ミユージアムに行く楽しみには、新しい出会いのほかになじみのお気に入りに会うということがある。それが常設展のいいところだが、近代美術だと東京ではまず東京国立近代美術館そしてブリヂストン美術館である。
今ここで開催されている常設展+αともいうべき「石橋財団50周年記念 雪舟からポロックまで」を5月1日(月)に見た。京橋、久留米の名品をあわせたものである。
京橋には何度も足を運んでいるし、企画により久留米からも主要作品はしばしば来ているからほとんどのものを最低一度は見ている。
それでも、おなじみの印象派の名品からピカソなどその後の流れの主要作家がもれなく並んでいる。なかでもモネの「ヴェネツィア」の向かいの壁に青木繁の「海の幸」が並んでいるとかするのは、なんとも豪華なものだ。
おそらく、近代の西洋絵画の概要がここでかなり理解できるし、日本の近代洋画についても東京国立近代美術館をうまく補完するものがここにある。
関根正二の「子供」、久しぶりだがこの赤は本当にいい。あと、随所に置かれている小さめの近代彫刻、これらを見るのはいつも楽しい。
バランスよく選択されているのは、購入にあたり専門家の意見がうまく入っているからだろうが、個人のコレクションとしてはもう少し癖があればというのは、贅沢な望みだろうか。
さて、いつもこんなに多くの所蔵作品を見ることが出来ないのは、このスペースではやむをえないだろう。
石橋正二郎は京橋の建物(現フィルム・センター)が手狭になった東京国立近代美術館の移転にあたり竹橋の建物を建造し寄贈したわけだが、その意図にブリヂストンでは達成できない何らかの思いがあったとすれば、これは大したものである。