メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

W杯2006ドイツ・ベスト16(3)

2006-06-27 19:31:16 | サッカー
イタリア対オーストラリア 1-0
ロスタイム終了間際、トッティがPKを決めた。
予想も出来ない、いや4年前を考えればシナリオどおり、あまりに出来すぎた結末だ。
 
前半スコアレスというのは、イタリアにとってはそんなに珍しくなく、またオーストラリアにとってそれも監督ヒディングにとっては計画通りだったのではないか。これから得意の攻撃用交代カード3枚をうまくつかっていけばいい。
 
そこに、後半5分ほどでのイタリアDFマテラッティの一発レッドカード退場である。これは横から来ていたザンブロッタの正当なディフェンスによって相手が倒れたもので、レッドはちょっと、であった。
しかも後半開始からイタリアはFW1人交代しており、ここでもう1人をDFに代えたため、残りのカードは1枚となった。ここでヒディングが優勢になったとはいえるだろう。
 
このあとイタリアは無理をせずに耐える。後半最後までじたばたしたって疲れるだけ、延長になればなおさらである。
そして30分近くになる、延長を含めるとあと45分。ここでイタリアの監督リッピはきわめて普通の選択をする。すなわちデル・ピエロをトッティに代える。調子いまいちとはいえ、敵味方の疲れた選手と比べれば段違いの運動能力だ。
 
しかしトッティはあまりあせらず、自分をならしながら様子を見る。40分、ヒディングはようやく日本戦でも得点したアロインジを入れる。
ここでピッチ内イタリアのアズーリ達が考えたことは、ヒディングは延長戦に持ち込みたい、そしてあと2枚のカードでとどめを刺すつもり、あと5分ほどあまり無理をしてこない、これはチャンスだ。
 
そしてカンナバーロ以下のDF、ボランチのガットゥーゾ、ピルロなどがさっとラインを上げプレスをかける。あと数分がんばれば一度休みである。このマインドのそろった動きは見事であった。これが伝統であり、文化だろう。
 
何度もはねかえされ、ロスタイム残り30秒というところでディフェンスライン近くまで下がっていたトッティから左前に大きめのパスが出される。誰かいるのと思ったらそれはなんとそれまであまり前に出こなかったDFグロッソ、ドリブルでコーナー近く激しいタックルを受けたが倒れずこれがアドバンテージ気味になったのが良かった。ペナルティエリア内に入ってもう1回進路をふさがれ倒されたとき審判は笛を吹かないではいられない。
 
このPKを蹴るのはトッティしかないと誰もが思う。4年前日韓W杯の同じベスト16、彼は倒されPKをとったと思ったらエクアドル人審判にシミュレーションを取られ退場となり、最終的にイタリアは敗れた。
こういうとき人は決めるのだ。そう強く蹴れば。
ローマに生まれ、ローマのチームでは一流だが、全イタリアの戦いではいまひとつの内弁慶といわれた王子が、ようやくアズーリの雄となった瞬間を見ることが出来た。
 
ウクライナ対スイス 延長で0-0 、PK戦3-0
スイスは予選リーグから無失点でW杯を去った。
PK戦最初のキッカー シェフチェンコははずしてしまったが、スイスがまた次々とはずした。
 
シェフチェンコのようなFWやMFのファンタジスタはえてして終盤のPKを外す。精神的なものというより、多彩なキックを持っている彼らに疲労がたまったとき、何か不安定になるのではないのだろうか。ディフェンダーが普通のパスの蹴り方でやるほうが確実なことが多い。

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