生きているジャズ史:油井正一著 立東舎文庫 2016年9月
ジャズ評論家油井正一(1918-1998)の書いたものは若いころからそれなりに読んでいたが、この長期間の論集を読むと、イメージも変わってくる。この人の文章を読んでいたといてもお多くはクラシック音楽中心の「レコード芸術」で、著者と野口久光あたりが中心、話題のレコードの紹介だったように記憶している。
本書は、それらとは違って、ジャズの起源、発生かアメリカ南部、シカゴ、ニューヨーク、ウェストコーストと広がっていくあたり、それも禁酒法時代をはさんで、という流れがよくわかってありがたかった。
いわゆるビバップに至るそしてその前後の過程で、今もよく聴かれるモダンジャズの名演奏、奏者が生まれ、その後マイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリュー」に至るところまで。
著者の世代からすると意外にも「ビッチェズ・ブリュー」の評価は高く、画期的というものである。また聴いてみよう。
私のように、モダンジャズをリアルタイムに真剣に聴
ただ、ビバップについてはもう少し音楽的にわかりやすい説明がほしいのだが、これは故人にいってもいたしかたないこと。
おもしろいのは、ある時期までの話し方(文体)が軟派の講談調みないなことで、これは意外。それも韜晦ではなく、著者の育ち、趣味をそのまま出したもののようである。今なら問題とされる言葉づかいがそのまま収録されているのもいい。
私がデジタルアーカイブの仕事をしているとき、つきあいのあった慶應義塾アートセンターの「油井正一アーカイブ」プロジェクトは、相当なもんだといわれていたが、こうして本書を読むとなるほどと思う。
ジャズ評論家油井正一(1918-1998)の書いたものは若いころからそれなりに読んでいたが、この長期間の論集を読むと、イメージも変わってくる。この人の文章を読んでいたといてもお多くはクラシック音楽中心の「レコード芸術」で、著者と野口久光あたりが中心、話題のレコードの紹介だったように記憶している。
本書は、それらとは違って、ジャズの起源、発生かアメリカ南部、シカゴ、ニューヨーク、ウェストコーストと広がっていくあたり、それも禁酒法時代をはさんで、という流れがよくわかってありがたかった。
いわゆるビバップに至るそしてその前後の過程で、今もよく聴かれるモダンジャズの名演奏、奏者が生まれ、その後マイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリュー」に至るところまで。
著者の世代からすると意外にも「ビッチェズ・ブリュー」の評価は高く、画期的というものである。また聴いてみよう。
私のように、モダンジャズをリアルタイムに真剣に聴
ただ、ビバップについてはもう少し音楽的にわかりやすい説明がほしいのだが、これは故人にいってもいたしかたないこと。
おもしろいのは、ある時期までの話し方(文体)が軟派の講談調みないなことで、これは意外。それも韜晦ではなく、著者の育ち、趣味をそのまま出したもののようである。今なら問題とされる言葉づかいがそのまま収録されているのもいい。
私がデジタルアーカイブの仕事をしているとき、つきあいのあった慶應義塾アートセンターの「油井正一アーカイブ」プロジェクトは、相当なもんだといわれていたが、こうして本書を読むとなるほどと思う。