いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

西表島エコ体験ツアー(その2)

2009年03月31日 | 極楽日記(国内旅行)

 まずは西表島についての説明があります。石垣島よりやや大きい島なのに、人口は石垣島の4万5千人に対してわずか2千人ちょっと。西表島より1割ほど面積の広い名古屋市の人口が225万人であることを考えると、いかに人が少ないかわかります。空港はないし、島を一周する道路もないので他の島はもちろん、西側の集落にも船で行くしかありません。この不便さが特有の自然を守ってきたのです。

 全国から入賞者とその同伴者が集まりました。

 明日からの体験を前に期待がふくらみます。

 説明会の後は楽しい会食です。おいしく食べるのはいいことですが、ポテトや肉ばかり食べていたのはちょっとどうかな。

 夕食は肉料理やカレーなどのブッフェだったので、おいしいですがあまり沖縄らしさは感じませんでした。むしろ次の日の朝食に興味を持ったので取材してみました。これは冬瓜(とうがん)の煮物。本土でも真夏には食べたくなりますので、石垣の暑さを凌ぐにはぴったりの料理です。

 沖縄でランチョンミートと言われるのは、缶詰で有名なスパムなどに代表される味付け肉ですね。皮の代わりに缶に詰めたソーセージと説明がありましたが、コンビーフに似ている感じもします。この料理はただでさえ脂っこいランチョンミートを揚げてありますから、相当にくどいです。

 ご飯にかけて食べる肉だしのたっぷり出た甘い味噌。これはおいしいと思います。

 麩(ふ)の入った炒め物、フーチャンプル。これに使う車麩はみやげ物屋に売っていました。

 朝食が済んだら、いよいよ西表島に向かって出発です。

 傾いて見えますが、これは船首が持ち上がっているから。石垣港と大原港を結ぶドリーム号は時速30ノットから32ノットで航行する高速船で、浅いさんご礁の海に対応してスクリューの露出しない水流ジェット推進です。所要時間は35分で、その間は爆音でほとんど会話ができません。船首側のデッキはかなり静かなのですが、「船尾の方が揺れないから」と聞いてほとんどの参加者が船尾側に乗ってしまったんです。
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西表島エコ体験ツアー(その1)

2009年03月30日 | 極楽日記(国内旅行)

 朝日新聞社主催、東京海上日動共催による「こども環境大賞」の副賞は3泊4日の西表島エコ体験ツアーです。極楽息子(大)とパパで南の島に行ってきました。まずは中部国際空港で乗客を待つ石垣島直行便から。

 飛行機は海の上を一路石垣島へ。

 飛行機の楽しみと言えばこれですね。途中までは「ハリー・ポッター」を読んでいたんですが。

 さあ、着きましたよ。花冷えの名古屋から来ると、日差しが強いのにびっくり。急いで持参の日焼け止めを塗りました。でも全行程で太陽が顔を出したのはこの時だけでした。

 名古屋を出たままの服装では少し暑かったです。

 まずはお昼にします。息子は牛丼が大好きなので沖縄風の牛丼です。店の名前を取って「ひるぎ丼」だそうです。

 パパの方はソーキそばです。ソーキというのは要するに豚のスペアリブですね。とろとろになるまで煮込んであるのであっさりしています。サラダにシークワーサーがかかっているのと、おにぎりがじゃこまぶしなのが面白い。立つのが面倒なので広角のまま撮ったら歪んでしまいました。

 西表島に行ってしまうとほとんど買い物もできないので、石垣にいる間にみやげ物を買っておきます。手早く済ませたかったのですが、子連れでみやげ物屋に入ると妙なものばかり見つけてきて欲しがるのでとても時間がかかります。なぜにっこりしているかと言うと…。

 この「サメの歯ストラップ」をさんざんねだった末に買ってもらったからですね。買ってもらうまで食い下がる息子の方が、パパにとってはサメより危険です。

 初日の宿は便利なチサンリゾートです。

 この辺は石垣市の中心部らしく、向かいにはコンビニも。ただし雰囲気たっぷりの店構えで、言われなければコンビニとわかりません。空港との間にマックスバリューもあったので、買い物などは本土の地方都市とあまり変わらない感覚です。
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病院でトーヨーキッチンを発見

2009年03月25日 | 極楽日記

 トーヨーキッチンと言えばぶっ飛んだデザインとステンレス加工技術で人気のある高級システムキッチンだと思っていましたが、病院の控え室にこんな流し台がありました。これを見る限りでは特に高級そうに見えません。病院が高いシステムキッチンを買ってくれるとも思えないので、昔は一般的な製品も作っていたのでしょう。

 拡大するとメーカーが確認できます。関市の地場産業から全国ブランドに成長した同社の足跡です。
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啄木鳥(キツツキ)の住む森

2009年03月24日 | 極楽日記

 いつもの猪高緑地です。遊歩道が整備されていて、さして深い山ではないですが森林浴を兼ねた散歩にはいい所です。

 森の奥からハンマーで木を叩くような音が響いてきました。

 標準レンズしかなかったのでわかりにくい写真になりましたが、森の住人であるキツツキです。

 遊歩道を東に向かって登ると、頂上が名古屋市と長久手町の境になっています。

 こんな標識もありますが、昭文社の地図には「新鷺山 111.6m」と記載されています。

 緑地として保全されている名古屋側と違って、長久手側では開発が急速に進んでいます。ここは確か、積水ハウスの大規模分譲地になったはずです。新しい町が出現するのも間もないでしょう。

 家が建つ前の更地って、やっぱり殺風景ですね。でも、こういう山を背負った住宅地って、一種の袋小路ですから、通過の車輌が少なくて静かでいいんですよ。いずれはここも建物と一緒に庭木や花が植えられてきれいになるんでしょう。家を買って越して来る人にとっても、猪高緑地は貴重な故郷の里山になるんでしょうね。

 その向こうには遠く瀬戸のデジタル放送タワーや万博公園が見えます。標高110m程度としますと、東山スカイタワー(展望台の標高180m)やJRセントラルタワーズ(展望台200m以上)にはかないませんが、木曽三川公園の138タワー(展望台は地上100m)並でありなかなかの眺めだと思います。
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サッカーは道具から?

2009年03月23日 | 極楽日記

 極楽息子(大)が近所のサッカークラブに入ることになりました。真新しいユニフォームで得意そうです。練習試合ではあまり走らなかったのでコーチに注意されたらしいですが。

 これはキーパーの練習でしょうか。走るのが嫌いなだけではキーパーになれないと思います。やっぱりこの子のサッカーは道具先行なのかな。

 南米やアフリカではその日に食べるものも不足するような貧困層の子供たちが真剣にサッカーに打ち込んでいて、毎日不十分な道具で練習するそうです。自分で物売りをして生活費を稼ぎ、何度も破れては繕ったボールを裸足で追い掛け回す子供たちは、物質的に恵まれた環境とは言えませんが、その中から優れた選手が次々に出てくるのだそうです。息子に根性論を押し付ける気はありませんが、一番大事なのはやはり意欲です。

 羨ましそうに見ていた極楽息子(小)もユニフォームを着せてもらいました。大きいので雨合羽を着ているみたいです。
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墓参りで金属加工を考える

2009年03月19日 | 極楽日記(豊川)

 彼岸が近いので豊川で墓参りをして来ました。

 いつもの暴れぶりとは違って神妙です。

 墓地があるのは臨済宗妙心寺派の烹金寺(ほうきんじ)です。とても変わった名前ですね。前にも書きましたが、この辺は古くから鋳物など金属加工が盛んで、町名にも金屋元町、金屋本町など「金屋(かなや)」が付いているところが多いと聞いています。元は金属加工の作業場を金屋と呼んでいたのでしょうね。

 これを基盤として戦中は日本最大の武器工場である豊川海軍工廠(とよかわかいぐんこうしょう)が造られ、戦後も日本車輌の工場など金属加工の伝統が続いています。金属を烹る(にる)とはつまり鋳物のことでしょう。名前からして地場産業と密接に結びついたお寺ということになります。

 そうなれば、倒れそうな本堂に鉄骨のつっかい棒がしてあるのも違和感がないようにも見えてきます。ただこれだけでは応急処置に過ぎないので、何とか建て替えを目指しているらしいです。
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禁煙のコンプライアンス

2009年03月18日 | たまには意見表明

 3月14日からのダイヤ改正に伴って、東海道線のホームから喫煙所が撤去されて全面禁煙になりました。やや唐突な気がしなくもないですが、一部の喫煙所利用者のマナーが悪く、ずっと離れた階段やエレベーターからスパスパやりながら喫煙所まで歩いて行く人がけっこういたのは事実です。ですから、非喫煙者の権利を守るために他に方法がないと思ったのでしょう。全面禁煙はマナーを守って喫煙所で吸っていた人にはお気の毒ですが、受動喫煙の害を考えればいずれ公共の場は原則禁煙になるのが趨勢ではあります。

 問題は、喫煙所以外でタバコを吹かしていたようなアウトロー的な人たちで、実質的に罰則なしの規則が厳しくなったところで、こうしたコンプライアンスのない人は従ってくれないでしょう。今は警備員の巡回が増えているので見かけませんが、全面禁煙が今後も守られていくかどうかは少々気になります。路上禁煙区域を設定した名古屋駅周辺も、巡回が少なくなった頃から吸殻が目立ち始め、今では気の強そうな人なら平気で吸っています。

 実は病院もタバコでは苦労しています。少し前までは「どうしても我慢できない」という人のために喫煙所を設けていたのですが、「病院機能評価」や「禁煙外来」の導入で喫煙所を廃止せざるを得なくなりました。喫煙所のある病院は機能的に劣ると格付けされてしまうからです。その結果、駐車場や玄関前などで分散して吸われるようになり、敷地内の環境は却って悪化しました。これは火災防止の面からも管理しにくくなるので不都合です。

 確かに病院は病気の治療をする施設ですが、一部喫煙者のコンプライアンスの悪さを考えれば、喫煙所を作ってそれ以外の禁煙を徹底した方がいいようにも思います。これは駅でも同じじゃないでしょうか。

 ただ喫煙所にも見逃せない欠点があります。子連れの喫煙者が、子供を喫煙所に引き込んでしまうことが多いんです。最も守られるべき子供が、集団でモクモクやっている中で最悪の受動喫煙に曝される無残な光景を、空港などで何度も見ています。家庭でも煙を吸わされるのに慣れているのか、普通の子供と変わらず煙の中ではしゃいでいるのを見るとうんざりです。

 以上のケースをまとめてみます。タバコの害から守られるべき対象は、駅のホームや病院、空港などの公共施設にいる非喫煙者、とりわけ子供です。できれば、子供はそれぞれの家庭での受動喫煙からも守りたい。それから隠れタバコにより火災の危険が増大する建物と中の人ですね。これらすべてを完全ではないにしても、現状より少しでも守る手段としては、原点対策すなわちタバコの流通に手をつけるしかないのではないでしょうか。簡単に言えばタバコの値上げです。技術的にはタバコの有害物質を規制して、基準値以下の製品を優遇することも可能ですね。

 JRグループは独自の非喫煙者保護策として全面禁煙を導入したのでしょうが、喫煙所は残したまま政府にタバコ値上げを働きかけた方が実行があるように思います。先日も東海道線で列車のトイレにこもってずっとタバコを吸っている男性がおり、こういう人にコンプライアンスを期待しても効果は期待できないでしょうから。
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きまった

2009年03月17日 | 極楽日記

 極楽息子(小)は食卓が大好きです。外でもテーブルがあると座ってみたくなるようです。いつもはここでお兄ちゃんと葉っぱを並べてままごとしているのですが、今日は水泳の練習に行ったので相手がいません。

 どこで覚えたのか、こんなポーズをして「きまった」とか言うようになりました。テレビのヒーロー物とか戦隊物に夢中になる日が近付いているようです。
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お別れ会

2009年03月16日 | 極楽日記

 極楽息子(小)が「こども能力開発教室 トム・ソーヤ」の1年目を終えました。これで退園するお友達もいるので、「お別れ会」が催されました。お兄ちゃんもここの卒園生です。

 兄弟で英語の先生と記念撮影です。

 各組で前に出て歌った後は、用意してくれたお菓子を食べて、1年間の成長を讃え合います。

 食べているうちにだんだん姿勢が崩れてきました。まだ2歳ですから。

 1年間のアルバムが渡されます。お兄ちゃんの方が目立っていますね。

 もう1年、大きい子のクラスで通います。また楽しい思い出がたくさんできるといいね。
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何か出てくるかな

2009年03月13日 | 極楽日記

 猪高緑地公園にある謎の窪地。兄弟で化石でも掘っているつもりでしょうか。周りの滑り台やぶらんこに目もくれずに探しています。

 ここじゃたいした物は埋まっていないでしょうね。そう言えばお兄ちゃんが恐竜の化石掘りのおもちゃを欲しがっていました。今年は幕張の「恐竜2009ー砂漠の奇跡」や、上野の「大恐竜展 知られざる南半球の支配者」など恐竜関係のイベントが盛り上がりそうなので、いずれ名古屋にも来てくれるでしょう。高速道路が安くなったら、福井の恐竜博物館へも行ってみたいね。
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好物を食べるとき

2009年03月12日 | 極楽日記

 実家で好物の天むすを作ってもらい、2人とも夢中で食べています。いつもはラーメンやお菓子ばかり食べたがるのですが、おにぎりならバランスは悪くないでしょう。

 さすがにお行儀は悪いですが、この食べっぷりは気持ちがいいです。食べたら上にも伸びていた頃が懐かしい。
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縦笛の使い方

2009年03月11日 | 極楽日記

 昔のアルトリコーダーをどこからか見つけてきました。かなり大きいので気に入っています。楽器だとはわからないんでしょうね。

 先日はお兄ちゃんのソプラノリコーダーを叩いて壊してしまったので、パパが接着剤で補修しました。アルトは重いので、今のところそこまで振り回せないようです。
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ラーメンに満足

2009年03月10日 | 極楽日記

 ラーメンを食べる時はいつもこんな感じです。全身で味わっていますね。
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パパから息子へのメッセージ

2009年03月09日 | 極楽日記
 3月に入って極楽息子(大)の2年生がもうすぐ終わりますが、学校で写真入りのアルバムを作っているんだそうです。私も卒業アルバムで写真を撮ったり、寄せ書きしたりというのはやりましたが、2年生でもう予行演習でしょうか。

 その中に両親からのメッセージというのがあるので、何か書かないといけません。これまでよく頑張ったとか、目標を持ってとかは日頃から言われて飽きているでしょうから、私なりにメッセージを考えてみます。なおブログでは実名を直接出しにくいので、息子の名前を「T君」とします。


パパからT君へ

 もうすぐ2年生も終わりだね。T君は毎日が長く感じるかもしれないけど、大人から見ると年月の過ぎるのはとっても速いものです。幼稚園で踊りを見せてくれたことがまるで昨日のように感じるし、もっと前のベビーカーに乗っていた時のこととか、ママが大変な思いをしてT君を産んだ時のことまで懐かしく思い出します。

 パパは2年生のころ、学校では先生や友達と相撲をとるのが大好きで、家では本ばかり読んでいる子供でした。「エジソン」とか「湯川秀樹」とか伝記が多かったけど、科学のことを書いた「なぜ?なぜかな」や学習漫画の「日本の歴史」「人体のしくみ」、それから図鑑もたくさん読んで覚えてしまいました。自動車が好きだったのでよく絵を描いて、大人になったら外国のスポーツカーに乗るんだと思いました。T君も本が好きで、自動車が大好きですね。漫画をたくさん読むのも、スポーツカーを見るとうれしくなるのも昔のパパと一緒です。T君は世界で一番パパに似た子供だから。

 T君は毎日が楽しそうなので、パパとママはとてもうれしく思います。小学生のうちはたくさん楽しいことを考えて、たくさん夢を見ましょう。楽しいことを考えれば力がわいてくるし、夢を見ればいつかは本当になるかもしれません。楽しいことを考える人が多いほど、世の中は明るくなります。大きくなっても夢を忘れなければ、みんなに夢を分けてあげることもできるでしょう。世界はそういう人が頑張ることで少しずつ進化してきたのです。

 大人になったら、夢が大きいほど苦労も大きいかもしれません。夢を本当のものにするにはとても努力しないといけないからです。大きな夢はかなわなくて、小さな夢で我慢しないといけないかもしれません。でも、だからこそ楽しいことをたくさん考えて、いくつも夢を見ましょう。失敗したって、次の夢を見ればいいじゃありませんか。T君が世界一楽しいことを考えれば、世界がとっても楽しくなるに違いありません。辛いことがあってもだいじょうぶ。3年生になっても、楽しいことの方が多い年でありますように!
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名言「ボクは大事だから支援してよ」

2009年03月06日 | たまには意見表明
 2月2日に慶應大学で開催されたシンポジウムで、経済産業省の村上敬亮メディア・コンテンツ課長が、コンテンツ産業の著作権強化の姿勢を強く批判したことに対して、当然ながら業界から反論が出ています。特に同大学(大学院メディアデザイン研究科)の教授で、最も業界寄りの論客(どころかレコード会社の取締役であり業界の一員)である岸博幸さんが、早速「コンテンツへの愛が感じられない」と訴えています。お膝元の大学で業界をこっぴどく叩かれたものですから、相当にテンションが上がっています。

 これを受けて、村上さん本人がCNET Japanのブログで釈明しています。ここで評価できるのは、お役人によくあるごまかしや言い逃れをせず、ご自身の発言をきちんと検証していることです。「勢いで言ってしまった」とか「真意は他にあった」ではなく、シンポジウムの発言がやや乱暴だったことを謝し、岸さんの反論のポイントを押さえながら、言うべきことはきちんと言っています。巧みですね。

 これだけ頭の回転の速い人がシンポジウムで単純な「失言」などするはずがなく、準備万端の上でコンテンツ業界を叩いたものでしょう。コンテンツ産業を振興するのは通商産業省の業務だが、決して利権を貪ることを認めるわけではないぞ、と強い態度で出たものだと思います。わざわざ慶應大学のシンポジウムを選んで言われたことですから、これは岸さんに対する宣戦布告に近い意味があります。岸さんも旧通産省と経産省の元官僚で、このOBとしての立場が彼の発言力を増していたことを考えますと、今回の事件は親元からの勘当に近い感じがあり、岸さんは経産省の主流派から「切られた」と解釈するべきなのかもしれません。もっとも、村上さんの口調は「岸さんには、後輩として、これまでもいろいろな形で本分野について教えてきていただいてきました。」と丁寧ですけど。

 従って、シンポジウムでの発言は本音と見るべきです。曰く「コンテンツ産業が儲かりたいから政府も支援しろと言うだけでは、その辺の兄ちゃんが“ボクは大事だから支援してよ”と言うのと同じ。制作の現場が本気で海外で成功しよう、成長しようと思っているのか極めて疑問。」これ、ユーザーとしては諸手を挙げて賛成ですよ。強いて言えば、制作の現場ではなく流通の現場ないし交渉の現場ですね。著作権を強化しようと活動、交渉している主体はクリエイターではなくレコード会社などの流通側ですから。

 本稿で「関所ビジネスしかできないレコード会社は不要」に記載しましたように、本来は最も優遇されるべきクリエイターの多くは著作権の恩恵を十分に受けていません。録音機材やカッティングマシンなどの設備が極めて高価だった時代にはレコード会社に利益の大半が吸い上げられることにも合理性がありましたけど、今はデジタルレコーダーだってビデオカメラだって(もちろん程度はありますが)個人で何とかなる機材です。もはやコンテンツ流通会社が著作権を取り上げて独占する意味は薄れていますし、あまっさえ著作権を強化して古いコンテンツからも「年金」を貰おうなんて厚かましい!

 村上さんの発言はコンテンツ業界の胡散臭さを簡潔に言い表した名言だと思いますし、私ならこう付け加えたい。著作権強化を画策するコンテンツ業界は、お婆ちゃんの年金に頼って生活しているニート君が、「ボクはお婆ちゃんを愛しているから年金を増額してよ」と言っているようなものです。飯の種を作ってくれるクリエイターを冷遇しておいて、長きに渡り(極端な人は永久に、と主張している)コンテンツから収入を得ようという感覚は「コンテンツへの愛」から最も遠いものだと感じます。

 私は(コンテンツ業界のこじつけとは違い)コンテンツこそ重要だと思っていますので、今回のシンポジウムにおける村上課長の発言を支持するものです。
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