世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

金比羅詣での街道筋からも丸亀城の天守閣はよく見えます

2011-06-12 08:00:00 | 日本の町並み
 四国の4件の中で唯一太平洋に面してユニークな人材を輩出したのが高知でしたが、高知の中心には現存天主の一つの山城の高知城が市内を見下ろしています。四国には4つの現存天守閣がありますが、今回は、その中の一つの丸亀城がそびえる丸亀を紹介します。

 
 現存天守閣は全国に12残されていて、四国にはその1/3があることになり、丸亀城を含めて、そのすべてが平山城です。このため、お城は高みにあって市街地の何処からでも見ることの出来るシンボルとなっています。ただ、平山城といっても、麓の大手門から天守閣まで上るのは思いのほかの標高差があってくたびれます。息を切らせて上って行くと、遮るものが無い眺望は、上っただけの価値を感じます。通常は北にある大手門からの往復になりますが、帰路には南側の搦め手に回ると観光客も少なく、石垣の美しさを感ずる散歩道になっています。

 
 さて、丸亀市ですが、香川県の北部中央の瀬戸内海に面し、市域は瀬戸内海の塩飽諸島にも広がっています。塩飽諸島は行って見たいところに一つですが、取材旅行に行くことが出来れば取り上げようと思います。筆者が訪問したのは、旧市街で、お城付近には、城下町を思わせる古い町並みが点在しています。商店街の中にぽつんと黒壁の商店が現役で使われていたり、なまこ壁の土蔵が残っていたりします。

 
 多少まとまって古い町並みが続くのは、丸亀港に上陸した金比羅参りの客が通った金比羅街道沿いの町並みです。ただ、古い家並みはほとんど新しいマンションなどに代わっていて、百四十丁の石灯籠や百五拾丁石の基点石などの道標群や中府の大鳥居などの石造りの物が参詣道の面影を残しています。お城の美しい石垣といい、丸亀訪問の目的の一つは石を見に行くことなのかもしれません。

 石ばかりが丸亀ではなく、バルビゾン派の美術館が存在することも魅力の一つなのですが、こちらのほうは余り知られていないようです。この美術館は、「「中津万象園」の中に設けられた丸亀美術館の絵画館なのです。美術館は絵画館の他に、オリエント地区で出土した陶器を陳列する陶器館と江戸から昭和に掛けての数々の雛人形を展示するひいな館があります。バルビゾン派の絵画はミレー、ルソー、コロー、クールベなどかなりの見ごたえがあります。田園風景を描いたバルビゾン派の絵画は特に日本人が好きなようで、首都圏の八王子にも村内美術館があって、こちらも多くのコレクションがあり見ごたえがあります。

 絵画館の母体となる中津万象園ですが、丸亀城などのある駅周辺から西よりに2kmほどの海に面したところにある回遊式池泉庭園です。江戸初期に丸亀二代目藩主京極高豊候により中津別館として作られたのですが、京極氏の祖先の土地であった近江八景を模した庭園です。メインとなる池は、琵琶湖に見立てているとのことで、庭に点在する茶室を眺め、手入れの行き届いた花木を含む植え込み、そして材料も形も違ういろいろな橋を渡って一周するお庭は、なかなか贅沢な景色を見せてくれます。

 丸亀の特産品に「うちわ」があり、市内には「うちわの港ミュージアム」もあります。なんと全国シェアーが90%と、うちわを見たら丸亀で作られたと思ってほぼ間違いなさそうです。今年は、電力不足で消費電力を食うエアコンより扇風機がもてはやされそうですが、うちわなら消費電力量はまったくのゼロです。パソコンなどの電子機器には多くの場合ファンが入っています。プロセッサーの速度に比例して消費電力は大きくなり、その電気エネルギーは最終的には熱に変わり、電子機器はその熱に弱いのですから風を送って冷やすしかないのです。この夏は、ファンの消費電力を抑えるために丸亀産のうちわでパソコンを扇いでみますか。