世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

ブルース・リーの父方の故郷の順徳にある清暉園には彼の記念展示館もありました(中国)

2018-12-02 08:00:00 | 世界の町並み
 独裁者のチャウセスクが最後に演説を行ったのがルーマニアの旧共産党本部のバルコニーでした。ルーマニアの革命では民衆が独裁者の排除に立ち上がりましたが、映画の世界では正義の味方が活躍することが多いようです。その中で、カンフー映画の基礎を築き、諸悪に立ち向かったキャラクタを演じた一人がブルース・リーで、アメリカ生まれ香港育ちで、後に渡米して映画スターになったことは皆さんご存知の通りです。このブルース・リーの父方の出身地が中国広州の西方の佛山市順徳区で、清暉園という庭園にはブルース・リーの展示館があります。今回は、佛山市の順徳区や禅城区を紹介します。

 佛山市は、広東省の省都である広東市の西南に接していて、市の中心となる禅城区までは20kmほど、順徳区は禅城区の南に接しています。広州との間はバスや地下鉄が通じ、広州市と並んで一大経済圏を作っています。

 
 
 
 
 さて、ブルース・リーの展示館のある清暉園ですが、広州からのバスが到着する順徳バスセンタから市内バスで10分ほどの場所にあります。広さは2万㎡ほどなので東京ドームの半分弱とさほど広くありませんが、庭園としていろんな要素がてんこ盛りで、一巡するのに2時間もかかりました。ブルース・リーの展示館は入り口近くにあり、館の作りは周りの建物と同じようですが、看板が周りの雰囲気とは違っています。清暉園は明代の末の頃の造園で、中国十大庭園の一つなのだそうで、園内は回廊がめぐらされ、意匠の異なる数多くの建物をつないでします。中国ですから焼き物の飾りなどが数多くあるのは、納得できますが、美しいステンドグラスが多いのは驚きです。木の枠で囲まれた四角なガラス窓がステンドグラスになっている光景は、教会のステンドグラスとは違った美しさです。庭園には、中国の江南にある庭園に共通する、巨大な石が置かれていましたが、竹藪があるのが他と違って見えました。

 
 この清暉園の近くに鐘楼があり、道路のそばに、まるで歩道を分断するように建っています。、西安にある鐘楼ほど大きくはありませんが、ほどほどの大きさの建物に鐘もつるされています。ただ、この鐘楼は80年代に再建されたものでコンクリート製のようです。

 
 
 さらにその先に西山廟がありますが、ガイドブックには地図が無く、たどり着くのに苦労しました。現地の人に尋ねてもわからない人が多く、やっと筆談で地図を描いてもらいました。知らない人が多かった西山廟ですが、屋根の形や、その上に乗っている動物や人間の彫刻がなかなか面白く時間があれば行ってみてもよさそうです。

 
 
 
 
 
 順徳から佛山の中心の禅城区までは市内バスで1時間ほどかかります。禅城区を代表するお寺が祖廟で、11世紀に創建の北方玄天大帝を祀る道教寺院です。祖廟の名前は、市内に数多くある道教寺院の中で最も古くからある都の意味合いで呼ばれているのだそうです。祀られている北帝とは北地方を統括しすべての水生生物を統治するといわれています。境内は広く数多くのお堂があり、西山廟と同じように屋根の上におびただしい彫刻が乗っています。これらのお堂の中心に金ぴかの巨大な北帝の像が祀られています。不思議なのは、この北帝を取り巻く像のどれもが極端に前傾をしているのです。お辞儀のように腰の部分からの前傾ではなく、体全体が前傾しているので、すごく不安定な感じです。また、金ぴかの像に、灰色の長い髭が植えられていて、嘔吐をしているようにも見えます。

 道教は中国の三大宗教の一つで、その中でも漢民族の土着宗教として最も古くから信仰されてきたものです。土着宗教ということから、わが国の神道と似たところがあるように思います。わが国では唐から道教の受け入れを迫られたときに、わが国の天皇を中心とする神道と相いれないと断ったそうです。ただ、一部の欧米人が仏教の神髄と思っている禅宗は仏教本来の哲学とは乖離し、道教の思想の影響を受けたものと考えられており、陰陽道は道教の考えの一部が伝わって発展したものと考えられています。陰陽道は占いと呪術によって、時には国を動かすまでの影響を持ったこともありますが、要は経験則から導いた相関分析ではないでしょうか。コンピュータのインテリジェント・マイナーと呼ばれる手法は、相互に関連のなさそうな大量のデータから、相関の大きな因子を導き出してくれますが、コンピュータのはじき出した結果では、信心の対象にならないでしょうか。