世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

表から見たのではよくは解りませんが、家の後ろ壁は岩山そのものマテーラの家々(イタリア)

2008-09-21 16:22:37 | 世界遺産
 敦煌の莫高窟の洞窟の中には、一時期ロシアからの難民が住んでいて、そのために壁画などが傷んでしまったものもあるとのことですが、山の斜面に洞窟を掘って洞窟と一体化したサッシと呼ばれる洞窟住居を無数に作ったところがマテーラです。平らな地面に家を建てるより、洞窟を住居とするのは、屋根を作る手間が減って楽なのでしょうね。今回は、イタリアの南部、長靴のかかとの位置のプーリア州にある町の一つマテーラを紹介します。

 マテーラは、イタリアのかかとの部分にあるプッリャ州の州都のバーリから、本数の少ない電車で1時間半ほど内陸に走ったところにあります。それも、何両かつないだ電車のうちの1両だけがマテーラに行き、他の車両は途中駅で違った方向に行ってしまいます。マテーラの駅は、地下にあって、駅の手前でトンネルに入ったと思ったら駅に到着します。洞窟住居は駅からちょっと解りにくい道を20~30分ほど行ったところの断崖の下にあります。場所を探すときに、高いところの場合は見えていることが多くって、目標の方向が定まりますが、窪んでいるところは解りづらくって困ります。

 着いたところは、かなり深い谷の上で、サッシと呼ばれる洞窟住居は、そこからがけに沿って下って行った壁面に張り付いています。谷のこちら側には、教会などの建物などもあって、びっしりと建物が建っていますが、谷の向こうは岩肌がむき出しです。

 建物は、この岩肌を削って建てられたことが解りますが、表から見ていると、岩肌を削ったテラス状の土地に、建物を建てたように見えます。もちとんそれに近い建物もあるようですが、それでは洞窟住居として世界遺産にはならなかったのでしょう。一軒の土産物屋さんに入ると、建物の内部の様子がうかがえました。通常の建物に見える部分は、家の入り口付近、玄関部分とでも言えばよいのでしょうか、までで、後ろの部分は岩壁を掘り込んで作られています。洞窟の前に、額縁状に玄関部分を貼り付けたといった風です。

 かつてサッシは、貧民街のレッテルを張られて廃墟化していたとの事ですが、たしかに人の気配は少なく、崩れた門の向こうには瓦礫が積み重なっている場所も多いのですが、前述のお土産屋さんをはじめ、生活感のある建物も多いように見かけました。

観光客のものにしては雰囲気の違う車も通ったり駐車していたりもします。

 ただし、天気が悪かったことにもよるのでしょうが、景色がくすんでいるんです。岩肌の色も、建物の外壁の色も同じで、屋根が少し茶色が濃いくらいで、コントラストがほとんど無く、べったりとした印象です。建物に使った石材も、この岩山で採れた物なのかもしれません。色自体は、心なごむいい色で、イギリスのコッツウォルズの建物群と似ていると思うのですが、この色が垂直方向にも立ち上がって、木々の緑などとの対比が無いので地味なのでしょうか。廃墟に咲いていた赤い花が、ちょっとアクセントになっていましたが。

 携帯電話の電波は、一つの基地局と、隣の基地局との電波の干渉を防ぐため、通常はやや下向きに放射されることが多いようです。こうすることで、必要以上の距離に電波が飛ばないようにとのことです。また、電波の波長が短くなったため、光の性質と似て、建物の陰などにも届きにくくなりました。崖にへばり着くようなマテーラでは、崖の上にアンテナがあっても、見通せないし、アンテナを谷底に置いたのでは、上向きに電波を出さねばならないし、どうしてるんでしょうかね。
 マテーラでなくとも、基地局のアンテナより高いビルなどでは、電波が受かりにくいといった不都合が起こります。最近の大きなビルでは、ビル内に専用のアンテナを設置して使えるようになっているところも多いようです。ただ、キャリアが設置するアンテナ以外のものは、電波法に違反した機器が多いようです。微弱電波を使っているので、違反していないと宣伝しているようですが、明らかに違反機器と推定できます。基地局の電波を携帯電話に中継している電波は、微弱電波なのかもしれませんが、携帯電話の電波を基地局に中継している電波は、微弱では基地局には届かないからです。ちなみに、ビル内のアンテナは台北の世界一ののっぽビルの台北101にも設置されていて、高層階でも問題なく携帯電話が使えるそうです。当然、電波法に則った機器が置かれてあることでしょう。