質問への回答です。

>①米ドル買い増しのペース配分がやはり難しいです。
記憶では林様の予想では確か2015年ごろまでにはかなりの日本国債の価格変動が・・→円安・・との事でそれまでにはと思ってますが・・この後の株価と為替のカップリングの有無の可能性を含め所見をお願いします。


 私の予想は、厳密に「15年ごろまでには」というものではなく、「2015年プラスマイナス2年程度」というほどのものです。いったん国債価格が暴落を始めると資本の逃避が起こり、大きく円安に振れ可能性が強いと思われます。

 「ペース配分」の示唆をすることが、円ドルレートの変動ペースを予想することだとすれば、それは私の力ではとても無理です。ただ大激震まではまだまだ時間的余裕があると思います。

 「株価と為替のカップリング」について私がこだわってみているのは、本来であれば以下のように推移するはずなのに・・・そうなっていないことがあります。

円安 → 輸出産業が業績を回復 → 株高 
 ここまではいいとして、いずれは

輸出産業の業績回復 → 経常収支改善 → 円高 となるはず、だからです。

 それに対して誰も疑問を呈さずに円安=株高のカップリングを当たり前としていることにが「ヘンだ。いつかは動きが変化する」と思っているのです。これについては、近々別の機会に書きます。

>あと外貨預金は日本のペイオフの対象外ですね。そこで外貨を預ける金融機関の選択国内か国外が私には難しいです。    ③円への換金のし易さの必要性を含め、金融機関の選択(国内国外含め)はどのようにしたら良いと思われますか。


 最近の大激震であったリーマンショックで、いわゆるシステミックリスク(金融システム全体の崩壊に至るような大激震)の対処方法に、各国の金融当局も慣れてきているので、個人がオカネを預ける大きな金融機関を簡単にはつぶさないと思います。
ですので、なるべく大きな金融機関の安全性が相対的には高いと思います。それと証券会社の分別管理の安全性はさらに高いと思います。大証券にこしたことはないでしょう。外資系金融機関については、安全性の高い銀行だとしても、言葉の問題、口座維持管理の大変さを考えると、安易にお薦めできません。よほど海外に慣れている方ならべつですが。

>④それと日本の銀行のペイオフは1000万までですが、決済性預金は全額保護されるとの理解です。それなら、円預金1000万超えの人は1000万ごと金融機関を変えず、面倒くさく無いように一行に全額まとめて決済性預金に切り替えってのは選択肢として有りですか?

 あると思います。本来決済性預金は企業の当座預金ですが、個人の無利子決済性預金も認められていますからね。

>⑤それと日本のペイオフ制度が今後期間限定版に変更という可能性も今後起こりうると予想されますか?ちなみにオーストラリアペイオフはもともと期間限定であり、ペイオフの対象金額がころころ変わります。

 ななしさんはよく調べていますね。私はオーストラリアのペイオフ制度のことは知りませんでした。日本はもともと金融制度を非常に保守的に維持する国なので、改悪の変更はないとみてよいのではないでしょうか。変更すればそれが引き金になりかねないからです。

>⑥もしこれから世界的な不景気に向かった場合の今後のお金の行方は?私たちのとるべき自衛策、最善の行動は?


 あまり世界的な不況を心配する必要はないと思います。アメリカが好調ですから。でも自衛策は好不況にかかわりなく不断の準備が必要です。

 最善の自衛策は繰り返しになりますが、最も信用力のある国の通貨と金融資産を選択すること、すなわち「米国債」の選択です。


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北欧旅行から戻りました、再開します

2013年07月02日 | ニュース・コメント
  二週間の北欧旅行から戻りました。ノルウェー、スゥエーデン、デンマークの順に巡りました。毎日好天に恵まれ、空気が乾燥している上に日中は20度前後ととても過ごしやすい気温でした。その分、日本に帰ってから湿度の高さにはまいります。でも関東での本当の蒸し暑さは週末くらいからのようですね。覚悟しましょう。

  さて留守中のマーケットは相変わらず動きが激しかったようですね。6月末は大きく株価が戻し、円も相変わらず株価と並行して円安方向に動いているようです。株価と為替の動きのカップリングについては、今後も注目していきましょう。当面はそのカップリングと、株を誰が買って誰が売っているのかを見ておくと、市場のおよその動きが説明できると思われるからです。

  日本の市場とは別に比較的大きく動いたのは米国金利でした。米国債が売られ金利が上昇し、一時は2.6%台まで行き、今週に入って少し落ち着きました。FOMC後のバーナンキ議長の会見が影響していると思われます。


  私の旅行中の情報源ですが、インターネットの他、一般ニュースはCNNとBBCがほとんどでした。その2局のニュースは極端に言えばたったの3つしかありませんでした。なにかと申しますと、

・ネルソンマンデラ氏の病状
・エドワード・スノーデン氏はどこへ向かうのか
・トルコとエジプトのデモ


  毎日、毎時この三つを繰り返して放映し、しかも膠着状態が続いたため、不謹慎ではありますが途中からはいささかウンザリするほどでした。それに較べるとFOMCの扱いや、中国のシャドーバンク問題を始め、経済ニュースはちょっと触れられた程度で、驚くほど小さな扱いでした。ということは、さしたるサプライズはなかった、ということなのでしょう。

  金融関係のテレビチャンネルでは時折流れるコメンテーターの解説で気になったことがありますので、それに触れます。それは、

『世界的に中央銀行に頼った経済運営がなされていることに危うさを感じ、警鐘を鳴らす内容が多かった』のです。

  政府や国際機関のお偉いさんの話も含め、このところ考え方が大きく変化してきていると思われます。きっかけはもちろんアメリカのFRBの出口戦略です。それが欧州や日本に対しても、出口の見えない緩和策は危険だというトーンに変化してきているのです。

  私のように常に数年単位の長さでものごとを見ている人間にとって、このことが一番の懸念材料です。移ろいやすいイージーマネーに頼った相場は行くところまで行くと必ず大きなしっぺ返しがきます。最近の中国、ブラジル、東南アジアなどの新興国市場にそれが現れています。そしてもっと端的にそれが現れているのがゴールドを代表選手とする商品相場です。金価格はドル建ててピークから三分の一以上下げてしまいました。金相場を張っていたヘッジファンドはことごとく大きく損失を出し撤収の最中で、まだまだ撤収は終わっていません。イージーマネーによって要もないのに買われる商品の末路とは所詮こんなものなのでしょう。

  さて、旅行前に「米国債の金利上昇を私は快気祝いだ」、と申し上げました。米国の株式市場はバーナンキの出口発言で一時は大きく下げたのですが、じつは出口とは快気祝いなのだと気がつき再びしっかりとした動きになってきました。

  日本の相場を作っている外人は、きっとこうしたアメリカの状況が日本にもやって来ると見ているのだと思われます。つまり、今は日銀の超緩和策に支えられているが、やがて快気祝いの時が来て、投資が本格的に報われると見ているのでしょう。

  でなければジェットコースターがボブスレーに変わってもなお乗り続け、この二週間で再び買い越しに転じるところまで我慢し続けるとはおもえません。よく我慢しましたね、(笑)。日本の個人もそれに同乗しはじめていますので、しばらくは堅調な相場が続きそうですね。

  まだ時差ボケから完全に抜け出ていませんので、今回はここまでです。次回は北欧のことにもすこし触れたいと思います。そこには日本の今後の生きる道のヒントがありそうに感じました。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする