世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

ヨーロッパのどこかに居るような錯覚に陥る城郭都市のケベック(カナダ)

2009-06-14 17:29:25 | 世界遺産
 バルト海に面したバルト3国の北端のエストニアの首都のタリンは城壁に囲まれた綺麗な都市でしたが、北米のメキシコ以北で唯一城壁が現存する都市がケベックです。北米で最も古い歴史を持つ都市の一つとして、城壁に囲まれた歴史地区が世界遺産に登録されていますが、その歴史地区を中心に郊外にあるモンモランシーの滝も含めて紹介します。

 ケベックは、カナダの東端に近いケベック州の州都で、歴史地区はセントローレンス川に面した河岸段丘の上とその下の川とに囲まれた場所に町並みが広がっています。丘の上は城壁に囲まれた旧市街でアッパータウント呼ばれ、アッパータウンとの間にはケーブルカーもある丘の下はロウワータウンと呼ばれています。

 アッパータウンには、ケベックの紹介パンフレットに必ず登場するシャトー・フロンテナックが建っています。

今から100年以上前に」カナダ太平洋鉄道にによって建てられた最高級ホテルで、同じカナダ太平洋鉄道によりバンフに建設されたバンフ・スプリングス・ホテルと並び称されるものです。ホテルは丘の上の最も眺めの良い場所に建てられていますが、泊まらなくてもホテルの横から伸びるテラス・ドュフランからのセントローレンス川の眺めも気持ちの良いものです。また、このホテルは、宿泊者以外にも内部のガイデッド・ツアーを提供していて、ホテルの歴史や、部屋の様子などを面白おかしく案内してくれます。

ただ、現在のところ英語のみのようですが。

 英語と言えば、カナダの東部は歴史的にフランスの統治時代が続いたため、現在もフランス語の方がメジャーです。ケベック州の公用語もフランス語で、町中の表示もフランス語が幅を利かしています。この現象は、トロントあたりで英語圏に移行するようで、以西では表示も英語のみになるようです。シャトー・フロンテナックの南に隣接するシタデル要塞は、

現役のカナダ軍の駐屯する要塞ですが、この軍隊はカナダで唯一フランス語を話す軍隊なのだそうです。

 一方のロウワータウンの中心はプチ・シャンブランという繁華街で、繁華街として北米最古なのだそうです。繁華街と言うと喧騒さを想像しますが、石段と坂の町には花がいっぱいで、綺麗で小粋な感じがする町です。坂の途中のビルの壁面にはだまし絵が描かれていて、そこが古い町並みの秘密の入り口のような感じを受けます。

川べりには船着場があり、対岸のレヴィまでフェリーが出ています。30分ほどで対岸に着けるんですが、船からのケベックの眺めがすばらしいだけでなく、

レヴィの落ち着いた町並みの散策も捨てがたい魅力があります。

 さて、郊外のモンモランシーの滝ですが、旧市街から市バスで30分ほど乗ると滝の上部のバス停に連れて行ってくれます。そこから滝口までは歩いてもすぐ、ナイアガラ滝より落差の大きい83mの滝の上に架かったつり橋に出ます。

このつり橋が、高所恐怖症にはかなり怖い存在です。高いのと、勢いよく落下してゆく滝の水に吸い込まれそうな感じを受けます。滝を上から見るという通常とは逆の見方になりましたが、時間の余裕がある場合は、ケーブルカーで滝壺のあるセントローレンス川の近くまで降り、下から見上げることもできます。

 インターネットの中で流通している情報の大部分は英語で書かれた情報であると言われています。日本語の情報サイトであっても、技術上の込み入った内容となると、英語による原始情報にアクセスせざるを得ないこともあります。英語が事実上のエスペラント語の役割を果たしていることからやむをえないことかもしれません。パソコンや翻訳サイトによる、自動翻訳の腕前もかなり向上はしたようですが、中には翻訳文を読んでも、まったく意味不明の場合もあるようです。もちろん、言葉の背景となる文化や、省略された内容は翻訳のしようもありません。小学校からの英語教育の必要性が声高に叫ばれるようですが、英語は情報交換用の言語と割り切って、カナダ東部でフランス語が話されるようにアイデンティティとしての言語体系は保存してゆきたいものです。