小さな建築 隈 研吾 著 (岩波新書)2013年
建築を大きな建設会社が建てるというのでなく、もっと普通の人が作り、変えていき、解体しということができないかという発想から、そういうアイデア、手法を紹介したもので、知らなかった材料、工法がずいぶんたくさん出てくる。
最初はポリタンクの組み合わせで、レンガという人が一人で扱える要素に対応するもの、しかもそれは最初はもっと軽く、水を入れれば重量、強度も出て、いらなくなれば水は抜けばいい、というものである。
そうやって、積、もたれかかる、織る、ふくらます、という手法・コンセプトに分類し、隈自身がコンペや注文でトライしたものが説明される。
またそうして、従来型の建築のノウハウ、知恵もいくつかわかってくる。
一読、面白いが、さてこれで多くの建築、特に住居が変わってくるかというと、それはなかなか難しいだろう。
また、アメリカという国がヨーロッパ移民を中心にできたのにもかかわらず、郊外などに土地を取得、新築の比較的大きな個人住宅を求めるということを主流にした、という指摘はなるほどと思わせる。
だからあの最近の不況も生まれた、また日本も特に戦後は同じような流れになっているという指摘はそのとおりだろう。