ジャージー・ボーイズ(2014米、134分、JERSY BOYS)
監督:クリント・イーストウッド
ジョン・ロイド・ヤング(フランキー・ヴァリ)、エリック・バーゲン(ボブ・ゴーディオ)、マイケル・ロメンダ(ニック・マッシ)、ヴィンセント・ピアッツァ(トミー・デヴィート)、クリストファー・ウォーケン(ジップ・デカルロ)、マイク・ドイル(ボブ・クリュー)
「シェリー」という1962年のヒット曲は60代後半多くの人の記憶にあるはずである。日本でカヴァーしたのは九重佑三子・パラダイスキングで、あの漣健児の訳詞。
歌ったのはフォー・シーズンズというニュー・ジャージー出身の4人組。この若者たちがどう出会い、音楽をやり、「シェリー」から始まるヒットを続け、しかしいろいろもめごとがあって、それぞれの人生がどうなっていくか、ヒットしたミュージカルの映画化である。この時代のミュージシャンにはありそうな話だが、見ているこっちとしても新しい発見がいくつかあって、面白く見ることができた。
「シェリー」一発ではなく、その後かなり継続して活躍しており、1960年代中ごろからはアメリカもビートルズに席巻されたのだが、このグループはずいぶん頑張っていたようだ。
あのハイトーンが目立つリード・ボーカルはフランキー・ヴァリで、そういわれるとその後ソロでたびたび名前を聴いた気がする。4人目に作曲・キーボードで優れたボブ・ゴーディオが入ったことが、「シェリー」をはじめヒットを飛ばし、また彼の性格ゆえかかなり長続きしたようだ。ゴーディオを紹介したのがメンバの仕事仲間のジョー・ペシ(俳優)だった(年齢からしてちょっと疑問もあるけれど)とか、ゴーディオがその前に作っていた曲にあの「Short Shorts」(タモリ倶楽部のテーマ曲)があったり、マイク・ドイル(プロデューサー・ディレクター)が実はあの有名なリベラーチェ(ラスベガスなどで活躍した派手なエンターテイメント系ピアニスト)だったり、エピソードに欠かない。
フランキーとボブが他の二人と離れがちになり、またフランキーの家族に不幸があって彼が落ち込んだ時にボブが書いてフランキーを復活させたのがあの「Can't Take My Eyes Off You」(君の瞳に恋してる)だったとは(この場面はシンプルに感動的)。この曲は多くカヴァーされ、1980年代バブル期のディスコでは一番人気があった。
なぜか4人が気に入り、面倒をみていた街の顔役デカルロは、久しぶりのクリストファー・ウォーケン、この人が出ているとその役をじっくり味わう気になる。
監督はクリント・イーストウッド、この人の守備範囲は本当に広い。いろんな人間のいろんな面に興味を持ち入り込んでいくのだろうが、そこから表現へというのは驚異的である。見てはいないけれど「グラン・トリノ」(2008)という映画があるように、若ものたちへの関心は深いのかもしれない。この映画、細かいところに気のきいたエピソードがあり、なかなかしゃれているが、欠点は長いこと。前半を工夫して2時間以内にしてほしかった。
さて前述のように、「シェリー」の後はビートルズが目立ってしまったせいか、何十年かたって、1960年代のアメリカのポップスについては特にわが国では情報不足になっている。だからあの「アメリカン・グラフィティ」(1973年、ジョージ・ルーカス)は貴重なのだが、これは1962年の一夜が舞台、まさに「シェリ-」とはすれ違いで、フォー・シーズンズの曲は使われていない。したがってこの「ジャージー・ボーイズ」はそれを補ってくれてうれしい。加えてビーチ・ボーイズの映画も作られているとかで、それも見てみたいと思っている。個人的にはアメリカの音楽の方がイギリスのものより好きだし。
監督:クリント・イーストウッド
ジョン・ロイド・ヤング(フランキー・ヴァリ)、エリック・バーゲン(ボブ・ゴーディオ)、マイケル・ロメンダ(ニック・マッシ)、ヴィンセント・ピアッツァ(トミー・デヴィート)、クリストファー・ウォーケン(ジップ・デカルロ)、マイク・ドイル(ボブ・クリュー)
「シェリー」という1962年のヒット曲は60代後半多くの人の記憶にあるはずである。日本でカヴァーしたのは九重佑三子・パラダイスキングで、あの漣健児の訳詞。
歌ったのはフォー・シーズンズというニュー・ジャージー出身の4人組。この若者たちがどう出会い、音楽をやり、「シェリー」から始まるヒットを続け、しかしいろいろもめごとがあって、それぞれの人生がどうなっていくか、ヒットしたミュージカルの映画化である。この時代のミュージシャンにはありそうな話だが、見ているこっちとしても新しい発見がいくつかあって、面白く見ることができた。
「シェリー」一発ではなく、その後かなり継続して活躍しており、1960年代中ごろからはアメリカもビートルズに席巻されたのだが、このグループはずいぶん頑張っていたようだ。
あのハイトーンが目立つリード・ボーカルはフランキー・ヴァリで、そういわれるとその後ソロでたびたび名前を聴いた気がする。4人目に作曲・キーボードで優れたボブ・ゴーディオが入ったことが、「シェリー」をはじめヒットを飛ばし、また彼の性格ゆえかかなり長続きしたようだ。ゴーディオを紹介したのがメンバの仕事仲間のジョー・ペシ(俳優)だった(年齢からしてちょっと疑問もあるけれど)とか、ゴーディオがその前に作っていた曲にあの「Short Shorts」(タモリ倶楽部のテーマ曲)があったり、マイク・ドイル(プロデューサー・ディレクター)が実はあの有名なリベラーチェ(ラスベガスなどで活躍した派手なエンターテイメント系ピアニスト)だったり、エピソードに欠かない。
フランキーとボブが他の二人と離れがちになり、またフランキーの家族に不幸があって彼が落ち込んだ時にボブが書いてフランキーを復活させたのがあの「Can't Take My Eyes Off You」(君の瞳に恋してる)だったとは(この場面はシンプルに感動的)。この曲は多くカヴァーされ、1980年代バブル期のディスコでは一番人気があった。
なぜか4人が気に入り、面倒をみていた街の顔役デカルロは、久しぶりのクリストファー・ウォーケン、この人が出ているとその役をじっくり味わう気になる。
監督はクリント・イーストウッド、この人の守備範囲は本当に広い。いろんな人間のいろんな面に興味を持ち入り込んでいくのだろうが、そこから表現へというのは驚異的である。見てはいないけれど「グラン・トリノ」(2008)という映画があるように、若ものたちへの関心は深いのかもしれない。この映画、細かいところに気のきいたエピソードがあり、なかなかしゃれているが、欠点は長いこと。前半を工夫して2時間以内にしてほしかった。
さて前述のように、「シェリー」の後はビートルズが目立ってしまったせいか、何十年かたって、1960年代のアメリカのポップスについては特にわが国では情報不足になっている。だからあの「アメリカン・グラフィティ」(1973年、ジョージ・ルーカス)は貴重なのだが、これは1962年の一夜が舞台、まさに「シェリ-」とはすれ違いで、フォー・シーズンズの曲は使われていない。したがってこの「ジャージー・ボーイズ」はそれを補ってくれてうれしい。加えてビーチ・ボーイズの映画も作られているとかで、それも見てみたいと思っている。個人的にはアメリカの音楽の方がイギリスのものより好きだし。