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北欧旅行から戻りました、再開します

2013年07月02日 | ニュース・コメント
  二週間の北欧旅行から戻りました。ノルウェー、スゥエーデン、デンマークの順に巡りました。毎日好天に恵まれ、空気が乾燥している上に日中は20度前後ととても過ごしやすい気温でした。その分、日本に帰ってから湿度の高さにはまいります。でも関東での本当の蒸し暑さは週末くらいからのようですね。覚悟しましょう。

  さて留守中のマーケットは相変わらず動きが激しかったようですね。6月末は大きく株価が戻し、円も相変わらず株価と並行して円安方向に動いているようです。株価と為替の動きのカップリングについては、今後も注目していきましょう。当面はそのカップリングと、株を誰が買って誰が売っているのかを見ておくと、市場のおよその動きが説明できると思われるからです。

  日本の市場とは別に比較的大きく動いたのは米国金利でした。米国債が売られ金利が上昇し、一時は2.6%台まで行き、今週に入って少し落ち着きました。FOMC後のバーナンキ議長の会見が影響していると思われます。


  私の旅行中の情報源ですが、インターネットの他、一般ニュースはCNNとBBCがほとんどでした。その2局のニュースは極端に言えばたったの3つしかありませんでした。なにかと申しますと、

・ネルソンマンデラ氏の病状
・エドワード・スノーデン氏はどこへ向かうのか
・トルコとエジプトのデモ


  毎日、毎時この三つを繰り返して放映し、しかも膠着状態が続いたため、不謹慎ではありますが途中からはいささかウンザリするほどでした。それに較べるとFOMCの扱いや、中国のシャドーバンク問題を始め、経済ニュースはちょっと触れられた程度で、驚くほど小さな扱いでした。ということは、さしたるサプライズはなかった、ということなのでしょう。

  金融関係のテレビチャンネルでは時折流れるコメンテーターの解説で気になったことがありますので、それに触れます。それは、

『世界的に中央銀行に頼った経済運営がなされていることに危うさを感じ、警鐘を鳴らす内容が多かった』のです。

  政府や国際機関のお偉いさんの話も含め、このところ考え方が大きく変化してきていると思われます。きっかけはもちろんアメリカのFRBの出口戦略です。それが欧州や日本に対しても、出口の見えない緩和策は危険だというトーンに変化してきているのです。

  私のように常に数年単位の長さでものごとを見ている人間にとって、このことが一番の懸念材料です。移ろいやすいイージーマネーに頼った相場は行くところまで行くと必ず大きなしっぺ返しがきます。最近の中国、ブラジル、東南アジアなどの新興国市場にそれが現れています。そしてもっと端的にそれが現れているのがゴールドを代表選手とする商品相場です。金価格はドル建ててピークから三分の一以上下げてしまいました。金相場を張っていたヘッジファンドはことごとく大きく損失を出し撤収の最中で、まだまだ撤収は終わっていません。イージーマネーによって要もないのに買われる商品の末路とは所詮こんなものなのでしょう。

  さて、旅行前に「米国債の金利上昇を私は快気祝いだ」、と申し上げました。米国の株式市場はバーナンキの出口発言で一時は大きく下げたのですが、じつは出口とは快気祝いなのだと気がつき再びしっかりとした動きになってきました。

  日本の相場を作っている外人は、きっとこうしたアメリカの状況が日本にもやって来ると見ているのだと思われます。つまり、今は日銀の超緩和策に支えられているが、やがて快気祝いの時が来て、投資が本格的に報われると見ているのでしょう。

  でなければジェットコースターがボブスレーに変わってもなお乗り続け、この二週間で再び買い越しに転じるところまで我慢し続けるとはおもえません。よく我慢しましたね、(笑)。日本の個人もそれに同乗しはじめていますので、しばらくは堅調な相場が続きそうですね。

  まだ時差ボケから完全に抜け出ていませんので、今回はここまでです。次回は北欧のことにもすこし触れたいと思います。そこには日本の今後の生きる道のヒントがありそうに感じました。
コメント (8)
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