メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

川瀬巴水 展

2015-01-05 16:30:06 | 美術
川瀬巴水展 -郷愁の日本風景-
日本橋高島屋8階ホール 2015年1月2日(金)→12日(月・祝)
 

川瀬巴水(はすい)(1883-1957)という人については、その木版画をどこかで見たことはあったかもしれないが、ほとんど知らなかったと言っていい。この間テレビで紹介があったにしても、人気は高いようで、盛況だった。百貨店での開催ということもあるのだろう。
 

歌川広重のあと、こういう風景主体の版画が見事に続いていたわけである。大正から昭和にかけ東京を中心にした、全国にわたる旅の記録というものが多い。技術的にも特に水の、水面への反射の描きかたなど、見事な上に、情緒的には広重より今の人に近しい感もある。
でも、定番の「日本の風景」より、中に少し近代の要素が入った、つまり建造物、乗り物、庶民などが入ったものが面白い。
 

巴水については、かのスティーブ・ジョブズがまだそれほど有名でないころ、一人で銀座の画廊に入ってきて気に入った一枚を買って帰った後、秘書から店にあるもの全部買うと言ってきた、というエピソードが知られているようだ。今となってはこれも巴水の人気に貢献しているようだが、浮世絵に続いた木版画というジャンルを考えれば、ポジティブに考えていいと思う。

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