ヒガンバナ(彼岸花)
<学名:Lycoris radiata (L'Her.) Herb.>
ヒガンバナ科 ヒガンバナ属 球根性多年草
曼珠沙華(マンジュシャゲ、またはマンジュシャカ <サンスクリット語 manjusaka の詠み> ) とか、学名からリコリス・ラジアータとも呼ばれたりする
全草有毒な多年生の球根植物。
撮影日 (9月撮影群馬県)
北海道から琉球列島まで見られるが、自生ではなく、中国大陸から直接ないし間接的に 持ち込まれたものと考えられる。
人里、田畑の周辺や堤防、墓地などに見られることが多い。 特に田畑の縁に沿って列をなして咲く姿は見事な景観を作っている。
撮影日 (9月撮影群馬県)
やや湿った場所を好み、時に水で洗われて球根が露出するのが見られることもある。
9月中旬頃に高さ30~50cmの枝も葉も節もない花茎が地上に突出し、その先端に苞に包まれた 花序が付き5~7個前後の赤い花を咲かせる。
撮影日 (9月撮影群馬県)
(稀に色素形成異常で白みがかった個体も 見られる。)撮影日 2019.10.05: 群馬県
散形花序で6枚の花弁が放射状につく。全体としてはすべての花が輪生状に外向きに並ぶ。 花弁は長さ40mm、幅約5mmと細長く、大きく反り返る。
撮影日 (9月撮影群馬県)
花後、晩秋に長さ30~50cmの線形の細い葉を出す。
深緑でつやがり冬中は姿が見られるが翌春に枯れ、秋まで地表には何も生えてこない。
ヒガンバナは三倍体のため不稔性であるが、変種のコヒガンバナ(Lycoris radiata var. pumila)は二倍体で稔性があり、他の種との交配により
多様な園芸品種が 作出されている。
別名が多く、( 死人花、地獄花、幽霊花、蛇花、剃刀花、狐花、捨子花 ) など その他葬式花等の呼び名もあり、墓地に植えられていたところに
由来するのでしょう。
地方ごとの呼び名(方言名)がとても多く、その数は900とも言われます。姿形や性質に 由来するもの、毒があり危険を知らせる意味合いのもの、
はたまた意味不明のものまで 多数あります。
ヒガンバナはヒガンバナ科リコリス属に分類されます。リコリス属は日本を含む 東アジアに数十種が分布します。
よく知られるものに、ショウキラン、 ナツズイセン、キツネノカミソリなどがあります。 ヒガンバナの仲間には野生種の他、多くの園芸品種があります。
以下、主な野生種のリコリスをいくつか紹介します。
キツネノカミソリ <学名: Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea>
(7月撮影)
その後に花茎が出て茎頂に花を3~5個咲かせる。リコリスの中では一番の早咲きで、 7月中・下旬に開花し、花弁があまり反らず、斜め上を向いて咲く。
花被片は6個、長さ3~4㎝、花色は赤みがかったオレンジ色(橙色~黄赤色)で 反り返らない。雄しべ6個、花被とほぼ同長。雌しべ1個。
蒴果は直径約1.5㎝の扁球形。
種子は黒色、扁平、直径5~7㎜の円形。 和名の由来は葉の形が剃刀に似ていることから。 英名はorange surprise lily
変種にキツネノカミソリより花が大きく花弁が 9cm 程になり、長く突き出るおしべが 特徴。本州の関東以南と九州に分布する。オオキツネノカミソリ や
朝鮮半島に由来する種で、日本では長崎県対馬にのみ知られていて葉が冬(12月ごろ)に 出て越冬するムジナノカミソリがあります。
ショウキラン(鍾馗水仙-ショウキズイセン) <学名: Lycoris traubii W.Hayw.>
Lycoris aurea auct. non (L'Her.) Herb.(synonym)からオーレアとも呼ばれる。
日本(九州~南西諸島)、中国、台湾、インド、パキスタン、インドネシア、 ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。
10月上・中旬に鮮やかな黄色の花を1茎に5~10輪開花する。花および茎、葉ともに 大きく、豪華な印象がある。耐寒性は弱い。
ラン科のショウキランと区別するためショウキズイセンとも呼ばれます。 学名のオーレアで球根が出回ることもあります。
ニシキヒガンバナ <学名: Lycoris radiata (L'Her.) Herb. f. bicolor N.Yonez.>
花被に白色の縁取りができるヒガンバナの品種。
ワラベノカンザシ <学名: Lycoris radiata (L'Her.) Herb. var. kazukoana N.Yonez,>
撮影日 2019.10.05: 群馬県
除草剤が散布されたために咲いた形態・色素形成異常のヒガンバナ
彼岸花はもっとも一般的に使われる名前です。 この名前の由来には2通りの説があります。
1つ目はちょうど秋の彼岸のころに 花が咲くことから付いたという説。
2つ目はヒガンバナには毒があるのでこれを 誤って食べると彼岸に行く(死ぬ)ことから付いたという説です。
曼珠沙華(まんじゅしゃげ)は、仏教発祥の地の言語であるサンスクリット語 「manjusaka」が元になった言葉で天上に咲く伝説の花を意味しています。
真っ白な花で人々の犯してきた悪行を払うとされています。 ヒガンバナのイメージが不吉なものや縁起が悪いものが多いなか、 ありがたい名前なのです。
もちろんヒガンバナにも白い花がありますが、 日本では赤い花もひとくくりにして曼珠沙華と呼んでいます。
ヒガンバナ特集 こちらも覗いてみてください。