世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

パリに住む人はセーヌ河岸にある膨大な遺産の数々をいつでも見られて羨ましい限りです(フランス)

2018-05-06 08:00:00 | 世界遺産
 ポルトガルの第二の都市ノポルトには、師匠と弟子がそれぞれに設計した橋が架かっていました。師匠はエッフェル、エッフェルと言えばエッフェル塔を思い浮かべます。英会話でアイフルタワーと言われて???とっさにエッフェル塔を思い浮かべられませんでした。英語圏の人間は、何でも英語式に発音してしまいます、地名でも人名でも、本来呼ばれていた母国語の発音を無視します。我々が世界標準だと言わんばかりです。最近我が国ではグルジアをジョージアに変更しましたが、これも英語読み、現地の発音ではありません。エッフェル塔から脱線しましたが、今回はエッフェル塔も指定範囲となっている、パリのセーヌ河岸を紹介します。

 
 
 エッフェル塔は、現在ではパリを象徴する建物の一つになっていますが、建てられた時には酷評を浴びたようです。フランス革命から100年を記念して開催されたパリ万博の目玉として1889年に建てられ、300mの高さは1930年までは世界一の高さの建造物でした。筆者が初めてパリを訪れたの1989年で、エッフェル塔には100ansの文字が浮かんでいました。高い建物ははモンパルナスタワーくらいしか無いパリでは、エッフェル塔に上ると遠くまでよく見えます。対岸にあり、1937年の万博の時に作られたシャイヨー宮も足元です。
 よく東京タワーはエッフェル塔より鉄材の量が少なく済んで、高さも高いって威張っていますが、かなりコンプレックスのような気がします。まずデザインは完全に真似、おまけに足元にビルを跨いでるので不格好、鉄材についても70年も前に建てられ鋼材強度や構造計算が進んでいなかったであろう環境と比較するのがナンセンス、展望台だって東京タワーの第二展望台でも、エッフェル塔の展望台より低いんです。おまけに、エッフェル塔の展望台では、ガラスの無いフロアーがあって、景色がクリアに見られます。日本人って、特にデザインの面で新規性に欠けるものが多くって、外国のパクリが横行してるように思います。

 
 セーヌ河岸には世界遺産に指定された建物などがあまりにも多く、とてもすべてを回り切れません。指定外のものも含めて筆者が訪れたところを紹介します。
 まずは、エトワール凱旋門、19世紀初頭にナポレオンが作り、他にも凱旋門はありますが凱旋門と言えばこの建物を指すようになっています。パリの町は、中国や我が国のような碁盤の目ではなく、凱旋門を中心とした放射状に延びており、凱旋門の上からはシャンゼリゼを初めとしてパリの中心にいるって感じがします。

 
 
 
 2番手はノートルダム寺院でしょうか。13世紀に建てられたゴシックを代表する建物で、最近訪問すると入堂するのに行列だったのは驚きです。ただ、最初に訪問したのは30年ほど前ですが、壁がやけに煤けていたのが綺麗になりました、洗浄したのでしょうか。ゴシック建築の特徴であるとび梁は現物ではうまく取れなかったので、東武ワールドスクエアの写真を載せました。柱状の怪物もその模型のものです。

 
 ノートルダムノバラ窓は有名ですが、同じして島のサント・シャペルのステンドグラスは驚異的です。ノートルダムと同じ頃に、こちらもゴシックの建物で、聖遺物を収納する目的で建てられたそうです。

 
 シテ島のそばにあるのがルーブル美術館で、元は宮殿ですが、こんな町中にあるのに広くって、展示面積は6万㎡、東博の3倍以上です。日本に来ると長蛇の列になるミロのビーナスもモナリザもゆっくりと鑑賞できましたが、最近は観光客の増加で混雑してるそうです。ルーブルと同様に宮殿であった建物が役所や現代アートの展示場に使われているのがパレ・ロワイヤルです。映画のシャレードの最後のクライマックスの銃撃戦で使われたのは、この建物の列柱回廊です。

 
 ルーブルが印象派以前の展示品とすれば、印象派とポスト印象派の作品を展示する美術館が駅を転用したオルセー美術館で、入館すると大きな空間に驚きます。
 印象派と言えば、印象派の言葉を生んだ作品のモネの「印象日の出」が展示されるがマルモッタン美術館で、ちょっと不便な場所にあるためか日本人にはあまりなじみがありません。

 
 
 日本人になじみが無いと言えば、ノートルダム寺院からすぐと足の便が良いのに日本人を見かけないのがクリュニー中世美術館です。15世紀に建てられたクリュニーの修道士の邸宅を美術館に転用したもので、5~15世紀の中世の美術品を展示しています。5年ほど前に国立新美術館で開催された「貴婦人と一角獣」は所蔵作品の目玉の一つですが、この展覧会を見た人も中世美術館の存在を認識している人は少ないかもしれません。展示品だけでなく、建物も見事です。
 ほかにも、モネの水連の絵が鑑賞者を中心にぐるりと周りを取り囲むオランジュリー美術館やピカソ、ロダン、ドラクロそれにモローなど特定の作者の名前を冠した美術館も多く、人もさほど多くなく各自のペースで鑑賞ができます。

 40年ほど前、まだまだ大型コンピュータを自前で持つことが難しかったころ、当時の電電公社が大型コンピュータを共同利用するサービスをやっていました。このうち、科学技術計算サービスを提供するものをDEMOSと呼びましたが、その最大ユーザが建築会社で、構造計算に使われたそうです。構造計算とは、それくらい大変で需要も多かったのですね。ところが厳密に計算をした結果、材料のばらつきがあるためか、最後に安全率として数倍にするんです。エッフェルの頃に、コンピュータがあって構造計算を素早くできていれば、エッフェル塔はもっとスリムになった居たかもしれません。いやいや、安全率のために同じだったかも。