ドラゴン・タトゥーの女 (The giel with the dragon tatoo 、2011米、158分)
監督:デヴィッド・フィンチャー、原作:スティーグ・ラーソン
ダニエル・クレイグ(ミカエル)、ルーニー・マーラ(リスベット)、クリストファー・プラマー(ヘンリック・ヴァンゲル)
ベストセラー「ミレニアム」三部作第一作の映画化で、先に原作者の母国スウェーデンで3作とも映画化されている。ずいぶん早いリメイクだが、それだけ原作が話題になり、興業的な見通しがあったのだろう。
結論から言えば、劇場で一気に見るならこっちの方が楽しめる。原作を読んでいたから、それとの対応からすれば先の映画の方がなるほどなるほどと思えたが。
まず主人公ダニエル・クレイグは原作、スウェーデン版と比べてシェイプ・アップされていて、編集者がこの立場になってから鍛えだしたという感はない。それは編集のパートナーである女性との関係があまり密でないようになっているのとも対応していて、ようするにあまり出自、背景にこだわっていない。
そして女主人公リスベット役のルーニー・マーラ、この役と報じられたときに、あの「ソーシャル・ネットワーク」の彼女が出来るの?と意外だったのだが、見事に予想を覆してくれた。
スウェーデン版の方が原作からのちょっと変わった娘というイメージにはあっているけれど、映画の大画面では彼女もいい。
過去、事件を突き止めていくプロセスは、多くのデータ、その収集、多くの写真とその照合など、それで何が追求され何がわかったかは早すぎてよくわからないけれど、要所要所で要するに何ということはわかるようになっている。原作どおりになぞっていると映画としてまだるっこしいが、このプロセスと手際よくみせることによってリスベットのリサーチ、追求のすごさを結果として印象づけることに、うまくなっている。映画としてはこういう手法がベストだろう。
そういうことからも、この映画は吹き替えで見た方が、という予想は当たった。英語ネイティブ相当でない限り、これではほとんど字幕ばかり追うことになり、映像の早い動きはほとんど味わえないだろう。
画面の色調は北欧を意識したのか全体に暗めで、そういうイメージにこっちがつきあってもいいのだが、できるだけ大きな画面で見た方がいいかもしれない。