生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

心のすき間が埋められて(その1)

2005-12-09 11:29:22 | エッセイ
 「日記に「空しさ」について書きましたので、それに関連した内容のエッセイを紹介します。これは、5.6年前に書いたものです。
なぜわたしがクリスチャンになったのか(救いのあかし)を書きしるしています。

 


 わたしは、仏壇と神棚のある家で育ちました。祖母は毎日仏壇に手を合わせており、父は、毎月1日になると神棚を掃除し水を上げ、拝んでいました。母は「人間、死んだら終わり。死んだ後は何にもないのよ」と、口癖のようにいっていました。

母は、わたしが生まれる2年ほど前に長男を生後5日で亡くしていました。わたしは2才のとき、肺炎で生死の境をさまよったこともあったので、とても過保護に育てられました。

人前ではおとなしくいい子だったのですが、家ではわがままでよく癇癪を起こしました。そのくせ非常にこわがりで、雷や地震、犬、小さな虫にいたるまで恐怖を感じ、いつもびくびくしていました。
臆病な性格のため、人前で何かをしなくてはならないときや、困ったときは「神様、仏様!」と心の中でいつも唱えていました。でも、中学生の頃、仏様は死んだ人がなると聞いていたけれど、神様ってどういうものなんだろう? と疑問を感じました。

父はよく、わたしが悪いことをするとバチが当たるからやめなさいといってしかりました。神様は、バチを当てる恐ろしい神様というイメージがありました。また、祖母はどんな物にも神が宿ると言って、八百万(やおよろず)の神様がいると話しました。

当時は、なぜか子ども部屋に仏壇と神棚がありました。あるとき急に思い立って、部屋の模様替えをしました。たんすを神棚の下に移動してその上に仏壇をのせていると、父と母が来て、ひどくしかりました。
「神棚の下に仏壇を置いたらだめだ。神様と仏様がけんかするから」
と、父が言いました。
 神様と仏様がけんかをする…… どういうこと? 神様と仏様は仲が悪いんだろうか……。 「神様、仏様」と唱えては、まずいんだろうか……。どっちを唱えた方がききめがあるの?
 わたしは疑問に感じると、どこまでも考えてしまう性格でした。台にのぼって神棚の中をのぞいてみました。紙のお札のような物しか入っていません。仏壇ものぞくと、小さな仏像と位牌があるだけです。こんな物には頼れないと思いました。
 何も信じられませんでした。でも、信じられる確かなもの。守ってくれるものを心から求めていました。
 
中学1年の2学期に父親の転勤で、東京から神戸に引っ越しました。方言の違いもあって、いじめられました。中2のときは、ひとりも友達がいなくて、1年間全くの孤立状態でした。
 孤独の中にあって、心の中にすき間があり、そこにいつも冷たい風がふいているような気がしていました。すき間を埋める物を求めていました。

 

拍手ボタンです

web拍手