ピアノ:エレーヌ・グリモー、チェロ:ソル・ガベッタ
シューマン「三つの幻想小曲集」(op.73)
ブラームス「ピアノとチェロのためのソナタ第1番」(op.38)
ドビュッシー「チェロとピアノのためのソナタ」
ショスタコーヴィチ「チェロとピアノのためのソナタ」(op.40)
録音:2012年5月(DG)
とてものびやかで変に神経にさわるところのないチェロ、ぴったり寄り添いより大きく高いところに持っていくピアノ、選曲とともに傑作アルバムである。
チェロのガベッタは初めて聞く名前だが、男性でもこれだけ楽々とこの楽器を響かせてこのような曲を弾く人はそういないだろう。
シューマンは最初あのリヒテルがモノラル時代に録音したひっくり返るようなすごい演奏の曲かと思ったら勘違いで、チェロとの二重奏だった。とはいえこれは、このチェロの音色とシューマンの得意なピアノパートで楽しめた。
ブラームスはもっとも彼女の音色、奏法がいきたものだろう。
ドビュッシーはたしか晩年の曲で、もっとところどころストレスがある演奏が多く、それはそれで好きなのだが、こう演奏されるとこれもなかなかである。
ショスタコーヴィチ、本当にいい曲。初期のものだからか、聴きやすいが若いというわけでもなく、目を閉じて聞くと鮮やかで豊かな世界が広がってくる。
この曲、以前ショスタコーヴィチを集中して聴いたとき、その中になかったのかなと棚のCDを捜してみたら今をときめくウィスペルヴェイのものがあったが、情けないことにどんなだったか記憶がない。
さて、このチェロとセッションを組んだグリモー、これがまた見事で、チェロのパートもよく理解しているからだろうか、たとえば各曲のクレッシェンドとアッチェレラントのところなどのピタッとあって、しかもそのまま盛り上げていく。ジャケットの中のインタビューで、この話が出たときにケミストリーを感じたとあったが、やはりそうなのだろう。それに写真を見ると美人姉妹のようで。
ウィスペルウェイの演奏にあまり感じなかったのは、ピアノパートの違いかもしれない。
エレーヌ・グリモー、年1~2枚のペースだが、このところソロでないものが結構ある。コンチェルトは若いピアニストに多いがその時期を過ぎても好きなのだろうが、室内樂のようなものも増えてきそうで、アルゲリッチみたいになるんだろうか。ファンとしては気にかかるところだ。