メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

国宝 薬師寺展

2008-04-17 00:40:47 | 美術

平城遷都1300年記念 国宝 薬師寺展(東京国立博物館)(3月25日~6月8日)

薬師寺には行ったことがないから、今回の展示物を見るのはほとんどはじめてである。国宝の日光菩薩立像、月光菩薩立像はこれまで寺の外に出たことはなかったそうだ。
この国宝で名前だけは知っている二つについては、光背がとられて360度すべての角度からじっくり見ることができることもあり、また少し上の方からみることの出来るしかけもあることから、その見事なすがた、出来栄えを堪能することが出来た。
 
ウエストがしぼられ、少し腰を横に突き出し、片膝が上がっている。優美で豊満な肢体、それでいて表情に甘さはない。3メートルを超える身長で相当の幅もありながら、足にはそんなに重量がかかっているようにみえないのも不思議である(特に月光菩薩)。後ろに回ると衣の翻りも優美だ。
 
比較すれば、すこしはずした天才的な出来を感じさせるのが月光、近くで見るとより確かな技術を感じさせ見飽きないのが日光、とでもいえるだろうか。
 
他に、品のいい聖観音菩薩立像、吉祥天像などの名高い国宝もあり、また画像、映像で薬師寺の全貌をわかりやすく展示している。
少し前から続いているが、展示の照明が素晴らしい。
 
解説にもあるように、境内に神社があり、つまり神仏習合の形がこのころからあったわけだが、水煙の絵柄など見ても、また仏像の力強さを見ても、神社、縁起にあらわれる土着信仰があってこそと納得させられた。
 
帰りに東洋館で開催中の「蘭亭序」(3月4日~5月6日)で王義之の拓本(の拓本?)をいくつか見ることが出来た。
詩の内容、書なるものをよくわからなくても、いくつかの字を見ているだけで感銘を受ける。勢い、バランス、見事なものである。
中に「宇宙」を見つけた。いずれも「うかんむり」だが、宇は明朝活字より縦長であり、宙の冠はより大きい。なるほど宇宙はこうだったか。


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