goo

【DOL】企業内OB会は品がない!慶應三田会に見る「学閥」の功罪

 『週刊ダイヤモンド』最新号では、「慶応三田会 学閥の王者」と銘打ち、60ページを超える大特集を展開しています。
 そこで今週のダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』では、学校単位の人的なネットワークとメンバー内部での便宜の図り合いを「学閥」と捉え、「企業内OB会は品がない!慶應三田会に見る「学閥」の功罪」と題する記事を書きました。

 客観的に見て、三田会を含めた慶応出身者の人的ネットワークは、個々の卒業生にとっても、学校自身にとっても、慶応を選ぶ「価値」の一部をなしているようです。慶応大学よりも、人数面で規模の大きい大学は他にもありますが、有力なポジションに就いているOBが多いか否かは、人的ネットワークの価値に直結します。

 出身大学を起源とする「学閥」について言えば、どの大学でも、どこででも、という訳ではありませんが、経済合理的な人的ネットワーク形成の一つになる場合があると考えられます。
 但し、この学閥を企業内にも持ち込んで、慶応大学の三田会とか一橋大学の如水会といった、卒業学校単位の親睦会を作ってOB同士が卒業年次を超えて寄り集まるのは、いかがなものでしょうか。

 例えば、地方国立大学の成績優秀者などは、慶応の卒業生と比べても、十分に優秀だと思いますが、東京本社の企業の多くにあって、彼らには三田会のような社内ネットワークはありません。
 三田会に限らず、企業内で学閥親睦会を立ち上げておられる方々は、例えば弱小勢力大学出身者の心情を慮って、社内での学閥活動を自粛するくらいのことを考えるのが、見識というものではないでしょうか。もちろん、全社内における公平性と、会社としての結束を図るために、企業の経営者が例え三田会の評議委員であったとしても、自社内に於ける学閥活動の自粛を実現することが、適切な振る舞いではないでしょうか。

 組織外の学閥ネットワークにはポジティブな価値があり、これを構築・利用することは構わないでしょう。しかし、三田会に限らず、「企業内」に作られた大学別のOB会は、「不公平」で「品が無い」ので、自粛すべき存在だと考えています。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )

【現代ビジネス】カリスマの暴走「セブンの乱」に学ぶ、ビジネスパーソン「7つの教訓」

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が、職を辞することを発表するに至った一連の経緯には、正直なところ驚きました。
 そこで、今回の現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)では、「カリスマの暴走「セブンの乱」に学ぶ、ビジネスパーソン「7つの教訓」」と題した記事を書きました。

 この「セブンの乱」には、組織で仕事をするビジネスパーソンが参考とすべき多くの教訓が含まれています。記事ではセブンに因んで7つの教訓を紹介しています。

■教訓1:勝てる票読みのない採決をしてはならない
■教訓2:情報漏れに注意すべし
■教訓3:自分の「残存価値」に敏感になれ
■教訓4:息子の扱いに注意せよ
■教訓5:社内の批判を外に向かって発信してはならない
■教訓6:破れたグループは一掃される
■教訓7:子分のことを考えて喧嘩せよ

 記事の最後に、セブン&アイ・グループの今後についての考察を加えています。
 今のセブンには、巨大な流通グループを指揮すると同時にビジネスの選別を行う能力と共に、ネットと関連するビジネス、ポイントと宅配の強化、金融事業の深化、といった課題があるように見えます。
 以下、私の空想ではありますが、セブン&アイ・グループは、例えば、ネット企業と経営統合してネット企業側の経営者にグループのCEOを託す、というのはどうでしょうか。将来セブンが一層成長するためには、これくらいの大技が必要になるのではないでしょうか。
 コンビニには、もっともっと「使いで」があるはずだと、安いのに、平均的な喫茶店の珈琲よりもずっと美味しいセブン・イレブンの珈琲を飲みながら、そう思いました。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

【エンジニアの生きる道】仕事に役立つ人脈ネットワークの作り方

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。

 今回のテーマは「仕事に役立つ人脈ネットワークの作り方」です。
 ビジネス上有用な人間関係においては、一対一だけでなく、ネットワークとしての人脈を持っていることが、特に役に立ちます。ネットワークは、

1.価値の高い人と結びついている
2.多くの人と結びついている
3.その結びつきが強固である

の3つによって価値を高められます。
 この点で、人脈形成のダメな例として「異業種交流会」が挙げられます。視野を広げ、顧客の開拓につながることもあるでしょうが、
1.多忙であろう重要人物がその場に来ている確率は小さい
2.そもそもネットワークに乏しい人がそこに集まっている
3.異業種且つ短時間での大量の名刺交換は、将来につながる人間関係が出来にくい
といった構造的な問題があります。

 異業種交流会的なパーティに行く場合は、
1.食事は予め済ませておき、会では人との話に集中する
2.名刺交換はターゲットを絞り、次回に会う約束ないし合意をその場で取り付ける
の2点に注意し、その後にプライベートで会うことが出来た人とは、なるべく間を置かずに、もう一度会う機会を作るようにしましょう。そうすることで、相手を自分の人脈に組み入れることが出来ます。

 良い人脈作りについては、社内外を問わず「勉強会」を開催してその幹事をすることが、誰にでも出来て、且つ最も有効な手段ではないでしょうか。

 「勉強会」の幹事を自ら務めることで、全てのメンバーとの頻繁なやり取りが否応なく生じます。そうするうちに、メンバーと仲良くなる切っ掛けが出来やすく、また、一般には面倒だとされる幹事役を務めることで、個々のメンバーに「小さな恩」を売ることが出来ます。
 テーマは、仕事に関連するものであれば理想的でしょう。また、勉強以外の会であっても、「呼ぶ側」になって出来れば自分が幹事役を務め、コミュニケーションの中心に入ることが重要です。

 さて、ここまで記事を書き進めて、改めて自分の人脈ネットワーク戦略が不適切で且つ貧しいものであったことに気が付きました。
 遅ればせながら私も、勉強会等を作ってみようかと思っています。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

【DOL】 金融マンに相談するな! 入社1年目の「お金」の教科書

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「 金融マンに相談するな! 入社1年目の「お金」の教科書」と題する記事を書きました。

 近年は25日以外を給料日とする会社も増えて来ていますが、今週25日に初月給を受け取ったという新入社員は、多いのではないでしょうか。
 発売中の『週刊ダイヤモンド』(4月30日・5月7日合併号)では、「お金の賢者と愚者」と題した大特集を組んでいます。
 そこで今回は、特に新入社員に知って欲しいこの特集の内容紹介と、特集では取り上げられていないけれども新入社員に是非知って頂きたい「お金の扱い方」についての補足を紹介しています。

 まず、「銀行との付き合い方」として、
・クレジット機能のついたキャッシュカードを持つとしても、決済にリボ払いを選んではいけない
・ネット専業の銀行でなくても、インターネット・バンキング機能を利用して、余計な金融商品のセールスを受けるリスクのある窓口には近づかない
・銀行はお金の運用に使うには、顧客の情報を知りすぎた手強すぎる相手である
・銀行員が積極的に売る運用商品に、良いものは皆無といってよい
等の注意点を紹介する一方で、これからお金を稼ぐことが楽しみになるような、「買っていい運用商品」についても、具体的商品名を挙げて紹介しました。

 記事の最後には、新入社員に言いたいこととして、以下、7項目を補足しています。
 これらはもちろん、新入社員以外の読者のご参考にもなるはずです。

1.本業に注力!
 若い時分(20代)は副業よりも本業に時間を投資する方が、投資効率がいい。

2.収支の合う生活ペースを掴め
 一年間、遅刻せず、借金せず、挨拶が出来るようになれば、ひとまず合格だ。

3.ダメな会社は辞めていい
 「石の上に三年」は無用の忠告だ。但し、次の就職先が確保出来る前に辞めるのは「絶対にいけない」

4.民間生保の生命保険には関わるな
 生命保険は「損な賭け」であり、会社の健康保険に入っていれば高額療養費制度が利用出来る

5.確定拠出年金は大きく利用せよ
 運用の選択肢は、「外国株式(先進国株式)のインデックスファンド」から考えるとよい。

6.さらに投資するならNISAを使え
 NISAではTOPIX連動型のETFに投資することがベストの選択肢になる可能性が大きい

7.金融マンに相談するな
 「無料相談」であっても、彼らに近づかない方がいい。プロの大人を甘く見てはいけない!
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

【DOL】鈴木敏文氏、「カリスマ・サラリーマン経営者」の3つの敗因

 今週のダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』では、セブン&アイ・ホールディングスの「お家騒動」について書きました。

 本件は、創業家である伊藤家及びセブン・イレブン・ジャパンの井阪社長サイドと、会長である鈴木敏文氏との間の、経営主導権を巡る権力闘争だったとみています。勝負は未だ完全決着した訳ではありませんが、今のところ、伊藤家・井阪氏サイドが鈴木氏を排除することに成功しつつあるように見えます。

 今回の一連の問題で、「鈴木氏の負け」だと私が判断するに至った、同氏の敗因ないしミスと思われるポイントは3つあります。

 まず、息子を自社の要職に就けていたことは、彼の「弱点」になりました。勝負に出る時期に「世襲懸念」が出ない程度には、息子を遠ざけておくべきでした。
 また、現在83歳と、勝負に出るタイミングが遅かったこと、そして、決定的なミスとして、現社長を対外的に批判したことが挙げられます。これは、結果的にセブン&アイ・ホールディングスにとって、マイナスの影響しか持ちませんし、普通の組織の論理からすると、鈴木氏の側に「残る」選択肢はもうありません。

 まだ「対案」は発表されていませんが、今後、同グループはどのような経営を行うのがいいのでしょうか。

 恐らくは、井阪氏が会社とグループを主導して経営して行く以外に、グループが求心力を持ちつつ同時に経営スピードを落とさずに進んでいくための道はあり得ません。
 将来、彼及び彼を支援する人々の力量が不十分だったことが明らかになった場合には、別の誰かによる新たな淘汰を待つことになるのでしょう。

 組織というものは、闘争を通じて進化するものでもあり、以前の実力者であり功労者が権力闘争の末に去り、新しい権力者が組織をリードするようになることは悪いことばかりではありません。もちろん、権力闘争の結果疲弊して衰えたり、無能な権力者が勝利して没落する組織が多数あるのも事実ですが、そうした組織は、いずれ別の組織に取って代わられます。

 個人的な意見を言うなら、「5期連続増益で、交代というのは世間が認めない」と社外取締役が考えたという井阪隆一氏の手腕に期待すべきではないでしょうか。会社は、先ずはそのストーリーを盛り立てるべくまとまるべきであり、それで駄目なら、また、その時に考えたらいい、そう思います。
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )

【楽天証券】「ランダムウォーカー流」財産の健康管理の10カ条を読む

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「第267回 「ランダムウォーカー流」財産の健康管理の10カ条を読む 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 前回に引き続き、投資啓蒙書の名著、「ウォール街のランダムウォーカー」(バートン・マルキール著、井手正介訳、日本経済新聞社)の原著最新版である第11版を題材にしています。
 今回取り上げて、見解を付け加えた第12章「財産の健康管理のための10カ条」は、米国の読者に特化した内容であるとして前回の版まで割愛されていたものが今回の版で訳出されたもので、日本の個人が資産運用を行う上でも参考になるトピックを多く含んでいます。

第1条 元本を蓄えよ
 元本が小さいと投資の効果が乏しいというのは、本書が言う通りです。
 但し、そこそこのお金を貯める「習慣」には、「あらかじめ『天引きで』貯蓄額を決めておこう」とするのでないと、お金は貯まらないことを付け加えておきます。

第2条 現金と保険で万一に備えよ
 保険が必要なごく一部のケース以外は、保険料を払うよりも、その分を蓄える方が賢く、変額年金保険という商品はダメだと言う点は、日本においても同じです。

第3条 現金でもインフレ・ヘッジ
 日本の個人の場合は、「個人向け国債変動金利10年満期型」、「普通預金」をそれぞれ利用するといいでしょう。

第4条 節税対策と年金制度の利用
 日本の個人に置き換えた場合、確定拠出年金とNISAを最大限に且つ有効に活用することになるでしょう。

第5条 運用目標をはっきりさせる
 本書において、投資家に適切なリスクの程度を「運用商品」の別で選ぼうとしている表が出てきます。しかし実際には、リスクを取る運用商品への「投資額」で調節するのが、より確実であり、同時に効率的な方法です。

第6条 マイホームの活用
 「アベノミクス相場」が明らかに後半に差し掛かっていると思われる今から、不動産投資でリスクを取るのなら、現物の不動産に投資するより、本書で勧められているREITの方がいいように思います。

第7条 債券市場に注目
 外国債券について、マルキール先生は「外国に目を転じると、国内の債券よりも遙かに高い利回りが得られる国がたくさんある」と書いてありますが、通貨の違う債券の利回りを直接比べるような勘違いをされていないか、少し心配になります。
 尚、今の超低金利下で債券を持つなら、個人向け国債の変動金利10年型が、圧倒的に優位です。

第8条 金、ダイヤ、書画骨董、コレクター・アイテム
 これらの物への投資に対して、マルキール先生は消極的な見方であり、日本の個人投資家も、そのまま「そうだ!」と思っていいでしょう。
 敢えて付け加えると、金の購入は、資本として生産活動に関わる物への「投資」ではないので、基本的に必要無いと考えておくのが適切です。

第9条 投資にかかるコストに目を配る
 株価や債券価格の変動など、投資において、投資家にはどうしようもないことも多いが、コストに関してはその意思さえあれば十分コントロール出来る、という、マルキール先生の主張には、全面的に賛成です。
 コントロール出来る要因の改善に集中することは、投資だけでなく、人生全体にあって重要なポイントです。

第10条 分散投資が大原則
 マルキール先生は、分散投資を「現代ポートフォリオ理論の教えの要」と言っています。
 有効な分散投資で可能な範囲でリスクを低下させることも、投資家が自分で「コントロール出来る」要因を改善する行為の一つです。

 以上、マルキール先生の10項目のうち、最後の3項目は当たり前の内容ですが、重要且つ優れた指摘であり、投資家は、しっかりこれらの考え方を身に付けて欲しいと思います。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

【ダイヤモンドオンライン】消費増税がやはり延期されるべき現実的な理由

 ダイヤモンド・オンラインの『山崎元のマルチスコープ』に「消費増税がやはり延期されるべき現実的な理由」と題する記事を書きました。

 来年4月に予定されている消費増税が延期されるのではないか、という観測が方々で流れています。
 「どうなるのか」について、私は「政府によって延期されるだろう」と予想しています。根拠は記事に書きましたが、何より、既に増税延期が市場関係者の「期待」(≒予想)として相当程度織り込まれていることから、「延期は無し」というのは、事実上難しいでしょう。

 あらゆる経済主体は、将来どうなるだろうという「期待」に基づいて、自分の行動を決めます。仮に、消費増税がもっぱら消費に影響するのだとすれば、消費財販売業者や消費者向けのサービス業者は正社員の採用に慎重になるのは当然です。
 更に言えば、今より数ヶ月早く、消費増税の延期が決められていれば、春の賃金交渉の「ベア」にもプラスになったことでしょう。「デフレ脱却」のためには賃金の上昇が重要であることは、首相官邸でも十分理解しているところでしょうが、増税の予定が既に悪影響を及ぼしていることにも、早く気付くべきでした。

 一方、野党の方でも、この悪影響を上手く批判材料に使うことが出来ず、政治的センスを欠いた発言に終わっています。
 野党は、それこそ「選挙対策」をもっとまじめに考えた方がいい。政党が選挙に熱心で恥ずかしいことは何もありません。

 より正しい政策を実現してくれるなら、その主体は、与野党どちらでも構いませんが、「デフレ脱却」に向けて、今は正念場です。「期待」(経済の文脈では「予想」に近い)が果たす役割を考えると、こうした方向性の政策を打ち出すのは、少しでも早い方が良いはずです。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )

【現代ビジネス】商社はまた「冬の時代」を迎えるのか

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「三菱商事と三井物産「大幅赤字」に、証券のプロとしてひと言! リスク管理の視点はあったのか?」というタイトルで記事を書きました。

 三菱商事と三井物産が、資源関連のビジネスの減損処理で大幅な赤字に陥ることを発表しました。

 商社にとって、個々の投資プロジェクトは、投資信託における一投資銘柄のようなものですが、投資信託のリスク管理には「ポートフォリオ」の視点が必要です。商社における投資ポートフォリオに、同様のリスク管理が働いていたのかは、大いに疑問の余地があります。

 かつての商品を動かして口銭を稼ぐ商人型のビジネスモデルから、プロジェクトや会社に出資し、時には人も出して、且つ商売にも絡む「物流付投資銀行型」とでも呼ぶべきビジネスモデルに転換することで、商社は新しいビジネスに対応すると共に、収益のスケールアップを果たしてきました。
 当面「物流付投資銀行型」のビジネスモデルを商社が止めることはないでしょうし、その必要もないと私は思います。ただ、投資したポートフォリオのバランス調整の機能をもっと強化するべきです。

 金融業にさらに学ぶなら、キャッシュフローを生む対象に自分達が投資し、これを保有するだけでなく、対象を証券化して転売することを可能にし、自分のポートフォリオの調整を可能にした、「証券化機能付きポートフォリオ運用」的なビジネスモデルを将来もっと強化すべきではないでしょうか。

 今回の資源関連の投資に於ける、「のめり込み具合」と「リスク管理の甘さ」は、少なからず、バブル当時の財テク運用の問題と似ているように思います。但し、資源価格バブルの崩壊は、かつての財テク運用と同等か、場合によっては、それ以上のマイナス・インパクトとなる可能性があります。
 現在の世界経済の停滞具合等を考えると、資源価格が簡単に回復すると期待することは難しいかも知れません。まだまだ、要注意の状況は続くでしょう。

 商社を真に「総合商社」たらしめるためには、全社のリスクを「ポートフォリオ」として管理するリスク管理機能と、リスクを現実に調節するための様々なビジネス機能とを、開発・強化する必要があるでしょう。
 総合商社は、日本独特の業態です。大いに進化しつつ、発展して欲しいと願います。
コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )

【経済快説】ショーンKにあえてエールを送る インチキだったで片付けるには惜しい能力

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています(web版はこちら)。
 今週は、ショーンKこと、芸名ショーン・マクアードル川上氏の経歴詐称問題について書きました。

 川上氏本人のスキャンダルとして軽く笑って終わりにするには勿体ない深みが、今回の問題にはあります。
 経歴詐称自体は感心しないとしても、彼が出演した数多くの番組において、彼のコメントが商品として通用し、テレビ局から高い評価を得ていた事実をどう考えるべきでしょうか。経歴を問題とするなら、それを確認しなかった番組のプロデューサー、ディレクター、司会者の仕事振りは杜撰としか言えません。今や、本人のコメントを聞くべきは、川上氏よりも、彼を使ったテレビマン達の方です。

 川上氏のセルフ・プロデュース能力自体は、驚嘆すべき高水準にあります。
 川上氏は、その外見にあっても、中身にあっても「これ以上ない位テレビ的な人」であり、メディアの本質を批判的に教える生きた教材です。ぜひ、消えずに活動して欲しいと願います。
コメント ( 9 ) | Trackback ( 0 )

【現代ビジネス】日銀の次の一手は、民間企業への「異次元関与」か

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「日銀の次の一手は、民間企業への「異次元関与」か」というタイトルで記事を書きました。

 先般、日銀は自身の発表の中で、新たな株価指数に基づく新種のETF組成について言及しました。
 これは、株価指数の構成銘柄の形で、アベノミクスに協力的な企業を認定して、株式を買ってやると言う、いわば「アベノミクス協力企業株価指数」のインデックスファンドへの、日銀の投資宣言と読み取れます。
 日銀は、金融緩和だけではなく、民間企業経営への影響力行使にあっても、「異次元」の段階に入ろうとしているようです。

 現在日銀は、ETFの形で上場株式の買い入れを続けており、今や、GPIFに続く日本第2位の上場企業の大株主になっています。また、投資家としても、年間およそ3兆円の買い入れ額は決して小さくありません。
 「デフレ脱却」に向けた金融緩和政策の一環として、何らかのプラス効果を持っている政策だとは評価できる一方で、大株主・大投資家として、日銀が株式市場で存在感を増すことに関して、幾つか懸念があります。

<日銀は民間企業の経営に影響力を行使するつもりなのか?>
 公的機関であり、また銀行業界側の利害に深く関わる日銀が、株式の保有や売買を通じて、民間企業の経営に関与することは、少なくとも「余計」であり、同時に「有害」でもある可能性があります。
 また、金融緩和を目的に株式市場に資金を流入させることは、本来自然に形成されるべき株価を歪め、「自然な株価」を分からなくさせてしまう弊害もあります。

<日銀は持ち株の議決権行使をどうするのか?>
 大株主である日銀が、議決権行使に積極的に関わるなら、それは民間企業の経営への介入にあたり、関わらないと決めるとするなら、議決権の空洞化につながります。
 現実に株式を抱えている以上、日銀はその方針をはっきり打ち出すべきです。

<日銀は持ち株の出口戦略をどうするのか?>
 仮に、日銀が保有株式を市場で売却するとなると、株価に対してネガティブな影響が及ぶ公算が大きく、何れは売却を考えている場合、その「出口戦略」は、債券の場合よりも格段に難しいものになるでしょう。

 以上、これら不都合の根本的原因は、日銀が株式を買入対象にしたことの「筋の悪さ」にあると私は考えています。
 日銀には、はっきりとその考えを聞きたいものです。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

【ダイヤモンドオンライン】「トランプ現象」と「橋下徹ブーム」を比較する

 ダイヤモンド・オンラインの『山崎元のマルチスコープ』に「「トランプ現象」と「橋下徹ブーム」を比較する」と題する記事を書きました。

 アメリカ共和党の大統領選挙候補者選びで、ドナルド・トランプ氏の勢いが止まりません。
 今回の「トランプ現象」的なブームは、民主主義においては、いつ、どこで起きても不思議ではありません。振り返れば、近年の日本でも、日本維新の会が国政進出を目指し「橋下徹ブーム」とでも言うべき現象が巻き起こった時期がありました。

 今週は、政策論ではなく政治現象としての「トランプ現象」と「橋下徹ブーム」の共通点を挙げ、両者を比較することで、日本の課題が分かるかもしれませんし、トランプ氏の今後の注目点が分かるかも知れません。

<「トランプ現象」と「橋下徹ブーム」の共通点>

1.テレビにおける知名度と人気の利用
2.素人政治家の清新さ
3.「自分の言葉で話す」ことの強さと刺激的発言
4.既存勢力に対する不満の受け皿
5.ナショナリズムとの連動
6.人材集めに対する不安

 以上、記事では6つの共通点について書きましたが、特に、橋下徹氏にとって過去の大きな問題であり、トランプ氏にとって今後の課題と見えるものの一つとして、「側近」を含めた人材集めへの不安があります。

 個人的な人気を獲得する天才は、しばしば組織作りが下手です。トランプ氏にさらに勢いが増して、しかし、お粗末なスタッフの下で、「トランプ大統領」が実現する、ということになると、米国は相当に混乱するでしょう。その余波は、米国から見て、実質支配子会社のような存在である日本にもいずれ及ぶことになります。
 目下進行中の「トランプ現象」については、彼が自分の周りにどのような人を集める事が出来るかに最も注目したいと思います。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )

【エンジニアの生きる道】エンジニアの合理的「お金道」入門

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。

 今月は、「エンジニアの合理的「お金道」入門」と題し、エンジニアが自分自身のお金を扱う上での勘所をご案内する記事を書きました。

 お金は、一貫した考え方の下で論理的に扱うことができ、また、それが望ましく、論理と計算に強いエンジニアには、実は向いた世界なのです。
 今回は「入門」として、これだけ知っていれば大きな間違いを犯さずに済むという、基本となる心構えとして「お金の基本四原則」を紹介しています。

【お金の基本四原則】

1.金融商品を購入する相手と「相談」しない

 合理的「お金道」の第一の心得は「お金の問題にあっては、他人を信じるな」という性悪説です。
 お金のアドバイスを他に求めるのなら、金融商品購入の相手にはなり得ない、中立な専門家が相手でなければなりません。無料相談であってもそれは同じです。

2.手取り収入の2割貯める

 老後不安の問題は、基本的に時間別の支出配分の問題だと考えましょう。運用や保険、不動産等で、一気に解決出来る方法があると考えるのは、間違いの元です。
 現役時代に、手取り収入の2割貯めておくなら、将来、年金と合わせて、概ね現役時代並みの支出が可能になるでしょう。

3.手数料の高い物・分からない物に投資しない

 手数料とは「確実なマイナスリターン」ですから、この手数料が分からないということは、実質的なリターンも、ひいてはその運用商品の仕組み自体もわかっているとは言えません。
 リターンの分からないような物に、お金を投じるべきではありません。

4.勝ち負けにこだわらない

 過去に自分が買った値段は「過去のこと」であり、将来の値動きには無関係です。そして、お金の運用では、「将来の事だけ」を考えて、今の行動を決めることが大切なのです。
 大いに運に左右される「たかだかお金の問題」なのだから、たまたま市場の変動で起こった損得を自分の優劣や勝ち負けと同一視しないことが大切です。
 但し、手数料の高い商品を間違って買ってしまうような明らかな損や、金融商品の売り手にアドバイスを求めるような不用意なリスクは、運に関係無く評価できることであり、厳しく排除しなければなりません。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )

【ダイヤモンドオンライン】マイナス金利の三大被害者は年金基金、生命保険、銀行

 ダイヤモンド・オンラインの『山崎元のマルチスコープ』に「マイナス金利の三大被害者は年金基金、生命保険、銀行」と題した記事を書きました。

 デフレ脱却に向けたマクロ経済政策として、総合的にはプラスに働くことが期待されているマイナス金利政策ですが、この政策によってマイナスの影響を与える主体が幾つかあります個別のケースで異なるでしょうが、金融関係では、主な被害者として以下の3つを取り上げました。

(1)年金基金
 長期金利の低下は、将来の年金支給に必要と計算される年金資産の現在価値を直ちに引き上げる効果を持つので、年金財政を直ちに圧迫します。

(2)生命保険会社
 生命保険会社もまた、年金基金同様「遠い将来にお金を支払わなければならない主体」です。
 契約期間が長くて貯蓄の要素が大きな保険を販売中止する生保が出てきており、今後は、顧客の側で、商品の損得に加えて、生命保険会社の長期的な破綻リスクを考慮する必要が増してきたと考えられます。

(3)銀行
 一般顧客向けの預金金利をマイナスに出来ない一方で、貸出金利が低下し、有価証券運用の利回りが下がるので、「資金利ざや」が縮小したり、マイナス幅が拡大したりしています。メガバンクよりも、地銀や第二地銀、信組、信金など中小の預金機関への影響がより大きいはずです。

 一般人にとってとくに注意が必要なのは、預金を集めても儲からなくなった銀行が、投資信託、生命保険、ラップ口座など、手数料の厚い商品のセールス攻勢をかけることです。銀行がこれらの販売に本気を出した場合に、顧客側が支払う莫大な手数料コストと、顧客が抱え込む最近の投信商品の大きくて複雑なリスクこそが、マイナス金利政策がもたらす最大の弊害かも知れません。

 マイナス金利の状況下にあっても、安全に運用したいお金は、「個人向け国債・変動金利10年型」を購入する事をお勧めします。
 尚、定期預金も国債も利回りが下がったので、普通預金にお金を置いておくことは、預金保険の保護限度は守るべきですが、案外悪くないことも付け加えておきます。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )

【東洋経済オンライン】マイナス金利下の安全運用は「個人向け国債・変動10」が断然!

 東洋経済オンラインで掲載中のコラム「山崎 元が読む、ちょっと先のマーケット」に、マイナス金利下での安全資産運用について書きました。

 当面は、当座預金の10兆円程度に「−0.1%」のマイナス金利が適用されるだけですが、「限界的余剰資金の安全な置き場所のコスト」が動いたことにより、金融市場が被る影響は小さくありません。
 新聞や雑誌では、非常に細かな数字を並べてマイナス金利下の運用先を比較するような特集が目につきます。しかし、金利が下がったその時に、「お金はどこに預けるのが有利なのか?」という関心を持つのは、運用のセンスがいいとは言えません。
 仮に普通預金で考えると、利率0.02%から0.001%への変更は、100万円預けて、年間200円あった利息が、年間10円の利息に変化したということで、そもそも、利回りがいいとか、悪いとかを論じることにどの程度意味があるのかを、賢い利用者は考えるべきです。

 それでは、できるだけリスクを取らずに安全にお金を運用したい人は、どうすればいいでしょうか。
 結論を言うと「直ぐに使うお金ではない、まとまったお金」の運用には、圧倒的に「個人向け国債・変動金利10年満期型」(通称「個人向け国債・変動10」)がよいと言い切れます。
 この状況下で尚「個人向け国債・変動10」が優れている理由について、コラムでは以下3点にまとめて説明しています。

1.国債なので安全(信用リスク)面で銀行預金等よりも有利
2.長期金利上昇(=国債暴落)に強い
3.最低保証利回り0.05%が、今となっては有利

 最後に、「個人向け国債・変動10」は様々な金融機関窓口で購入できますが、窓口で他の商品(投資信託や保険など)を勧められても、「絶対に」買ってはいけません。稼げる手数料が極めて少ないため、これ以外の「暴利!」と言いたくなるような劣悪商品を売りつけようとしてくる、彼らのセールスに負けないで欲しいと思います。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

【ダイヤモンドオンライン】鴻海に買収されたらシャープ社員はどう振る舞うべきか

 ダイヤモンド・オンラインの『山崎元のマルチスコープ』に「鴻海に買収されたらシャープ社員はどう振る舞うべきか」と題する記事を書きました。
 鴻海による買収はまだ最終決定ではありませんが、シャープが完全に鴻海傘下に入った場合の元シャープの社員を例に、被買収企業の社員がとるべき行動についてまとめています。

 率直にいって、買収されるのは、悪いことばかりではありません。これまで経営層に上手く取り入ってきた「社内エリート」にとっては悲劇かも知れませんが、そうでない社員にとっては、その時に持っている実力と運に見合ったポジションを取ることが出来る可能性が生じる、大きなチャンスとなり得るイベントです。

 今回のシャープに限らず、被買収企業の社員はどのように考えて買収を迎えるべきか、記事では、以下の3つの心得にまとめています。

【被買収企業社員の心得3箇条】

1.自分にとっての損得に集中せよ。昔の仲間と群れるな。仕事に不可欠な者以外の同僚は、仲間ではなく、ライバルである
2.様子を見ずに、極力早く買収側の積極的な味方であることを表明せよ
3.買収側にとっての「自分の価値」を最大化せよ

 尚、ここで、大事なことは、「自分にとってどうか?」という視点で考えることです。「われわれ(職場単位等)」でも、まして「シャープ」にとってどうか?等と考えてはいけません。そのような利害の単位は、実質的には存在しなくなるからです。

 今回の拙稿をお読みになったシャープ社員及びシャープ社員でない読者は、日和見的且つ露骨に、個人的な損得をここまで強調するのかと、意外感や嫌悪感を覚えられたかも知れません。しかし、外資系企業や、国内でも金融機関同士の経営統合(という名の実質は吸収合併)の現実を踏まえると、「マインドセットを個人中心に変えよ」ということこそが、正しいアドバイスだと考える次第です。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ