「ソフィー・ミルマン」
ソフィー・ミルマン、この自らの名前を冠したデビュー・アルバムは2004年に出たらしく、録音当時は20歳と推定される。
若いが、風貌からはハスキー・ヴォイスと思いきや、一部の曲の低音パートにそれは多少あるものの、主体はしっかりした頭声、それで前に出てくる明快なフォー・ビートの魅力は、ちょっと他にないもの。
年齢にしてはうますぎるという言い方には、技巧的でハートがないという裏があるが、彼女の場合そうではなく、これだけ形がしっかり出来ているから表情が出てくるわけで、無理な感情移入がないのも美点になってしまう。
最初のアルバムだからか、選曲も個性的で、G.ガーシュイン、コール・ポーター、L.バーンステイン、A.C.ジョビンと古典的なものもヴァラエティに富み、「バラ色の人生」(フランス語)、「黒い瞳」(ロシア語)まである。
おそらく1983年ころ、ロシアで生まれたユダヤ人で、ソ連崩壊後にイスラエルを経て現在はカナダ在住だそうだ。
ロシア系ユダヤ人ときいて、なるほどあの自信に満ちた音楽は、というのにたいした意味はないけれども、これからも聴いてみたいと思わせる。
来日もしているようで、最近三枚目のアルバムが出た。
ところで、ソフィー・ミルマンを知ったのはAmazonから配信されてくるDMで、以前映画「ハッピー・フライト」で使われたシナトラの「Come Fly With Me」のLP盤を持っているけれど今CDではどうなのかと調べていたら、その後ノラ・ジョーンズの「Come Away With Me」というアルバムのお勧めメールが来た。シナトラと共通のジャンルなのかアルバム名が似ているのか、あちらの理由はよくわからない。ノラ・ジョーンズという人が評判なのは知っていたから、これは買ってみて、楽しんだ。
そしてしばらくしたら、今度はソフィー・ミルマンのお勧めである。
ソフトウェアによるしかけだろうが、なかなかよく出来ている。あまり数多く来るのでなければ、それら商品の存在を知らせるだけで、押し付けがましくはない。
実は両方とも買ったのは渋谷のタワーでAmazonではない。ヴォーカルの場合、日本盤で歌詞・対訳付があればそっちがいいので、店頭で買ってしまうこともある。