「Mr. ビーン カンヌで大迷惑?!」 (MR. Bean's Holiday 、2007英、89分)
監督:スティーヴ・ベンデラック、製作総指揮:リチャード・カーティス、サイモン・マクバーニー、キャラクター創造:ローワン・アトキンソン、脚本:ロビン・ドリスコル、ハーミッシュ・マッコール、音楽:ハワード・マッコール
ローワン・アトキンソン、エマ・ドゥ・コーヌ、ウィレム・デフォー、カレル・ローデン、マックス・ボルドリー、ジャン・ロシュフォール
ビーンについては、よく見ているようで、どんな形で見たかはあんまり記憶にない。TVで見ていることは確かだが、TVのシリーズだったのか、映画のビデオだったのか。
調べてみると、映画はそんなになく、反対にアトキンソンはビーン以外の有名な映画にいくつか出ている。もちろん「ラブ・アクチュアリー」(2003)は印象的だ。
さてこの映画、抽選で当たった旅行券でビーンはTGVでカンヌに行くことにする。副賞のビデオカメラを携えて。このビデオカメラが全編通じて意味を持っており、カンヌ、映画とのつながりもうまく出来ている。
こうしてみると、ビーンものはとにかくコメディアンとして演技の中断がない。つまり見ていて変な人でなくなる瞬間がない。映画でも場面転換で列車の全景が出るときなど以外は、この変な人を見ている、ということになる。こういう人の映画は、いまどきは珍しいのではないか。
それに、他の俳優たちは誰一人コメディをやってない。
そうして、ビーンはいつもせこくて自分勝手、根性悪く、一つのことしか考えられずにいつも失敗するがこの連鎖がとまらない。だからこの人を見ていて好きになることはなく、場面の中でも嫌われっぱなしである。
そういう映画を、にこにこ笑ってみていられるというのはどういうことか、アトキンソンがアトキンソンたる所以だ。
それでも終盤、いよいよカンヌというあたりから、映画ではあるし、見終わって少しはいい気分に、というしかけが始まる。
それは、ビーンと長く仕事をやってきたリチャード・カーチス(製作総指揮)得意の、多くの出演者、そのエピソードを束ね、関係付け、「ラブ・アクチュアリー」(2003)のように、大きな渦巻きの大団円へ持っていくプロセスだ。
他の俳優では、パリ・リヨン駅レストラン給仕のジャン・ロシュフォール、道中一緒になってしまう子供マックス・ボルドリー、女優の卵役エマ・ドゥ・コーヌは、画面の中でぴったりだし、カンヌで作品上映するウィレム・デフォーは最初どうしてこの人という感を持たせ最後はあっといわせるいい配役だった。