「未来をひらく 福澤諭吉 展」(東京国立博物館 表慶館、2009年1月10日~3月8日)
福澤諭吉とはいかなる人か、著書、自筆原稿、書簡、遺墨、遺品、写真などから構成されている。慶應義塾創立150年記念行事だそうだ。
この数年、仕事で多少関係があったとはいえ、慶應義塾に在学したこともなく、家族に卒業生、関係者もいない。それでも、こうして1時間ほどひととおり見ると、福澤とはいかなる人か、その時代、その影響、というものがひととおりわかるよう、よくできている。これもアーカイブとその適切な展示の効用だろう。
この展示は、まったく偶然にも、最近読んだ2冊の(この2冊が続いたのも偶然)日本語に関する本、「白川静 漢字の世界観」(松岡正剛)、「日本語が亡びるとき」(水村美苗)につながっている。
福澤は、最初、ペリー来航のころオランダ語習得に熱心で緒方洪庵のところにいったら、もうオランダ語どころでなく英語でないとだめということがわかり、がっかりする間もなく寝る間を惜しんで猛勉強したという話が、後者の本に出ている。そして、翻訳と近代化という流れで大きな役割を果たした。
「版権」をはじめ、福澤の翻訳による造語はかなりあるようだ。
写真の数も多い。1万円札に使われているのは、本人が一番気に入っているものとか。