「エンジェル」(Angel 、2007年、英・ベルギー・仏、119分)
監督・脚本:フランソワ・オゾン、原作:エリザベス・テイラー(有名女優とは別人)
ロモーラ・ガライ、マイケル・ファスベンダー、ルーシー・ラッセル、サム・ニール、シャーロット・ランブリング、ジェンマ・パウエル
才人オゾン初めての全編英語映画だそうである。
彼がなぜこの映画を作ったのか、わからない。
特に前半、よくある夢見る作家志望の女の子、下層階級の出身、小説で成功するが、それは読書による想像力の世界から出ることなく、わがままな性格もあって、どうなることか、破綻するだろうな、と予感させる。
一目ぼれした画家志望の男と一緒になるが、次第にうまくいかなくなり、二人とも変になっていく。後半少し過ぎてから、それでも普通よりはどこかしつこい作りになっていて、さてこれからオゾンはどうするのかなと、思うのだが、ちょっとした落ちがあるほかは、平凡な終わり方だった。
台詞にあるように、「夢見た人生と現実の人生」を描いてはいるのだが、見るものの感情移入は難しく、画面も、映画的かというと、中途半端で不満が残る。
主役エンジェルのロモーラ・ガライは、最初どうしてこの人が主役なのか、という感じなのだが、ストーリーをわかってみれば、似合っているのかもしれない。ただ華があるとはいえない。
少し前に見た「タロットカード殺人事件」(2006)でスカーレット・ヨハンソが居候する家の友達役だったが、それも名前を照らし合わせて気がついた。外見が地味である。
画家の姉でエンジェルのファン、身の回りの世話役になるルーシー・ラッセルはまずまずの演技。
フランソワ・オゾンはシャーロット・ランブリングの大ファンなのだろう。よく使われるが、今回は見るものが出てきたところで想像するとおりの役と展開で、彼女をまた見て楽しめたという程度だった。