世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

諏訪湖と中央線に挟まれた細長い場所に美術館や温泉がかたまる上諏訪です

2012-02-19 08:00:00 | 日本の町並み
 2~3時間に1本しかディーゼルカーの来ないローカル線の駅ながらホームの2階には足湯があったのが愛媛県の松丸駅でしたが、ホームに温泉を引いたのは上諏訪駅が元祖ではないでしょうか。ただ、ホームの露天風呂は2002年に足湯になってしまいましたが、今回は上諏訪駅周辺を紹介します。

 上諏訪駅は長野県のほぼ中央の諏訪市にあるJR中央線の特急停車駅です。ただ、諏訪大社などは一つ松本寄りの下諏訪駅が最寄り駅となり、こちらの方が観光客で賑わっているようにも思います。この下諏訪駅は、行政も地域も別で、上諏訪駅の属する諏訪市ではなく諏訪郡下諏訪町に属しています。上諏訪駅で下車をする観光客の多くは、バスで白樺湖や霧が峰などに向かい、上諏訪が目的地のお客は少ないようです。

 中央線の駅にもある足湯ですが、間欠泉のそばと、市立美術館のそばにもあります。町並みを散歩していて、足が疲れてくると足湯はありがたいもので、各地の温泉でも見かけるようになりました。台湾の新北投温泉で浸かった足湯は泉源から流れ出す川が自然の足湯になっていましたが、人気があって超満員でした。空いている場所あったので足を浸けてみると、これがかなり熱い!この川は途中から冷たい水が流入していて、下流では程よい温度なのですが、泉源近くの上流は熱いので空いていたわけです。日本の足湯は、足湯として管理されているところが多く、やや熱めでも浸かれないほどのところは少なそうです。

 足湯のある間欠泉センターですが、1983年に温泉の掘削中に噴出したもので、当時は50mの高さに自噴し世界2位の高さを誇っていました。しかし現在は自噴は止まってしまい、圧縮空気で噴出させていて高さも5mほどなのだそうです。写真は20年以上も昔のもので、当時は勢いよく自噴をしていました。

 
 その間欠泉センターの北隣にあるのが北沢美術館です。間欠泉の噴出とほぼ同時期に開館した美術館ですが、エミール・ガレを中心とするアールヌーボーのガラス工芸品のコレクションは日本一ではないでしょうか。最近ではガレやドームのガラス工芸の作品は、あちこちでみかけるようになり、類似の意匠を取り入れた工芸品も増えてきたようにも思います。しかし、ガレなどの名前が、あまり知られていなかった20年前の訪問では、「ガラスにはこんな世界もあるものだ!」と驚いた記憶があります。

 
 もう一つの足湯のある諏訪市美術館も諏訪湖と中央線に挟まれた、やや駅に近いところにあります。建物は片倉製糸の懐古館を流用したもので、洋風の建物に和風のファサードと車寄せを持つ、大倉集古館の外観にも似た印象です。この片倉製糸の遺構が美術館の隣にもあり、千人風呂として有名な片倉館です。製糸工場の保養施設として建てられた温泉施設で、建設当時の建物が現役の温泉として使われています。建物の内装には彫刻やステンドグラスが組み込まれて、入浴だけでなく、これらを干渉するだけでも値打ちがあります。

 日本はいたるところで温泉が湧いているように思いますが、新たに温泉を掘るとなると出なかったときのリスクが心配です。1000mも掘れば何処でも出るものだ、とも言われ、大都市の近郊では1500mもの地下から汲み上げた温泉施設が多くあるようです。温泉の探査には、色々な手法が使われているようで、放射能探査、電気探査、弾性波探査、重力探査などなどあるそうです。泉源は断層破砕のある場所にあることが多く、その断層破砕を地上から発見するのが探査の手法のようです。偵察衛星によれば、地表の物を30cmほどの分解能で識別できるようになりましたが、IT技術を駆使しても、地下深くの状況を把握するのは、まだまだ難しいのですね。