イタリア対ドイツ 延長 2-0
延長後半を見ながら考えていたことは、なぜイタリア3枚目の交代カードがデルピエロだったのかということだった。それは彼がダメ押しの2点目を入れたあとも続いていた。
確かによく働いていたペロッタを代え、3トップ気味にするのは、スコアレスのあの時間帯なら考えられなくもないが、インザーギでオフサイドの裏をつくという手もあった。だがリッピはチーム全体の力を信じてシステムを変えることを考えたのかもしれない。
W杯でドイツはイタリアに勝ったことはないが、イタリアもPK戦には弱く、できれば延長後半のうちに決めたい。
そしてその結果は出た。オーストラリア戦と同じように。
ドイツはPK戦を意識しただろう。最後のカードでクローゼに変えたノイビルも心なしか危険な雰囲気に欠けていた。
あと数分、ドイツの「このまま」意識をイタリアが本能的についたという結果になった。
役者はそろっていた。右コーナーキック、キッカーはデルピエロ、GKレーマンの前方に来たボールをジラルディーノ(多分)が頭で戻し、それをピルロがキープして右に動き、ディフェンスを3人くらい引き連れて前方のスペースがあいたと見てそこに出す、セットプレーだったから右に来ていた左サイドバックのグロッソが利き足の左で蹴ったボールはレーマンの指先をかすめ巻くように左ゴールポストの内側に入った。あの位置だと左利きでなければ入らない。
もちろん結果論であるが、デルピエロが入ったからあそこのコーナーキックはデルピエロになり真ん中に戦術にたけたピルロがいた。それにピルロは全般によかったがなぜがコーナーキックはいつもレーマンにとられもう少し変化をつけてもというところだった。このところをリッピは見ていたのだろうか。
それにしても、アズーリ達はゴールを守るということに陶酔感を抱いているのではないか。GKブッフォンが取れないと思ったシュートはこの日もなかったし、カンナバーロはキャプテンとしてもそろそろジダン並みの風格が出てきた。
こういうときのダメ押しもイタリアらしい。1点リードしている、イタリアでも2点目はほしいが、あまり積極的にとりに行けばカウンターで同点にされるということもわかっている。だからカテナチオと併行しての攻撃は、ひたすら少人数で得意の形がくるのを待つということではないか。
たとえばチェコ戦のインザーギによるオフサイドトラップの裏狙い、そしてこの日のジラルディーノのカウンターとデルピエロの十八番「左45度デルピエロ・ゾーン」。
事実上の決勝点の2分後、あせった相手の強引なパスに立ちふさがるカンナバーロのインターセプトからジラルディーノに渡り、彼は相手バックスが戻って来たのを見て少しためをつくる、がTV画面で誰か来ているのかと見ると左後ろにデルピエロ、必ず来ているのだろう。あとは入らないわけはないというように、アレックスはトラップもせずに得意のループシュートを決めた。
これはもうドルチェ(デザート)!
さて、この日も右サイドで大活躍したカモラネージの頭は、お笑い時代劇役者のちょんまげである。どうしてこうしたのかきいてみたい。4年前にはロナウド(ブラジル)の大五郎カットがあった。