メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

サタデー・ナイト・フィーバー

2018-01-17 14:17:36 | 映画
サタデー・ナイト・フィーバー(Saturday Night Fever、1977米、119分)
監督:ジョン・バダム、音楽:ザ・ビー・ジーズ、デヴィッド・シャイア
ジョン・トラヴォルタ、カレン・リン・ゴーニイ
 
このところ、評判になりどんな映画かだいたい知ってはいても見てはいなかったものを、TVで見ることがよくある。これもその一つ。
 
ブルックリンに住んでいるおそらく移民家族の20歳前の息子トニー(トラヴォルタ)が、塗料販売店で働きながらダンスの才能を発揮、ダンスコンテストでの優勝を目指して、ダンス練習場で見つけた年上の女性(ゴーニイ)と、トラブルを重ねながら、進んでいくというストーリー。
 
トニーの周りにいる男女は、皆つっぱりの悪がきで、トニーにもその傾向は少しあるものの、ダンスという目標があるからか、多少距離を置く冷静さはある。
 
全体にこの映画で使われる音楽(ほとんど聴いた記憶があるのはすごいが)に乗って快調なテンポで進んでいき、特に前半はたるみが全くない。男女二人の間柄が微妙になってくると、少ししっとりになるが、最後はあっという間の結末。
 
皆はトニーのカップルが優勝、と騒いで事実そうなるのだが、トニーは2位のプエルトリコの組が上と、トロフィーを譲って出て行ってしまう。これで、ダンスで勝つまでという成功物語、根性物語になることが避けれれていて、この時代と地域の、いい意味での風俗映画になっている。それとダンス自体の魅力も存分に味わえる。
 
ブルックリンの人たちの、特に家族内のやりとりなどは、先の佳作「ブルックリン」(2015)の記憶があったから理解しやすかった。加えて対岸のマンハッタンに対する対抗心は、この二つに加え「ジャージー・ボーイズ」(2014)にもあった。こっちはブルックリンとは反対側だが。
 
トラヴォルタは後のアクションスターとしての姿よりは荒削りだが、この役にはぴったり。相手役のゴーニイは年上のという設定にしても、嘘で固めたところもある見せかけの上昇志向という役柄には、ちょっとおとなしい感じ。
 
それにしてもザ・ビー・ジーズは、ポップでありロックでありダンサブルでありセンチメンタルでありという多面的な音楽性、才能を発揮していて驚きである。この映画の中でも、全く違うシチュエーションで使われる一見違う音楽が、よく聴くと根本が同じという、なかなかのもの。
 
ところで「小さな恋のメロディ」とこれという対比も面白いが、以前から感心しているのは、キャロル・キングの大ヒットアルバム「Tapestry(つづれおり)」のトリビュートアルバム、つまりオリジナル・アルバムと同じ曲と並びで、いろんなミュージシャンがカヴァーして作られたもので、中でもザ・ビー・ジーズが歌っている「Will You Love Me Tomorrow?」が素晴らしい。


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