世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

おとぎ話のような派手な宮殿のあるシントラ(ポルトガル)

2007-11-11 10:20:56 | 世界遺産
 北京の天壇にある祈念殿はコバルトブルーのなかなか派手な建物でしたが、さらに派手で、まるでおとぎ話に出てきそうな建物があるのがポルトガルのペーナ宮です。今回は、ペーナ宮やシントラ宮殿のあるシントラの文化的景観を紹介します。

 シントラの2つの宮殿は、ポルトガルの首都のリスボンから電車で1時間足らず乗車して、終点からバスで山を登ったところにあります。ど派手なペーナ宮はバスで登りきったところにあって、入場券を買って門を入っとところは木立の茂る庭で宮殿は見えません。宮殿はさらに上のほうです。小型のバスがさらに上のほうへ連れて行ってくれますが、しっかりと別料金を請求されます。ペーナ宮は19世紀の建築で、バイエルン地方の有名なノイシュバンシュタイン城に先立つこと30年前に完成しています。遊園地風の宮殿が同じ頃に作られたことになりますが、作らせた二人の主人公はいとこ同士なので、なるほどとも思います。

 ノイシュバンシュタインが白を基調にして、色合いを抑えたデザインになっているのに対して、ペーナ宮は、色といいデザインといい、種々の様式をごった煮にした感じです。小型のバスから降りて建物の姿が目に飛び込んできた時には、バスを乗り間違って遊園地にでも迷い込んだかと思いました。

けっして、いい趣味とは思えませんが、ここまで遊園地風に徹しきると、けっこう楽しい気分にもなれます。建物は人工美?の極地ですが、周りは緑豊な自然が大西洋まで続いていて、対照的です。テラスで昼食をしましたが、なかなか気持ちが良かったです。

 一方、シントラ宮は山の中腹辺りに位置していて、14世紀に建てられた夏の離宮の名残です。こちらは白を基調とした、比較的地味な外観をしていますが、王宮だけに内部はなかなか美しかったようです。ポルトガルの建築で内部を美しく飾るのに用いられるアズレージョも見事だったように思います。この宮殿で目立つのは、台所からそびえている2本の煙突で、天から白いサツマイモが降ってきて突き刺さったようなずんぐりとした形は、細身の煙突を見慣れた目には奇妙な形に見えます。

ただ、この煙突が、宮殿のデザインの上でアクセントになっていて、存在感を持っているようにも思います。

 シントラの緑は大西洋まで続いていますが、その先にはロカ岬があり灯台がぽつんと建っています。灯台の先は大西洋に落ち込む断崖ですが、さほど特徴的な岬でもないのですが、ここがユーラシア大陸の最西端なのです。

バス停のそばにある土産物屋では、最西端に来たという証明書も売っています。日付変更線を超えた証明や、赤道を越えたという証明が、飛行機の中で配られたこともありましたが、似たような証明書ってところで、性懲りも無く買ってしまいました。

 ロカ岬から見た大西洋は真っ青な海原が水平線の向こうまで延びていました。かつてコロンブスなどが、この海原に船出をしていったときにもこのような青さであったでしょうが、高精度で自分の位置を知るGPSなどの進路や位置を認識する支援システムの無い航海は、大変な冒険だったのでしょう。支援システムはおろか、アメリカ大陸の存在を認識していなかった彼らには、地図(海図)も無かったわけでしょうから。ただ、ヨーロッパ人が発見したというアメリカ大陸には、彼らのやってくるずっと前からネイティブ・アメリカンが住んでいたわけで、発見っていうことはどういう意味があるのでしょうか。