いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

赤ちゃん済州島に行く4

2007年03月30日 | 極楽日記(海外旅行)

 サーカスの後はカートで遊びました。さすがに赤ちゃんは乗れないので、極楽親父と息子(大)だけ。韓国のカート人口はまだ少なく、カート場の存在が日本からの観光客にも知られていないためか、他にお客はいません。

 初心者用とは言え、まともなエンジンカートに乗るのは初めてなので、サーキットを独占して練習できるのは好都合。ステアリングがダイレクトで操縦が面白いですが、サスペンションがなくロールしないため、限界が掴みにくくてコントロールはかなり難しいです。

 よく言われるライン取りも、実際にやってみると簡単じゃないことがわかりました。エンジンが非力だしタイヤのグリップをわざと落としてあるので、少しラインを外すだけでコーナーが遅くなってしまいます。

 エンジンは農機具用のものが元になっているのか、レスポンスが鈍くてスポーティーじゃありません。このエンジンでパワーオーバーステアに持ち込むのは難しいでしょうね。専らグリップ走行に徹しました。少し慣れた人にはもうちょっとパワーがあった方が面白いと思います。

 カートでは自分で運転できなかった極楽息子(大)。表のブランコで遊んでいます。この周囲に乗馬クラブとかモンゴルの馬術サーカスとか、カートの他にも楽しめるものがあります。

 カートでは観戦だけだったこの2人。次はEマートで買い物です。

 ホテルに帰って、朴さんともお別れ。

 晩はホテルの中の郷土料理の店に行きました。

 これが韓国人の考える刺身なのかな?湯通しした甘エビ、タコ、アワビを豊富な野菜とコチュジャンで食べます。唐辛子のみならず香菜や生のニンニクは刺激が強く、虚弱な日本人の舌では魚の味がさっぱりわかりません。

 これも韓国流の海鮮なんでしょう。味噌汁みたいなものですがとても辛く、小さな巻貝の身がとぐろを巻いて沈殿しています。辛くてよくわかりませんでしたが、貝のだしはよく出ていたでしょうね。

 コースの中で焼肉もちょっとだけ味わえます。海鮮よりこれの方が安心ですが、せっかくの旅行だから味覚も冒険しないとね。

 こんなカラフルな炊き込みご飯も。地酒である焼酎「漢拏山(ハンラサン)」を飲んでみましたが、ビールより安い値段を見てもわかるようにそれなりです。甘ったるいだけで特においしいとは思いませんでした。

 ママがエステに行っている間に、部屋のテラスに出て火山ショーを楽しみます。前日も8階のロビー付近から見ていますが、3階のテラスは横からの観覧になるとは言え至近距離。

 やっぱり近いと迫力があります。爆発のたびに熱の放射が伝わってきます。客室のテラス窓は特製のフレンチウィンドウになっていて、レバーを回すと隙間なく密閉できる防音仕様なので、中で眠っている極楽息子(小)も安心。

 熱中して見ていますね。ナイトショット機能を使ったので色彩がありません。

 火山ショーのテーマは天地創造でしょうか。クライマックスに龍が出現します。
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赤ちゃん済州島に行く3

2007年03月29日 | 極楽日記(海外旅行)

 昼食はこれも済州島名物の雉(きじ)しゃぶです。場所はテユランドという狩猟場。何で狩猟場に行くのかと思いましたが、ここのレストランが有名なんですね。雉の肉は鶏よりずっと締まっているので、薄く切ってしゃぶしゃぶにするのが合うんでしょう。日本では雉鍋が一般的ですが。ちなみに雉は日本の国鳥です。

 どんな料理でも野菜たっぷりは韓国料理の基本。だから太っている人が少ない、のかどうかは不明です。ほとんど観光関係者にしか会っていませんので。

 最後の雑炊は韓国のりをたっぷり掛けて、いい風味です。

 おいしい物を食べる時、人は寡黙になります。

 もちろんこの子も雑炊が大好きです。

 次は中国雑技(サーカス)の公演を見に行きました。韓国の済州島でなぜ中国雑技なのか、とも思いましたが、ガイドの朴さんが薦めてくれるので、子供が喜ぶかなと思って同意しました。韓国人の間では評判が高いらしく、平日にもかかわらずお客が詰め掛けていました。

 ガイドブックでや正式な観光案内では、韓国ならではの観光資源が優先的に紹介されますから、こうした期間限定の中国雑技公演が日本人観光客に知られる機会はまずないでしょう。しかし演技は非常にレベルが高く、思わず見入ってしまいました。こうした臨機応変な楽しみ方ができるのは現地ガイドがいてこそです。

 一番の呼び物はこのオートバイの曲芸。テレビで日本のサーカスのを見たことがあるので、極楽息子(大)が喜んでくれればいいや、ぐらいに軽く考えていたのですが甘かった!

 2台の曲乗りはテレビで見たことがあり、それが限界だと思っていましたから、3台目が入って入り乱れて走るのには本当に感心しました。

 記録できませんでしたが、本当に凄いのはこの後です。4台目、5台目と追加され、5台のオートバイが狭い球の中を縦横に走り回り、3台と2台に分かれて互いの進路を交差し合う高難度の曲芸には手に汗握りました。

 最後に更に2台を追加して、何と7台!さすがに7台では狭いため同じ方向に周回するだけでしたが、この球を使った曲芸としては誰が見ても限界です。よくぞここまでやってくれました。
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赤ちゃん済州島に行く2

2007年03月28日 | 極楽日記(海外旅行)

 2日目の朝です。せっかくロッテホテルに泊まったのに、シーツを鼻血で汚してしまった極楽息子(小)。

 それでも2泊3日、行きが午後便で帰りが午前便という短期滞在です。帰りは例によってキムチ屋に連れて行かれますので、実質的には2日目だけが自由時間という短期滞在。こんなトラブルで凹んでいる暇はありません。

 この日はちょっと贅沢かと思ったのですが、運転手付きの車を借り切って案内してもらうことにしました。結果としてはこれが正解で、日本語情報の少ない済州島ではガイドブックより現地のガイドが頼りになります。写真はガイドブックにも載っているワールドカップ会場。

 スタジアムのすぐ横にある気球。残念ながら午前中で客が少ないとのことで上がりませんでした。夕方になって遠くから上がっているのを見ましたが、この日の夕方は天気が崩れていたので、眺望は期待できなかったでしょう。気球体験は十勝かどこかで再挑戦することにします。

 ガイド兼運転手の朴(パク)さんが気球の替わりに連れて行ってくれたのがこの滝。地図には天地淵瀑布と書いてあります。こちらは朝から賑わっていました。日本統治時代の水力発電所の跡がありました。火山島なのに水は豊富なようです。

 次にイルカのショーで知られるパシフィックランド。青い海がきれいです。向こうに見えるホテルはハイアットリージェンシー。

 ヨットが近付いて来ました。韓国では個人でヨットを所有している人はまだ少ないようで、これは料金を払えば乗れるクルーズ船です。一般の人を乗せるから揺れの少ない双胴艇になっているわけですね。

 さて、まずはお猿のショーが始まります。前に見たことのある河口湖猿まわし劇場と同じように、観客の笑いを誘う出し物が続きます。

 必死でドラムを叩く仕草が面白かったです。

 次はアシカに交代。こんなナメクジみたいな体格なのに、実に器用に立ち回ります。

 アシカが演奏するのは初めて見ました。

 最後は抜群の泳力を誇るイルカです。名古屋港水族館や南知多ビーチランドに比べるとちょっとプールが狭いかな。パシフィックランドという名前の割に施設の規模は小さいので、これだけを目当てに済州島に行く必要はないと思いますが、十分に楽しめたので結構でした。

 立派なホテルが贅を競うのと対照的に、総じて済州島の観光資源には「ここにしかない」とか「世界一」とか言うものは少ないのですが、小さな施設はぱらぱらと点在しており、どこも人が少なくてのんびりとした雰囲気があります。海外の名所観光じゃなくて、田舎に帰省したような感覚で楽しめばいいのじゃないでしょうか。

 最後にイルカとのスキンシップがありました。これは別料金です。極楽息子(大)の表情が硬いですね。

 とってもフレンドリーなイルカさんなので、仲良くなれたようです。観光施設にもこのような手作りのサービスがあり、施設にも無理な投資をしていないことが、サイパンのような寂れた印象を残さない理由でしょう。

 観光ブームが津波のように押し寄せては去って行ったサイパンやグアムを見ると、ゴーストタウン化した観光施設が幾つも目に着きました。済州島では今までそのようなバブルはありませんでしたし、観光以外の農業や漁業も盛んですから、ずっと地に足が着いた安心感があります。ただし、近年のソウルの不動産高騰がこの島にも波及しており、稼働率の低いサッカースタジアムや国際コンベンションセンターの建設に膨大な資金が注ぎ込まれているのを見ると、これからはどうなるかわかりません。
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赤ちゃん済州島に行く1

2007年03月27日 | 極楽日記(海外旅行)

 腕白兄弟を連れての旅行記、今度は「神秘の島」「韓国のハワイ」(よく知りませんが、資料にそう書いてありました)済州島(チェジュド)です。中部国際空港から大韓航空で済州空港に向かいます。手荷物検査が厳しくなった昨今でも、ベビーカーは搭乗ゲートまで行けましたので、ハンディは最小です。ただし、済州空港でのベビーカー受け取りは他の荷物と一緒でした。写真は済州空港からホテルまでの送迎バスから撮った風景で、動いているので画質が悪いです。

 写真が風景と言うよりは小さなサーキットであることはおわかりですね。エンジンカートで走って遊べるカート場です。ハングルが読めないので正式名称や詳しい場所はわかりません。日本人向けの資料でこのカート場を紹介してあるものは皆無でした。総じて済州島の観光情報はソウルに比べて不足しており、宣伝不足を強く感じます。後ろの山は3月初め(旧暦1月15日)の山焼き祭りで有名なセビョルオルムだそうです。

 ロッテホテル到着です。この野外ブッフェで「火山ショー」を楽しむのが観光客の常道だそうですが、まだ外は寒いので次の機会にします。

 ロッテホテルの隣に焼肉屋やコンビニがあって、リゾートにしては不自由がありません。これは済州島名物の黒豚焼肉。九州に近いので黒豚に適した気候なのだろうと思います。赤身が多くて肉質が締まっていますから、放牧かそれに近い育ち方をした黒豚なんでしょう。

 極楽息子(小)は自分で焼肉に手を伸ばすので警戒していないと危険です。既にこのお店でグラスを落として割っています。お兄ちゃんの方は期待していた韓国のりが出てこないので少しがっかり。

 定番の骨付きカルビも頂きました。この晩の食事は黒豚もカルビもあまり印象に残っていないので、いっそ黒豚だけで通した方が良かったかな?脂身の多い普通の豚と違って、あっさりした感じなのでたくさん食べても大丈夫だと思います。
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大食赤ちゃん

2007年03月26日 | 極楽日記

 極楽息子(小)の食べっぷりが面白いので、じいちゃんとばあちゃんが悪乗りして大きなパンをあげました。予想通り、怯むことなくかぶりついています。

 旅行や外出で撮った写真を見返してみると、食べているシーンがほとんど。乳児なのに、ミルクを飲んでいる場面はあまり印象に残っていません。

 食べ物に届かないと、すぐに下のクロスを引っ張るので要注意。先日もお店でグラスを落として割ってしまいました。
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卒園のお祝い

2007年03月23日 | 極楽日記

 幼稚園の修了証書を掲げて得意そうな極楽息子(大)。成長したものです。

 この夜はじいちゃんとばあちゃんにお祝いしてもらいました。足助の保養施設「百年草」の中にあるレストラン「楓」です。内部事情なのかシェフがよく交代するので、好みのシェフが担当する日に行くのがコツです。

 この子もちゃんと参加します。卒園式の時は騒がないように預かってもらいましたけど。

 いっぱい食べて満足そうですね。
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卒園の日

2007年03月22日 | 極楽日記

 いよいよ幼稚園も終わりです。おめかしして記念写真を撮りましたが、表情が冴えません。こんな格好で通園していたわけではありませんからね。

 やはり子供は普段のように伸び伸び遊んでいるのが似合います。式の前に服を汚さないかと心配する親の注意など知らん顔です。卒園式そのものは個別撮影禁止なので、公式写真の提供を待つしかありません。

 ホッピングはまだ上手にできません。

 お世話になった先生と記念撮影をして、

 大好きな幼稚園とお別れです。
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兄弟でも違うところ

2007年03月16日 | 極楽日記

 極楽息子(大)はミルクを呆れるほど飲んだ反面、離乳食にはなかなか慣れてくれなかったのですが、極楽息子(小)は食い意地が張っていて、何を出しても食い付きます。放っておくと口の奥まで押し込んでしまうので、食べさせるのには気を遣います。今は同時期のお兄ちゃんより少し小さいですが、この調子なら逆転できるでしょうか。性格は積極的、攻撃的に見えますが、それが足腰の成長には反映しないのか、立っちするのは遅れています。

 なぜか髪の毛を引っ張るのが大好きで、肩車すると「へへっ」と変な喜び方をします。お兄ちゃんにこんな癖はありませんでした。同じように育てているつもりなのに個性はあるものだと思います。共通しているのはパパから遺伝した大きな耳かな。これもお兄ちゃんの方が大きいですが。
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嵐が丘にも春到来

2007年03月15日 | 極楽日記(お店紹介)

 すっかり常連になってしまった岡崎の「嵐が丘」です。庭のミモザの花が満開で、お日様の光をちりばめたように輝いています。

極楽息子(小)もスコーンがすっかり気に入っています。お兄ちゃんが撮った写真は少しぶれちゃいましたね。次は手ぶれ防止のデジカメにしようと思っているのですが、なかなかその「次」の機会が来ません。これからの金利上昇の影響を回避するために、少しでも余裕があれば繰り上げ返済をしているためで、先日もローン総額の約2%を繰り上げました。まだまだ先は長いですが、これで2%だけ枕を高くして寝られます。
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ボクも本を読む

2007年03月14日 | 極楽日記(読書、各種鑑賞)

 お気に入りの本は「かわいいてんとうむし」。本棚に整理してあっても、これだけ取って来るのでわかっているんでしょう。
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日曜日はビーツを料理する

2007年03月13日 | 極楽日記

 長野産ビーツ、と書いてありますね。JR名古屋タカシマヤの地下で見つけたものですが、これだけで150円は安かったです。知名度のない野菜なので、販売促進のための値段だと思いますが、利益なんか出ないでしょうね。農家の皆さん、ご馳走様でした。

 せめてこの場で宣伝させて頂きましょう。素人料理なのでたいして影響はないでしょうが、今回はビーツと白菜のスープを作りました。

 ビーツを皮むきして切り分けると、目にも鮮やかな赤色に。要するに「赤カブ」なんです。根菜らしい土臭さが煮物にぴったりなのですが、売れずに処分コーナーに回ってしまうのは残念ですね。「人の行く裏に道あり花の山」。これはカブじゃなくて株(古くは米相場?)の格言だそうですが。

 庭で成長した白菜と、自分で作ったベーコンを細かく刻んで入れます。玉ねぎが合うかな、と思ったのですが、たまたまビーツの隣に売れ残りの下仁田ねぎを安売りしていたので、これを玉ねぎの代用にします。太くて風味の強い下仁田ねぎも関東では有名なんですが、名古屋では売れ行きが芳しくないようですね。

 こんな時に便利なのがレンズ豆。下ごしらえがほとんど不要ですし、簡単にスープに厚味が出て、「食べるスープ」になります。アメリカの健康雑誌で、世界五大健康食材に選ばれたのは有名ですね。ただし、この雑誌がどれだけ医学的根拠のある調査をしたかは確認していません。「あるある」で問題になった扇動的な擬似健康報道は、市場の大きなアメリカこそが本場ですから。

 後は水とローレル、黒胡椒、岩塩が少々。簡単なものです。ただし手間は掛かりました。白菜が虫食いまみれで処理するのが大変だったからです。だしは簡便に市販のチキンスープです。自家製ベーコンの風味が強いので、あまり主張の強いだしは合わないと思います。

 そうそう、これも入ってました。半額だったので買ってみたクリームチーズなんですが、乳酸発酵が強いらしく、チーズと言うよりはヨーグルトみたいな酸味があります。どっかでボルシチにサワークリームを使ってたっけな、と思い出して加えてみました。

 出来上がりはこんな感じ。コンパクトデジカメの写真ではぶれていておいしそうに見えませんが、ベーコンの脂が細かい粒になってきらきらと浮き上がり、自分で言うのも何ですが結構な出来栄えになりました。

 料理の楽しさは、食べてくれる人があってこそ。この子が野性的にがつがつ食べてくれるのは本当に嬉しいです。
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100冊読書日記

2007年03月12日 | 極楽日記(読書、各種鑑賞)

 極楽息子(大)を本の好きな子に、ということで目標となったのがこの「100冊読書日記」です。私はこんな本の存在を知りませんでしたし、この手の「100大XX」なるリストの信憑性も問題だと思っているのですが、極楽妻の教育熱にはアピールしたようです。

 この本で取り上げられている100冊はどれも代表的な児童書であり、リストがまるで駄目だというわけではありません。ただし、一人の作者からは原則として一冊しか取り上げていないとか、民話などのように作者がはっきりしないものの多くが除外されていること、比較的新しい出版のものが多いことなど、所詮は販売促進のためのリストか、と思わせるところもあります。また、児童書で存在感の大きな全集物を除外してるのは無視できない欠点です。

 私は児童書に詳しいわけではありませんが、恐らく専門家が見れば、出版社も大手に偏っている可能性があります。だから、「これさえ読んでおけばいい」というリストでないことは念頭に置くべきです。それに、100冊完読そのものが目的ではないのですから、1冊1冊をじっくりと味わって読むべきです。100冊全部ではなくてもいいですから、自分の気に入った作品だけでも繰り返し読んで感想を持つべきでしょう。「100冊」を消化することばかりに捕らわれると、「100名山を巡ることだけが目的のツアー客」みたいに本質を見失います。

 それでもこのようなリストが便利なのは、独力で選んでいると漏れてしまうような作品が網羅できるからです。親の立場で本を選んでしまうと、ついつい自分が読んだことのあるものばかり選びがちですから。

 100冊リストよりまず「こねこのピッチ」。子供にはわかりにくいでしょうが、テーマは「自我」です。他の子猫と同じように成長することに抵抗のあったピッチが、外の世界を垣間見て傷付き、みんなの愛情で自分の帰るべき場所を知るお話です。意味はわからなくても、ピッチの気持ちを想像してみることが大切です。いい本だと思います。

 「こぎつねコンとこだぬきポン」。ストーリーは悪くないですが、かなり長く、台詞のやり取りが未整理のためちょっと読み辛いです。しかも途中でキャラクターの入れ替わりがあるため、読み聞かせていても、読んでいるのが誰の台詞なのかわからなくなりました。もっと主語を明示するとか、口調に変化をつけるとか、キャラクターの個性を際立たせるとかの工夫が欲しいところです。

 「ともだち」をいろんな面から描いた作品なら、「きかんしゃトーマス」シリーズがあるじゃないですか。子供も喜ぶし、多くの点でこの絵本より出来がいいと思います。

 「王さまと九人のきょうだい」。中国の少数民族に伝わる民話で、話によって兄弟が3人だったり10人だったり変化がありますが、つまり異能を持った兄弟が悪い王様を撃退するストーリーに変わりはありません。中国の圧制に苦しめられていた少数民族の願望がコミカルな形で表されています。

 この「九人きょうだい」では情報係の千里眼や早耳がいないので、王様の繰り出す新手に次々に手を変え品を変え立ち向かう兄弟の臨機応変ぶりに説得力が乏しくなっています。10人兄弟の方が完成度が高いのでお薦め。ただし単行本にはなっていませんので、全集のコンテンツとして読む必要があります。

 こうした類似の民話を集めている人もいて、このモチーフが世界中にあったことがわかります。中でも1972年に太平出版社から出された「八兄弟」のアナーキーなまでの面白さは一読の価値ありです。紹介して下さったすわさきさん、ありがとうございます。
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ここがホームグラウンド

2007年03月09日 | 極楽日記

 また自転車の練習(支えていたので写真が撮れませんでした)をした後、キックボードで遊んでいます。少しでも庭があると子供が遊ぶには便利です。ボール遊びにはちょっと狭いですが。
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シチューの長い準備

2007年03月08日 | 極楽日記

 久々にスモーカーに活躍してもらいました。たいして使っていないのですが、中は煙で真っ黒。喫煙者の肺を連想してしまいます。ベーコンを作るにはもう少し高さが欲しいのですが、台所で使うには大きすぎるのも不便なので仕方がありません。

 長時間ガスコンロを占拠するわけにはいきませんので、温度を上げて手早く燻します。昔はもっと塩漬けにもスモークにも時間を掛けたのですが、今は時間の余裕がありません。

 完成しました。今回は名古屋駅の地下で買った「三元豚」とか言う東北の豚さんを使用。赤身の部分はスモークできれいに発色しておいしそうに見えますが、この豚肉の特徴なのか、脂身がぎっちり詰まっていてなかなか脱脂できません。

 本当は少し温度を下げて時間を掛けて脂を落としたかったところです。従ってすごく体に悪そうなベーコンになりました。まあ、ベーコンってそういうものだから、薄く切ってカリカリになるまで焼くわけですが。

 そのまま食べると豚に復讐されてメタボリックシンドローム一直線なので、シチューの風味付けに使いました。元々、ベーコンを作った目的もこれです。市販のベーコンではスモークされた皮の部分が手に入らないので、自分で作ってみたということです。裏の苦労を知ってか知らずか、息子たちが喜んで食べてくれるのは嬉しいです。
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今年は自然主義から

2007年03月07日 | 極楽日記(読書、各種鑑賞)

 通勤の電車内で居眠りしていない時に少しずつ読んでいるリサイクル日本文学全集(年末の大掃除で捨ててあったので、「青空文庫」に倣って「冬空文庫」とでもしましょうか)、今年はまず正宗白鳥集を読了しました。

 自然主義文学ですから、ヒロイズムや気持ち良さとは無縁であり、代表作の「何処へ」でも作者の分身であろう主人公は無気力で何もしません。正宗さんは「つまらん、つまらん」が口癖だったと聞いていますが、作者の倦怠感が乗り移ったような主人公は、友人たちが家庭を築き、あるいは学者として歩を進めていくのを横目で見ながら、いつも受動的に面白いものが降って来るのを待っています。

 この辺は「自分探し」などと称してふらふらと若い時期を浪費している現代人をうまく描写した感があり、単なる昔の情景描写や歴史的な読み物であることを越えて、今でも切れば血が出るリアリズムを備えています。昭和初期の当時も、将来を嘱望されながら自分の進むべき道を見出せずに海外で蠢いていた「大陸浪人」などがいたわけで、人生の見通しの悪さに懊悩する人物像が普遍のものであることは理解できます。決して面白く読める作品ではありませんが、つまらん小説というわけではありません。

 「入江のほとり」では主人公は更に何もしなくなり、その現実味のある無為無策ぶりはほとんど現代の引きこもりを見ているようです。興味深いのは、この主人公は他人の目から見れば武者小路実篤が描くところの「馬鹿一」と変わらないだろうということです。

 第三者の目からは同じような無能の人なのですが、武者小路の馬鹿一は絶対的な自己肯定の中で生きており、自己流の絵で石ころを朝から晩まで描いているだけで無上の喜びを覚えます。やはり正式の教育を受けることなく自己流で英語に没頭しながらも、何の希望も喜びも持たない辰男は正反対の人物像のはずですが、この二人を正反対ならしめているのは信仰なのでしょうか。白樺派と自然主義による人間の見方が比較できて面白いと思います。

 せっかく文学全集を手に入れたという理由で、今まで読まなかった種類の作者を努めて読むように心掛けているため、最初は義務の念で読み始めた正宗白鳥ですが、懸念したほど退屈しなかったのは拾い物です。むしろ戦後に書かれた短い旅行記などが月並みな内容でつまらない印象があります。
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