世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

ロンドンから2時間、イングランド北西部のチェスターでは絵本の世界から飛び出したような風景が現実に目の前に広がります(イギリス)

2022-10-02 00:54:44 | 世界の町並み
 ロマンティック街道にある小さくかわいらしい中世の町を紹介しましたが、どちらの町も周りを取り囲む城塞のある町でした。ヨーロッパなど陸続きで隣国などと接する場所では、隣国の侵略から町を守るため町を取り囲む塀は必須だったのでしょう。中国の万里の長城は、最も巨大な例かもしれません。一方、イギリスは日本と同じように島国ですが、市を囲む城壁が残る町があります。思い当たる都市としてヨークとチェスターがありますが、今回はチェスターを紹介します。

 
 

 チェスターは、ロンドンの北西250kmほど、特急列車で2時間ほどのイングランドの北西端、ちょと西に行けばウェールズという場所にあります。人口は8万人と小ぶりな都市で、イギリスの中の城塞都市の中で、最も保存状態がよい都市と言われています。持の規模が大きくないのがよかったのかもしれません。しかし、日本の古い町並みの中にあるような、冷凍保存の漢字はなく、活気のある街という印象です。城壁の門の一つのイーストゲートの時計は、ヴィクトリア女王即位60年を記念して1897年に作られた時計台は100年以上たった今も時を刻み続けています。

 筆者が訪れたのは約25年前で、写真はアナログで撮ったものをスキャナで取り込んでいます。ウェールズにある世界遺産のカナーボンの帰りに寄ったのですが、あまり記憶が残っていなく、カンーボン城などのウェールズの城やチェスターの後に寄ったウェッジウッドのアウトレットの記憶が頭を占領していました。しかしながら、写真を整理してみると、このチェスターって町は、絵本に出てきそうな景色にあふれていてびっくりで、もう一度行ってみたいイギリスの町の一つになりました。

 
 町並みの建物の大部分は木造のハーフティンバーと呼ばれる様式で、白い壁に構造体の木材が描き出す模様が絶妙で、建築は凍れる音楽というたとえが分かるような感じもします。ハーフティンバーの建物群は、フランスのストラスブールでも見ましたが、ストラスブールでは、ハーフティンバーの町並みは運河沿いに集中して多様な記憶がありますが、チェスターは城壁の内部にあふれているように思いました。ちなみにハーフティンバーの語源には諸説あり、外部から見ると壁と木材之面とが半分半分で見えるから、とか、木材の半分が壁の外に露出しているからとか、と言われています。

 ハーフティンバーは、土やレンガといった圧縮に強い材料と、木材という引張強度のある材料とを組み合わせていて地震にも強い建物と言われています。現代の鉄筋コンクリートも圧縮強度はコンクリートが、引張強度は鉄筋を分担するという同じ考え方です。一方、日本の伝統建築でも大壁と真壁という工法があり、壁で柱を隠す大壁に対して、柱の一部が露出する野が真壁です。この真壁は一種のハーフティンバーですが、お寺の建築を除いて、一般の民家では、外部に対して柱が見える建物は少ないように思います。建物を設計するときに引張と圧縮の強度が十分あるかコンピュータを使った強度計算があり、初期の大型コンピュータ共同利用でもこれらの計算に使われることが多かったようです。ただ、この強度計算は、随分と精密な計算をするようですが、不思議にも最後に安全係数として2~3の数値を掛け算するんですね。天然の素材を使う建築分野では、材料のばらつきを補正するためでしょうか。