世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

世界遺産の白川郷は紅葉も美しいのです

2006-11-05 13:54:33 | 日本の町並み
 紅葉前線は北から南へ、標高の高い山から麓に下りてきます。近年は地球温暖化のためなのか、徐々に紅葉が遅れているようにも感じます。綺麗な紅葉は、その年の日照や気温の変化の度合いに影響されるようですが、見ごろはほんの1週間程度と短いように思います。今回は数ある紅葉の名所の中から、11月上旬にピークを迎える白川郷周辺を紹介します。

 紅葉は秋口の日照によって葉っぱの中に蓄えられたアントシアンが、気温の低下とともに減少するクロロフィルの緑色の退色によって表に現れるものです。このため、日照不足の年の紅葉は、あまり赤くならないで、枯葉色になって散ってしまうようです。日本の紅葉はカエデ、それも葉の細やかなイロハカエデが中心で、場所によってはハゼやウルシの鮮やかな赤が加わるようです。

 白川郷はいわずと知れた日本に13箇所ある世界遺産の一つです。かつては足の便が悪く、秘境の一つとして簡単には訪問できませんでした。この不便さが、平家の落ち武者が生き延びる環境を与えたのでしょう。深い雪と外界から遮断された大家族社会とが独特の合掌造りの家を生み出したのではないでしょうか。現在では、名古屋、岐阜、金沢それに富山県の高岡から路線バスが出ていて、それこそ四方からアクセス可能なまでなっています。ただ、真冬には雪のため金沢ルートは閉ざされるようですが。合掌造りのを移築した野外博物館が合掌造り民家園で、現役の家ではありませんが、現役でないだけに屋根裏の構造なども見学できます。この民家園の雨にぬれた紅葉がなかなか見事でした。

 白川郷全体を見晴らすには荻町城跡の展望台に登るのがよく、長距離バスのターミナルから展望台までマイクロバスが運行されています。

足に自身の向きには麓から歩いても15~20分ほどで登ることもできるでしょう。合掌造りの茅葺は30年に一度程度の割合で吹き替えが必要で、このときは村の結いという組織で共同で作業をするようです。ただ最近は材料の茅の入手が難しく、大屋根を片側ずつ葺き替えるという手順が採られるそうです。また茅葺は当然ながら火災に弱いので、火の気にはずいぶんと神経を使っていらっしゃるようです。万一の火災から守るため、合掌造りの建物のそばには消火栓が準備されていて、春と秋に訓練を兼ねて一斉放水をします。この一斉放水を前述の展望台から眺めるとなかなか見事なようです。ただ、残念ながらこのスケジュールは前もって公開されていないので、その日に当たった人は幸運!といったところでしょうか。

 筆者の場合は宿泊した1週間後が放水の日だったようです。その代わり、宿泊明けの朝に散歩のとき、前日の雨を含んだ合掌造りの大屋根から湯気のようなものが立ち上る風景を眺めることができました。

 インターネットを通じて遠く離れた地点の現在の映像をWebカメラにより見ることができる場所が増えています。白川郷にも展望台にWebカメラが設置されていて、少し画面は小さいのですが村の様子をうかがい知ることができます。真冬に行われる白川郷や、同じ庄川沿いの世界遺産の五箇山のライトアップも寒さ知らずに眺めることもできます。このようなWebカメラは画面が小さかったり、不鮮明であったりしますが、これから出かける旅行先の状況を、雪が降っているか?紅葉しているか?など事前にチェックでき便利なことが多いものです。ただし、町中にカメラを設置して公権力に見張られるのは願い下げですが。