いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

大佛次郎集

2007年09月28日 | 極楽日記(読書、各種鑑賞)

 ゆるゆると続いているリサイクル文学集の読書。今度は大佛次郎(おさらぎじろう)集です。年輩の方には「鞍馬天狗」の作者として知られる人ですが、「詩人」「地霊」はロシア革命期のテロリストの活動を事実に即して描いた作品。

 尊王の志士である鞍馬天狗とロシアの暴力革命家が、大佛さんの頭の中でどのように解釈されているかは興味のあるところですが、いずれにしても官憲のスパイにしてテロリストの首領であったアーゼフや、戦局の悪化に日本の敗北を嗅ぎ取って蠢きまわる「帰郷」の登場人物など、二面性のある人格を描く大佛さんの筆は冴えています。今となっては叶わぬことですが、こうした筆致で、例えばCIAのエージェントでありながら日本の最高権力者として戦後日本の舵取りをした奇怪な人物、岸信介を描いてくれればさぞ面白い小説や映画になったと思います。

 諜報活動、つまりスパイ活動の究極は政治を操ることであり、非合法な情報収集や実力行使などよりも、資金提供による政権操作の方が本道です。戦後のアメリカ政府はCIAを通じて日本の政権中枢に資金を提供し、アメリカに都合のいい政策を実行させていたというのですからまさに「事実は小説より奇なり」です。経済界でも読売グループの正力松太郎がCIAの資金提供を受けていたとされ、アメリカ政府の意向に忠実な人物が日本の政治、経済の大物として活動していたことになります。

 こっちは読み聞かせ用の「くまの子ウーフ」。"woof"は低い唸り声で、"woofer"と言えば低音用スピーカーのことですから、低い声で読むのがいいのでしょう。古い本なので内容は素朴ですが、ウーフの一家はきちんと食器で食事をするし、料理も洗濯もするし、井戸のポンプが壊れて困ったとか、ずいぶん近代的な生活をしています。「ミッフィー」の熊版と思えばいいと思いますが、ミッフィーに比べるとキャラクターが地味ですね。

 と思ったら現代的にアニメ化されていて、今の子供が取っ付きやすいように工夫されているみたいです。
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名古屋市の政策について

2007年09月27日 | たまには意見表明

 名古屋市が18歳未満の子供あるいは妊婦のいる家庭に配布を始めた優待カード、「ぴよか」です。名古屋市が協賛業者を募り、このカードを見せると業者の好意で優待が受けられる、という仕組みらしいですが、まだ協賛業者のリストが発表されていないので、具体的なサービスはわかりません。

 ただ、まともな業者ならこんなカードがなくても既に子供に最適なサービスを提供しているでしょうし、これを見せたからと言って大きくサービスが違ってくるものでもないでしょう。協賛する企業にとっては、子育て支援という名目よりは、名古屋市の顔を立てるという側面のほうが強いのではないかと思います。少なくとも、このカードがあるから名古屋市の出産率が上がるとか、転入してくる家庭が増えるとかいう効果は望めないでしょう。お金もたいして掛からないでしょうが効果も薄い政策と思われます。

 もうひとつ、名古屋市の政策で引っ掛かるのが「広小路ルネサンス」計画です。名古屋都心部の東西を結ぶ幹線である広小路の車線を半減し、歩行者中心の構造として「歩く楽しさ」や「地上のにぎわい」を演出しようというものらしいです。

 名古屋市で最も交通量の多い道路の車線を減らしてしまえ、と言うと暴論のように聞こえますが、計画区間である伏見から栄の800mの区域は、元々違法駐車や客待ちのタクシー、荷降ろしのトラックなどで走行車線は慢性的に塞がれており、これを除去できるのなら車線が減少しても実態は変わらないと見られます。

 違法駐車は論外として、タクシーには乗り場を整備すればいいのでしょうが、荷物の積み降ろしにはどう対応するのでしょう。敷地内で積み降ろしのできる大型店舗ばかりではありませんから、どうしても道路や歩道を一時借用、ということになってしまいます。片側1車線しかない道路を塞げば、かつての歩行者天国よろしく交通が麻痺しますし、歩道への乗り入れを黙認するなら、現状の違法駐車車両も歩道に移動するだけのように思います。

 こんな既存の幹線道路を塞ぐようなプランではなく、不相応に広い若宮大通り(100m道路)の分離帯を安く貸し出して、博多のように屋台を出させるなど、お金の掛からない方法を考えたらどうでしょう。若宮大通りの中央部分は名古屋高速のガード下で雨の影響が少ない、まさに「地上のにぎわい」の背景として好適な場所ですが、現状では無計画に小公園や駐車場、ゲートボール場などに使われており、かなりの部分が貴重な都心の空き地としては不相応な低利用ぶりに泣いています。

 せっかくの小公園も、屋根があることと水の便、トイレの完備を好都合と見たホームレスの住居に占拠されており、とても子供を遊ばせられる雰囲気ではありません。時折、強制的に排除したりしているようですが、元々あまり使っていない区域なので説得力がありません。ホームレスが被害意識を抱くのも無理からぬことです。

 ここに仮設建築による店舗を認めて屋台街を造れないものかと思います。駐車場は広小路よりずっと簡単に確保できますし、低予算で出店ができるなら、例えば名古屋に在住の外国人による中華街やタイ人街、ブラジル人街などができるかも知れません。ビジネスビルの1階にチェーン店のカフェとコンビニができるだけ(と私は予想している)の広小路ルネサンスよりずっと面白いと考えますが、どうでしょうか。

 都市の活気は、つまり人の活気です。出店コストの高い広小路の高層ビルのテナントでは、冒険ができません。勢い、全国で実績のあるスターバックスとかセブンイレブン、マクドナルドなどが一等地を占めてしまうでしょう。そんなどこにでもあるような商店街が全くダメとも言いませんが、何も新しいものが生まれないのでは、巨額の費用と渋滞による不便を代償できません。起業の敷居を低くして産業を活性化するのも行政の役割なのですから、ここは広小路ではなく若宮大通りの再生のため、名古屋市に思い切った手を打って欲しいと思います。
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ご縁あって

2007年09月26日 | 極楽日記

 ご縁がありますように、のお守りじゃなくてこの5円玉はドアの鍵です。家庭の洗面所やトイレなどのドアは中から施錠・開錠できるようになっていますが、外には常用の鍵回し(犯罪のせいでサムターンという名称が知られるようになりましたね)はありません。代わりに緊急開錠用としてコインを突っ込んで回せるようになっています。

 1歳児の大暴れに手を焼いている極楽家では、その非常用ロック機構が常用になっています。これで施錠するのを忘れると、いつの間にか極楽息子(小)が風呂やトイレに侵入して水遊びをしようとするので目が離せません。この5円玉のお陰で少しは安心して家事ができるというわけです。

 もちろん、これだけで安全が確保できるわけはなくて、風呂は沸かしたままにしないとか、不要になったら速やかに排水するとか、基本的な注意は不可欠です。
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1歳3ヶ月

2007年09月25日 | 極楽日記

 成長につれて、悪戯ぶりも激しくなってきました。ブロッコリーを分解しながら食べています。この子は特に行動が乱暴だと思っていたのですが、5年前のお兄ちゃんのビデオを見たら、同じようにお菓子を粉々にしてから拾い食いしていたので、まあ同じように発達しているのでしょう。5年後には今のお兄ちゃん並にはなるということなのでしょうが、先は長いなあ。

 メロンも食べてるんじゃなくて潰して遊んでるだけです。

 庭で花火を見ていると、手を振り解いて火を触りに行きます。危ないものが全くわからないので周りは危険で一杯です。

 兄弟揃って花火ができる日はまだまだ先のようです。
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ボクの宇宙遊泳

2007年09月21日 | 極楽日記(Hall of Fame)

 またコンクールに出品する絵です。これは動物を連れて宇宙遊泳を楽しんでいるところかな。宇宙でも携帯電話が使えるようですが、ヘルメット越しにどうやって会話をするんでしょう。
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束の間の平和

2007年09月20日 | 極楽日記

 ミルクを飲んで、お気に入りのしまじろうと一緒に寝ています。起きている時は本当に活発なので、寝ている間だけが我が家の平和な時間です。
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センターピアガーデン

2007年09月19日 | 極楽日記(日帰り)

 中部国際空港のギャラリー向いのロボットコーナーに、愛知地球博で活躍した未来の乗り物が展示してありました。乗って記念撮影ができます。

 プロムナード(センターピアガーデン)では旅行をテーマにした創作キルト展が催されています。これはタイのバンコクですね。昔のハクション大魔王みたいな絵柄で楽しそう。

 センターピアガーデン全体はこんな感じ。自然光を巧みに取り入れており、適度に明るくて開放感があります。このキルトの題材はインドのシタールでしょうか。

 近くで見るとこんな感じです。背景はタージ・マハールかな。
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お絵描き de SKY

2007年09月18日 | 極楽日記(Hall of Fame)

 極楽息子(大)がJALの飛行機を描いた絵が優秀作品に選ばれましたので、中部国際空港(セントレア)まで表彰式に行って来ました。

 本人は賞状より副賞の飛行機模型が嬉しいんでしょうか。

 この絵画コンクールはイベントの一環で、他にもいろいろ催し物がありました。これは整備士の制服で記念写真が撮れるコーナー。

 歴代制服のファッションショーです。

 ANAのポケモンも来ていました。
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育て夏野菜

2007年09月14日 | 極楽日記

 夏は終わっても庭の夏野菜はまだまだ元気です。極楽息子(大)が絵手紙にしてくれました。平日に収穫ができないので、オクラは大きくて硬くなってしまうし、ミニトマトは割れて虫に食われてしまうしで、兼業農家としては前途多難です。

 こちらは科学創作コンクールに応募した絵ですね。「科学の夢」というテーマなので、砂漠を自由に飛行して雨を降らせる緑化マシンを描いてもらいました。太陽の側に虹が出るはずはないのですが、子供の絵なのでご愛嬌です。
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辞任ネタ二題

2007年09月13日 | たまには意見表明
 安倍総理大臣が唐突に辞任を表明したことについて、様々な論議が飛び交っています。多くの指摘通り、所信表明の直後という常識では考えられないタイミングの辞任表明は、何か「裏事情」の存在を疑わせるもので、あれこれ憶測を巡らせる原因になっています。

 有力なのは健康不安説で、慶応大学病院への半日掛りの受診などを根拠として、持病の消化管疾患(潰瘍性大腸炎などと推測されている)が思わしくないのではないかと言われています。これは本当かも知れませんが、それならこのタイミングで辞任という根拠として弱いように思います。参議院選挙で大敗して批判が強まる中、一応は自民党内部をなだめて続投が決定した矢先ですから、自民党にとっては折角くっついた傷がまた開いた、という感じで非常にまずい展開です。

 潰瘍性大腸炎は慢性疾患ですから、診断そのものは前からついていたはず。急激に悪化することもあるでしょうが、それなら通常の活動はできないはずですから、辞任よりも緊急入院が先です。どうも持病の単なる悪化だけでは今回の辞任を説明できないように思います。

 潰瘍性大腸炎からは通常より高い確率で大腸癌が発生するとされています。手術が必要な癌が見つかったのなら、業務をすべて放棄しての辞任も正当化されるでしょう。しかしそれなら病状を公表するはずです。手術で入院なら隠しようがありませんから、健康不安により政治家としての影響力が低下することも受忍せざるを得ないでしょうし、隠すことで必要以上の憶測を呼ぶことになりかねません。これも今回には当てはまらないようです。

 やはり苦労知らずの「お坊ちゃま総理」が、自分の言い分が通らなくなって職務を放り出した、ということなのでしょうか。自分の立場が強い時は問答無用の強行採決を乱発し、弱くなったら途端に熱意を失う、というのはなるほど子供みたいです。しかもオーストラリアで「テロ対策特別措置法が延長できなければ辞める」と宣言しましたよね。参議院選挙で日本国民から不支持を付き付けられても居座ったのに、アメリカに対しては責任を取るということですから、「この人は一体どこの首相だろう?」と感じるのが普通です。

 あと当初から指摘されるのが安倍さんの決断力不足ですね。スキャンダルが明るみに出た閣僚を留任させるのも、巷間に評されるような「お友達」なのではなく、経済評論家の山崎元さんが言われるように「冷たい男だが、グズ」なのだと思います。

 私はこのタイミングでの辞任表明は、わざと自民党を混乱させようとした「当て付け」ではないかと思います。昔から馬鹿殿が家老に反発して政治を乱す、という題材は歴史物の小説にはしばしば見られるパターンです。岡崎の家来衆に反発して横死することになった松平広忠(徳川家康の父)、武田信玄の遺した甲斐の繁栄と天下一の騎馬隊を自分のものにできなかった勝頼、劉備の死後は馬鹿殿として諸葛亮を悩ませ、蜀漢を崩壊に導いた劉禅(阿斗)など、いくつも挙げられます。

 これらの例が歴史的な事実であるかどうかはわかりません。しかし自分を抑える者に対する反発が、時として権力者に自滅的な行動を取らせるという展開は世の中によくあることであり、それが歴史的人物の名を借りて描かれることが珍しくなかったのは確かなことです。あまり苦労したことのないお坊ちゃんにとって、目に見えるのは自分のごく近辺であって、様々な次元や階層のある広い世界ではないのです。

 安倍総理の辞任が「駄々っ子のようだ」と評されていますが、「駄々をこねる」のは確たる対象があってこそ反発するわけです。国民全部を敵に回して反発するわけにはいきませんし、そもそも安倍さんの念頭には国民の顔なんかほとんどないのでしょう。彼の目には、自分の好きなようにさせてくれないのは国民ではなく、野党でもなく、自民党の長老だと映っているのではないでしょうか。

 感情的なナショナリストである彼は、政権を握るとまず憲法改正を目標に据えました。これは参院選の大敗により棚上げ状態となりましたが、本音としては国家主義的な政策を実行したくてたまらないはずです。実務家でない安倍さんとしては、年金や外交など、実務的なことは「美しい日本」の実現から比べると次元の低い問題に映るのでしょう。これを抑えられたことに対する反発が、「自民党を困らせてやろう」という最悪のタイミングでの辞任に繋がったのだと私は想像します。もちろん、本当のところはわかりませんけどね。

 もうひとつの辞任ネタは、ずっと問題が小さくなりますがやはり有名人、大相撲の横綱朝青龍です。横綱審議委員会、という相撲を取ったこともないような著名人からなる審議会がありまして、その委員である内館牧子(うちだてまきこ)さんが「個人的な意見」としながらも朝青龍に引退を勧告しています。

 委員会の合意として、譴責(けんせき)よりも解離性障害の治療を優先させることを決定していたはずなのに、一部の委員が抜け駆けして持論を述べるのは極めて軽率な行為であり、委員会の決定を軽視するものです。一般のファンの好き勝手な意見とは異なり、横綱の進退を左右する責任があるのですから、もっと慎重であるべきです。

 この人は元々「朝青龍嫌い」で知られており、今回は日本相撲協会とファンの希望よりも自分の個人的な好き嫌いを優先させたと見られ、「朝青龍を潰す好機」と見て圧力を掛けてきたのでしょう。非常に乱暴で下品な行為だと思います。委員会の中でもとりわけ朝青龍の品位について厳しい立場であると言われる内館さんですが、ボクシングも含めた格闘技全般を愛好しており、世間では朝青龍よりも批判の強い亀田ファミリーを擁護する発言があるなど、相撲の品位を重視すると言うよりは、単なる「朝青龍憎し」で凝り固まっている印象があります。

 女性初の横綱審議委員という話題で迎えられた内館さんですが、女性であると言う前に委員として適任ではなかったと思われます。横綱審議委員会に自浄作用があるならば、朝青龍の引退勧告より先に内館牧子さんの辞任勧告を出すべきです。ファンの広がりを期待して女性を選んだと言うのなら、今度は代わりの委員にハワイやモンゴル出身などの外国人を選んでみてはどうでしょう。そろそろ外国人のことをよく知っている人に助けて頂く必要があるのでは。
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まだゲームは欲しくない

2007年09月12日 | 極楽日記

 お兄ちゃんがDSばかりやっていて一緒に遊んでくれないので退屈なのでしょうか。今のところゲームそのものには興味がないようです。まだ1歳ですからね。
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亡くなったじいちゃんと遊ぶ方法

2007年09月11日 | 極楽日記(豊川)

 極楽息子(小)が、生まれる前に亡くなった豊川のじいちゃんの仏壇で遊んでいます。仏壇を荒らしているだけとも取れますが、体のなくなったじいちゃんが、こうして孫と遊んでくれているのかも知れません。

 仏壇の道具は格好のおもちゃに見えるんでしょうね。

 この元気な姿が何よりの供養になると思います。うるさいこと言うのは止めておきましょう。
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げんきにそだってね

2007年09月10日 | 極楽日記

 中日新聞の日曜版「わたしの絵手紙」で入選した極楽息子(大)の作品です。投稿時に競って大きな口を開けていたツバメの雛も、無事に巣立ったでしょうか。
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今度の「α (アルファ)」は?

2007年09月07日 | 比べてみよう
 ソニーがαシリーズの上級機を今年中に発売するというニュースがありました。旧ミノルタのカメラ部門を吸収したソニーのαマウントカメラ最初の製品、α-100は手頃な値段の割に機能満載で、当時の競合機と比べても大きな穴がなかったため市場に歓迎されましたが、その後はソニーらしからぬ新型機投入の遅れがたたり、ニコン、キャノンの2大メーカーの攻勢に圧倒され、また同じ路線でより新規顧客を取り込むことに成功したペンタックスK10Dの発売などで、いつしか話題にも上らなくなったように思います。

 大手量販店の店頭では強気の価格表示を続けているα-100ですが、スポット価格ではボディが6万円を切っていますし、ビックカメラで在庫処分49,800円というのも見ました。価格を維持するだけの需要がなくなっているわけです。しかもまだ販売を続ける機種に対して「在庫処分」とは何でしょうか?

 回答のひとつが上級機種α-700の投入です。撮像素子がCCDからC-MOSに変更され、画素が少し増えました。ただし期待された35mmフルサイズではなく、APS-Cサイズで据え置きです。α-100でやや問題とされていたノイズ対策には注力されているようで、信号処理回路が新設計されています。

 他には連射の高速化とかシャッターの改良、ボディの堅牢性向上と隙間へのシール封入など、変わったことはしていませんがカメラとしてオーソドックスな進化を狙っています。過酷な状況での信頼性や耐久性はかなり向上したのではないでしょうか。このようなコストの掛かった地道な改良は、カタログを賑わす新機能がないので販売上は不利かも知れませんが、カメラとしての完成度が高くなるのは間違いありません。

 これで予想価格が18万円、とされているのはα-100の現状価格に比べると随分高いように見えますが、こうした品質向上にはコストが必要なのは仕方がありませんし、販売価格も少しずつこなれて行くものと予想されます。ミノルタ時代のレンズを遊ばせている私にとっては魅力的です。

 ただ、これだけではα-100の「在庫処分」が説明できないように思われます。α-700とα-100の価格差がかなり大きいですから、ソニーがここでα-100の販売を諦めるとは思えないのです。入門機でシェアを取ることは将来のステップアップにも繋がりますから、クリスマス商戦を前にα-100の改良を図ると予想します。

 制御ソフトのバージョンアップやHDMI端子追加などは簡単にできそうですが、撮像素子の供給を考えると、思い切った手として新しいC-MOSへの換装も考えられなくはありません。その場合はやや値段も上がるでしょうが、市場へのインパクトも大きくなります。逆に考えれば、安いα-100が欲しいのならこの秋までがチャンスかも知れません。
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買い控えは続くよあと3年半

2007年09月06日 | たまには意見表明
 博報堂DYパートナーズの調査によれば、視聴者の4割近くが地上デジタルへの移行に積極的ではなく、アナログ停波間際の2011年まで今までのテレビを見ると回答したそうです。

 この調査結果は一般的な消費者の実感に合っていますね。既に地上デジタルを見ている人は3割弱。留意しなければならないのは、これは首都圏と京阪神でインターネットのアンケートにより調べた数字だということです。地方では地上デジタルの普及率がもっと低いのは当然ですし、ネットを使わない視聴者も恐らく地上デジタルへの対応は遅くなるでしょう。

 アンケートのバイアスを考慮すれば、恐らく視聴者の半数が停波されるまでアナログテレビを見続けるだろうということになります。2011年になるまでデジタル機器の集中した代替需要は発生しません。その代り、アナログ停波が近付けばパニック的な需要が生じ、市場は大混乱に陥ることが予想されます。

 このパニックに乗り遅れれば、一時的にでもテレビのない生活を強いられることになりますね。その際に、「受信可能な受像機を持っていない」としてNHKの受信料支払いの義務はなくなりますから、多数の解約が発生すると予想されます。視聴者が大幅に減少しますから、企業はテレビでの広告費を削減するでしょう。

 こうした大混乱は、別の立場にある業者にとっては大きなビジネスチャンスです。スカパーやケーブルテレビ、新しく市場に登場するインターネットテレビなどが一斉に「工事費無料キャンペーン!視聴料も3ヶ月間無料!」などと積極的に視聴者を囲い込むでしょう。地上波の視聴者が一気に有料放送に移行する可能性はあります。

 地上デジタル側のNHKや既存民放としてはどうしたらいいでしょうか?答えは単純なものだと思います。「地上デジタルへの移行を知って」などという意味不明のキャンペーンではなく、地上デジタルの不便を解消することです。「視聴者がお金を出して地上デジタルに替えてくれれば、高い薄型テレビもアンテナも売れるし、新しいレコーダーも売れる。録画メディアからもお金が取れるし、コピー制限があるからDVDパッケージや携帯の映像コンテンツも売れる。業界みな丸儲けでウハウハ!」なんて顧客不在の前提にしがみ付くから普及しないのでしょう。当たり前ですよ。

 現状の地上デジタルで視聴者にどんな利益がありますか?大きな不便と追加費用の見返りは、静止画の画質がいいことぐらいでしょうか。動きの激しい場面ではブロックノイズが目立ちますからね。視聴者から見ればデメリットばかりで、とても取引に応じられる条件じゃありません。

 これから3年半の国民的買い控えをじっと見たくなければ、少なくとも「地上デジタルは不便」などと言われないようにすることです。放送利権の象徴であった「コピーワンス」(著作権ビジネスの側に言わせれば「世界で一番進んでいる」そうですが)をほんの少し緩めて「9回コピー、1回ムーブ、孫コピー不可」なんて不可解なだけ。この程度で「地上デジタルへの移行を知って」なんて笑うしかないですね。視聴者は「朝三暮四」の猿ではありません。「移行したければ勝手に移行して下さい。我々はアナログ放送が止まるまでこれで十分です。」と半分の視聴者が考えていたらどうしますか?今回の調査はまさにそれを示唆しています。

 今まで家庭で録画した番組の編集は自由だったのですから、デジタルでも自由にするべきです。メディア間のコンバートも自由だったのですから、デジタルでも自由にするべきです。それが権利者に無断で商品化されたのなら、それを取り締まればいいだけでしょう。優良顧客である大多数の視聴者を敵視して手足を縛っておくような真似をするから反発を食らうので、多くの視聴者は著作者とアナログ時代のような良好な関係を保ちたいと思っているはずです。

 コピーガードによる「不便なデジタル」が解消されない限り、私はアナログ停波の見直しを主張します。停波が延期されれば、少なくとも普通サイズのテレビとレコーダーの売り上げは回復するのではないでしょうか。
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