世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

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世界遺産の白川郷の合掌造りは合理的な建築に思えます

2007-11-04 10:24:04 | 日本の町並み
 阿武川の三角州に発展した町が萩でしたが、傾斜のきつい大きな三角形の屋根を持つ家が合掌造りです。豪雪地帯ゆえ雪を降ろしやすく、屋根裏を養蚕スペースとして確保するために考えられた合理的な建築物のように思います。合掌造りの村は2地区が世界遺産にも登録されていますが、その中から白川郷を紹介します。

 白川郷は、岐阜県の西北端、富山県と接するところにあります。現在は北側の富山県や石川県からも高速道路やスーパー林道が通じていますが、かつては南側からしかアクセスできませんでした。富山県の合掌つくりの村の五箇山と同様に庄川の流域の狭い平地にできた村落で、共に平家の落ち武者伝説があるくらいの土地ですから、便利な土地であったはずはありません。

 合掌造の家は大小取り混ぜて100軒ほどが残されていて、五箇山と比べると数は多いようです。そのうちのかなりの数が民宿になっていて、囲炉裏のある部屋での食事などをうたい文句に観光客を集めています。筆者が宿泊した民宿は、天井が張られていて、屋根裏の様子はうかがえませんでしたが、オーナの暖かいもてなしが記憶に残っています。

 大家族の住居ゆえ屋根裏にも居住スペースがあるように考えられますが、通常は養蚕のための場所で、公開されている保存住居の2階に上がると、蚕棚の跡がうかがえます。太い柱は囲炉裏の煙で黒光りをしていましたが、茅葺の屋根を害虫から守るために、囲炉裏の煙は有用だったのだそうです。それでも30年程度しかもたないそうで、定期的に吹き替えが必要になります。大きな屋根を葺き替えるのは大変な仕事のようで、村中で共同作業によって1~2日で完了させてしまうそうです。この共同体のことを「結(ゆい)」と呼び、農作業での共同作業が必要な場合にも機能しているそうです。かつて見た映画のシーンに、アーミッシュの村で共同作業による家作りを見て感動しましたが、同じような光景が見れるのではないでしょうか。

 建築の分野では、構造的に丈夫なものとしてピラミッドや鉄橋のトラスなどで使われる三角形ですが、電気分野ではなじみが薄いように思います。三相交流関連の図面や、回路図に出てくるオペアンプぐらいを思い出します。初めて三相交流を学んだ時には位相の概念がなかなか理解できなかったように思いますが、モータの駆動にも便利な3本の電線で運ばれる三相交流も、なかなか合理的な方式のように思います。