※写真 今、流れる小川は少なくなった。農業用水さえもパイプラインで地下に潜った。
集落を蛇行する小川、かって生活と切り離せない大切なものだった。里山に降った雨、ため池からあふれた水は小川となって北上川に注ぐ。その流れは途中、米を研ぐ人、桶で風呂に運ぶ人、洗濯物をすすぐ水になり、小さな子供たちの水浴びの場となる。子供たちは貝を採り小魚を追う。中には流れに網をかけておいてどじょうや鮒、時には鰻さえも採る。集落に火事が発生すると係りの人はため池に走り水門を急ぎ開放して水を大量に流し消防に役立てた。
台所の流しの水は溜めて野菜の肥料に、米の研ぎ汁や食べ残しは雑水として牛のえさにする。風呂水は小便と一緒に貯えてこれも野菜の肥料となる。排水は小川に流さない。みんなが大事な小川 子供には『小川に「しょんべん」するとちんちんが曲がる』と言って戒めた。そんなに古い話ではない 井戸から汲み上げる自家水道が普及し始めた昭和40年頃までの話である。
今、水が流れる小川は無い。雨が降ると三面コンクリートの水路を勢いよく一気に流れ、誤って水路に転落した蛇も這い上がれないほど流れるから水害はほとんど無くなったが雨なしが続くとひたひた水が僅かに流れ水路の底にはぶよぶよした綿のようなゴミがたまっている。水洗化されていないので周囲の住宅からは何本ものパイプが水路に突き出しちょろちょろ絶え間なく流れている。日曜の朝ともなると一斉に洗濯が始まるから流れも良くなり集落の排水を集めて北上川に注ぐ。「ちんちんが曲がる」前に上水道が早く敷設されるのが待ち遠しい。
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