岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

火防(ひぶせ)の神様

2016-04-17 15:16:48 | いなか暮し

 秋葉神社が火災、火除けの神様として知られているが当地方では栃木の鹿沼、古峰ヶ原の古峯神社が火除けの神様として信仰が厚い。
 
                   
 地区の鎮守、八幡さまの境内には台座を含んで3、5メートルほどの古峯神社の大きな碑があり地区の人たちが参拝に訪れる。
                 大正年代の初め頃の建立と記されている。
 100年も前に講中120名ほどで建てられている。
 当時、地区の戸数が凡そ150戸程とすると、ほとんどの家では古峯神社の講中だったと思われる。

 信仰はそれよりもっと古くからの続いていたようである。
 当時、茅葺き屋根の頃の火事は現代から想像できないほど怖い、いったん火事となれば隣近所までも焼き尽くす事になる。

 講中120名が5~6班に分かれて、一年に一班ずつ古峯神社に代参、宿坊に泊まって、早朝の一番祈祷を受け講中全員分のお札を受け取る。
 そのあとはお楽しみ、日光を見物して鬼怒川温泉あたりで精進開き。当時の唯一の楽しい旅行でもあった。
 旧の3月15日は地区の火防祭、鎮守の八幡さまにお参りした後、古峯碑に火防せの祈願をする。

 古峯講中は昭和40~50年代は150人程、ほぼ全戸が加入していたが、その後、火災そのものに対する考え方も変わり若い世代は団体旅行を好まない、個人で好きな時に等々
 近年は講中の数も80人ほどまで減り代参制度は難しくなった。

 この春、古峯神社講中代参制度は解散、100余年は続いたであろう長い歴史は閉じた。

 折悪しく講元を引き受けていたわが身は長い歴史の幕引き係となってしまった。
 「幾多の先達のみなさま、大変申し訳ありません」

 講での代参はなくなったが宅配便でお札をお取り寄せし信仰は続けます。

コメント
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