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インフレと株式投資

2013年07月30日 | 2013年からの資産運用

  今回のシリーズの題目は「2013年からの資産運用」です。それに沿って株式投資をどうするかについて私の考え方を述べて行きたいと思います。

  これまで長期に渡るデフレ下で、株式投資は残念ながら目ぼしい成果をあげることができませんでした。では、アベノミクスの最重要目標の一つである「インフレが実現できたら、いったい株はどうなるか」、それをみていきましょう。

 澤上篤人(さわかみあつと)という方をご存知ですか?

  日本の株式ファンド・マネジャーの中では、私は尊敬に値する人だと思っています。この方は1999年という難しい時期に「さわかみ投信」という独立系の投資信託を自ら立ち上げ、ひたすら長期投資に徹して、現在2千9百億円余りを運用しています。何故私が尊敬したのか?

  理由は投資方針がバフェットおじさんと同じで、会社のファンダメンタルズを徹底的に調べ長期投資に徹するからです。一人で徒手空拳から始め、3千億を集めたのは本当にたいしたものです。

  成果はどうなっているか。「さわかみ投信」を検索すると、詳細の情報が出てきますが、投信の価格は設定時の1万円が現在1万5千円程度になっています。14年で50%というのは、年率に換算すると2.9%くらいになります。他の日本株投信と比較するとかなり良好な結果を得ています。

  成果を評価するのに世界標準の方法である国債のリスクフリー金利と比較してみましょう。15年前の設定時の日本国債の金利は20年物が2.76%、10年物でも1.95%です。どうせ長期投資なので20年物国債を買っておけば、リスクを取らずにさしたる違いのない結果を得ています。

  ベンチマークとしての日経平均と比べる手もあります。さわかみ投信の設定された99年8月24日の日経平均は18,095円でした。現在はその時より2割くらい低いレベルの14,000円程度ですので、さわかみ投信のほうがだいぶマシではあります。

(注)私自身はベンチマークとの比較はナンセンスだと思っています。何故か?
当たり前のことですが、「ベンチマークに勝っても、損していたら何の意味もない」からです。ベンチマーク比較などはしょせん負けたファンド・マネージャーの言い訳に使われるにすぎません。

(もう一つ注)澤上氏は最近息子さんに社長の席を譲るということをしていて、それに対して多くの批判がなされ、私もかなり疑問を感じています。

  世襲を別にして、何故この澤上氏を取り上げたかと申しますと、この方は株式投資の本をこの15年の間に何10冊も出版され、「インフレが来るぞ」「さー株式投資だ」と叫び続け、ファンド・マネージャーとしてこれほどたくさんの出版をしている方は他にいないからです。 (相場でたいして勝てなくても本がたくさん売れる株式投資の著者はウラヤマシー!)

つづく
コメント (2)
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