世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

2つの魅力的な教会のあるマインツはフランクフルト空港からすぐ近くです(ドイツ)

2011-10-09 08:00:00 | 世界の町並み
 メコン川の河口にあって、まだ泳いでいるよう盛り付けられる魚や、ボール状のデザートがレストランで供される町がベトナムのミトーでした。メコン川は6つの国を跨って流れる国際河川ですが、ヨーロッパにも多くの国を跨って流れ下る国際河川が数多くあります。これらの中で、スイスを源流として、オランダで北海に注ぐ国際河川がライン川です。今回は、ライン川の中流域にあって、ライン川の観光船の上流側の発着場になっているマインツを紹介します。ミトーでは、果物が成っているところを見たり試食をしたりする観光コースがありましたが、マインツでは朝市に新鮮な果物がたくさん並んでいました。

 マインツは、ドイツ中央部の西より、ドイツの商都として日本からの直行便も到着するフランクフルトの30kmほど西に位置する都市です。特に空港駅は市街地の西よりなので、空港駅から20分足らずで着いてしまいます。人口20万ほどの都市ですが、この程度の都市でも、ヨーロッパでは路面電車が走っています。鉄道とライン川に挟まれた1km×3kmほどの細長い市街地を縦横に、それもかなりの高低差のある場所にも、元気良く上っていきます。旅人にとって、路線が固定されていて、ガイドブックの地図にも明示される路面電車は、利用しやすくありがたい移動手段なのです。

 ドイツなどでは、こんなに小ぶりの町にも、と思われるようなところにも路面電車が活躍しています。市内では、バスを含めて何度乗り換えても付加料金がかからないことが多いことを考えると、料金も高くはありません。日本の市内バスは乗り換えごとに別料金が掛かり、それを防ぐため路線が複雑化し、そのために運転間隔長く不便になり、バスに乗るのは、優待パスの老人がほとんどという構図になっているように思います。日本の交通システムも、ドイツなどに見習って、公共輸送機関が生き生き出来るようにならないものでしょうか。

 
 
 マインツはグーテンベルグを生んだ町で、その博物館もありますが、2つの魅力的な教会が観光客を引き付けています。一つは、ドイツで三本の指に入る巨大なマインツ大聖堂です。世界遺産にも登録されているシュパイヤー大聖堂も建設した、神聖ローマ帝国のハインリヒ4世が、12世紀に建てた教会です。いくつもの塔を持つ複雑で大きな赤い塊は、全景を写真に収めるのも難しいくらいです。祭壇の前では、ちょうどミサを行っていて、その歌声は広い空間に響き渡って、信仰心を後押しする効果が絶大なように感じます。また、巨大な聖堂には回廊が付随していて、回廊の列柱五指に眺める中庭も奇麗です。

 
 大聖堂の前にはマルクト広場があって、朝市が開かれます。新鮮な果物や野菜が所狭しと並べられますが、筆者が訪問した時期はホワイトアスパラの季節で、その後に入ったレストランで美味しくいただきました。一方、朝市では野菜でも果物でもない煮豚を食べましたが、ソーセージなどお肉の美味しいドイツらしく、簡単な料理の割りに、これも美味しくいただきました。

 
 
 もう一つの教会は、ザンクト・シュテファン教会で、こちらはぐっと小ぶりですが、シャガールのステンドグラスがすばらしい教会です。青色を中心としたステンドグラスに囲まれた内部にいると、深い海の中に居るような感覚になり、床に投影されるステンドグラスの影も幻想的です。こちらの教会にも、小ぶりな中庭があって、スペインなどのパティオの雰囲気を感じます。青いステンドグラスというと、パリの南にある世界遺産にも登録されているシャルトル大聖堂が有名です。シャルトル・ブルーとも呼ばれるステンドグラスは、青色を背景にして暖色系で聖人などの像が描かれています。13世紀に作られたステンドグラスは、青いだけではなく暖かみも感じもして、さすがに豪華で美しく歴史も感じます。一方の、シュテファン教会のシャガールのステンドグラスは、一部の窓には暖色系も使われていますが、青一色の窓も多く、ドライな感じがします。どちらが好きかは、個人の好みですが、シャルトルの大聖堂を見た後には、ぜひシュテファン教会も訪問されることをお勧めします。

 教会で演奏されるパイプオルガンや聖歌隊の歌声は、巨大な石造りの聖堂による長い残響時間を考慮に入れたものです。残響時間とは、音が鳴り止んでから、その音のエネルギーが-60dBつまり10万分の一になるまでの時間で、屋内の生活環境では1/2秒にも満たない時間です。コンサートホールでは1~1.5秒程度の残響時間ですが、古典的な教会では4秒程度のものも多いそうです。残響時間をコントロールするために、反響板や吸音材を置いたり、コンサートホールでは入場者が吸音材となるので、そのことも考慮されるそうです。録音の時には、かつては残響室という部屋があって、この部屋に置かれたスピーカとマイクによって、残響をコントロールしていた時代もあったようです。現在では、DSP(Digital Signal Processor)によるディジタル処理で自由自在に制御可能だそうです。生演奏で聞いたらCDの音とずいぶんと違う歌手が多いのも、そのためだとも言われています。


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