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【エンジニアの生きる道】SNS時代の「悪意」との付き合い方

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。

 今回は、「SNS時代の「悪意」との付き合い方」と題する記事を書きました。

 以前であれば、自分への悪口は、陰で言われていても直接耳に入ってくることが少なく、無視してやり過ごすことが容易でした。しかし、SNSの発達に伴って、自分に対する他人の悪意に思いがけず遭遇するケースが増えて来ました。
 本コラムでは、こうした「悪意」との付き合い方について、2つの要点を軸にまとめています。

 1.悪意を浴び慣れる
 まず、SNSで悪意のあるメッセージを受け取った場合、精神的に耐え難いレベルのものについては相手をブロックして構いませんが、自分に向けられた悪意を浴びることに慣れる方が、メリットは大きい場合が多いでしょう。理由はいくつか挙げられますが、場合によっては、新たな自分の「気付き」を提供してくれるプラスの結果をもたらすこともあり得ます。

 2.自分の側の悪意を上手にコントロールする
 次に、悪意のあるメッセージを受けてカッとなることはあっても、自分の側の悪意を十分に手懐けることが大切です。
 悪意の発散方法を間違えると、世評的にも、結果的に自分の精神の上でも、傷を負うことになりかねません。ビジネス的には確実にマイナスとなります。

 それでは、実際にSNS上で自分への悪意のコメントを向けられた時に、どうすればいいのでしょうか。
 結論からいうと、八割以上の場合は「スルー」、無反応が正解です。
 但し、ツイッターで言うフォロワー数の多い相手は、それだけ情報発信力があるので、説明するなり、反論するなりを、丁寧に行う必要があります。それでも、無反応でやり過ごすと、相手も張り合いがないので、ネガティブな情報発信が続くことは多くないでしょう。もちろん、フォロワー数が少ない相手は、無視して差し支えありません。

 他人の悪意は余裕を持って受け止め、これを自分のモチベーションに転化する。そういう態度を持つことができると理想です。
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【現代ビジネス】要注意!銀行口座データの「営業利用」はどこまで許されるのか

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「要注意!銀行口座データの「営業利用」はどこまで許されるのか」というタイトルで記事を書きました。

 先月の日経新聞に、「顧客行動の予測 精度競う」、「地銀が履歴解析、IT進化テコに」という見出しで、取引履歴システムを導入し、個人の口座の入出金情報を分析して営業活動に利用している地銀の記事が載っていました

 元々、銀行は自行の口座の入出金をモニタリングすることによって、個人や法人の信用状態に関する情報を持ち、これを融資の判断に生かすことができる、というビジネスモデルです。
 銀行員は口座の資金の動きから、顧客の生活状態を相当に詳細に推測できますし、データを本格的にコンピューターで解析するなら、例えば、運用商品の勧誘を断る確率が小さい、要はセールスに弱い顧客などをスクリーニングすることは難しくないはずです。
 さらに、銀行側からは顧客のお金の動きが見えているので、退職金入金のタイミング等、顧客は丁度良く且つ無防備な状態で営業攻勢に晒されることになります。

 これに対しては、個々の顧客である個人が、自分自身のために警戒するしかありませんが、金融機関が自分自身に関するビッグ・データを持っていて、営業アプローチに及んでいることを理解しておくことが重要です。
 具体的には、退職金を始め、資金の受け払いをする金融機関で金融資産の運用を一切行わないことが適切です。顧客の立場からすると、どこからどのような収入を得て、どのようにお金を使っているのかという自分の懐具合を熟知した相手は、セールスマンとしてはあまりに手強く、遠ざけるべき相手です。

 売り手側の練度が上がっているのだから、買い手側での警戒心の醸成が必要です。不適切な運用商品による被害の額を考えると、「金融機関の運用商品セールスに注意して下さい」という呼び掛けを、振り込め詐欺対策並みの頻度と熱意を持って行うべきなのかも知れません。

 尚、個人が注意し遠ざけるべき商品は、9月に公表された金融庁の「金融レポート」を見ると、毎月分配型投資信託、貯蓄性保険、ラップ口座、の主に三種類です。大いに気を付けて欲しいと思います。
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【DOL】ヤフーも導入「通年採用」が社員と人事にもたらすプラス効果

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「ヤフーも導入「通年採用」が社員と人事にもたらすプラス効果」と題する記事を書きました。

 大手企業のヤフーが、「通年採用」の仕組みを導入することを発表しました。
 今年に入って、経済同友会や世耕経産相も、通年採用への切り替えや一括採用の見直しについて公に言及するなど、通年採用には好ましい面があることが理解されつつある一方で、現実には、今ひとつ拡がりを見せていません。

 確かに、人事担当者の負担増やコスト面の問題はあるでしょう。更に、通常時の就活で内定を得られなかった学生が「通年採用」の後半に混じることによる、応募者の質の低下の懸念など、不安要素はいくつか挙げられます。

 しかし、今回のヤフーのように、対象年齢を18歳以上30歳未満と大きく拡げることで、例えば他社からの転職や、海外からの帰国者、さらには、超優秀な学生の青田買いの可能性など、企業側にも求職者側にもメリットが生じる組み合わせが新たに生じる可能性はあります。

 加えて、企業は、人事制度を根本的に作り替える契機として、通年採用の導入を考えてもいいのではないでしょうか。
 「年次」ベースの輪切り型の人材管理では、無駄や不足或いは評価に対する不満が発生します。何よりも、手持ちの社員の能力を最大限に発揮させる上で、既存の人事管理システムには限界があります。

 実際、私自身は、通年採用がきっかけとなって進むはずの、人事システムの進化の方により期待しています。
 若い頃から、年次や給与テーブルといった形式化された基準に関係なく働き、報酬や次の地位・仕事などを貰う関係に慣れるなら、仕事に向いた力のある社員は大いにやり甲斐を見いだすでしょう。一方、マネージャーの側では、部下の使い方と報酬について、人材を最大限に活用する努力が必要になるはずです。
 通年採用には、人事管理制度を、ビジネスの実態に合った社員の能力をより効率的に発揮させるものに変える上でのきっかけになり得る積極的意味があるでしょう。
 通年採用の普及拡大と、これが日本の人事システムを改善するきっかけになることを大いに期待しています。
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【経済快説】ドイツ銀行を蝕んだ投資銀行ビジネス

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています。これは、WEBでもお読み頂けます。
 今週は、「ドイツ銀を蝕んだ投資銀行ビジネス ユーロの存在も裏目に」と題する記事を書きました。

 ドイツ銀行が信用不安に揺れています。

 かつて堅実で強大なイメージを誇り、目下好調なドイツ経済のメインバンクが、なぜこのように弱体化したのでしょうか。私は、その原因として、同行が90年代から投資銀行ビジネスに力を入れたことと、欧州の共通通貨ユーロに原因があったのではないかと推測しています。

 恐らくは行内に投資銀行流の成功報酬の仕組みが組み込まれたことにより、行内の「プレーヤー」は、ドイツ銀行のバランスシートを目一杯使ってリスクを取り大きな報酬を狙うことが合理的となりました。
 また、ユーロ圏内では為替リスクがなくなるため、イタリアやスペインの不動産融資のような、利回りは高いがリスクも高い与信がやりやすい環境だったこともあるでしょう。

 投資銀行は株主にではなくプレーヤーに好都合なビジネスです。わが国にもこのビジネスに憧れる金融機関が少なくありませんが、田舎者には不向きな商売だと申し上げておきます。
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【現代ビジネス】政府部門が民間企業の大株主となることについて

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「政府機関が民間企業の「経営指導」を行うって…本当にうまくいくんですか?」というタイトルで記事を書きました。

 GPIFが、投資先企業との定期対話を始めるといいます。
 東証一部の現在の時価総額から計算すると、GPIFは日本企業の約6%の株式を保有する大株主です。GPIFや日銀のような政府機関が民間企業の大株主になることには、そもそもの制度設計として、私は反対です。
 しかし、既に彼らが大量の株式を持ってしまっている以上、株主権の空洞化が起こることは不健全であり、今回の対話に「全く反対」と言うわけではありません。

 GPIFの企業との対話は、最早、公的年金が民間企業の経営に関与しない存在であることを堂々と放棄し、建前と実態のズレを解消した点では画期的でしょう。同時に、公開の対話の場で、大株主であるGPIFが何を考えているのかを明らかにすることは、情報公開の点でも進歩といえます。

 但し、こうした政府機関が株主として民間企業の経営に関与することの可否と、彼らが民間企業の経営によい影響を与える「指導」ができるのかという点には、心配と疑問が残ります。
 制度の設計としては、公的機関が大株主となるよりは、民間人が分散して株式を持ち、民間人としての利益の立場から株式保有企業の経営に関与する方がスマートです。

 さらに、強く懸念しているのは、「公的大株主」の勢力を背景とした、民間企業の社外取締役への「天下り」が増えることです。官民の癒着は、今に始まったことではありませんが、大量の株式まで保有することで、官僚側の交渉力がより強くなることは否めません。
 公的機関の株式保有の影響は、直ちに見えるようなものは少なくても、気づいたときには大きくなっている可能性があります。公的機関が民間企業の大株主である以上、彼らの株主としての振る舞い方に注意を向けることが重要です。
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【DOL】世耕大臣が唱える新卒一括採用の見直しは本当に必要か?

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「「世耕大臣が唱える新卒一括採用の見直しは本当に必要か?」と題する記事を書きました。

 世耕経済産業大臣は4日、「新卒一括採用」について「実施する企業は多いが、かなりの比率で新入社員が辞めている。採用される学生も採用する企業も、このやり方は負担だと思っている」として、見直しを促す考えを述べました。

 新入社員は「3年で3割」辞めると言われますが、新卒一括採用に限らず、新卒でも中途採用でも、職場と社員のミスマッチは3割くらいはあるものだというのが私の実感です。
 世耕大臣が、「かなりの比率で新入社員が辞めている」こと問題視しているのだとすれば、些かピントがずれています。

 むしろ、中途採用市場を整備すると共に、年金や人事評価などの面で、中途採用者が不利にならないようにすることが重要です。強力に推進すべきは、「やり直しの利く就職活動」ではないでしょうか。

 採用活動は通年で行い、既卒者・転職者も有能なら採用して使うべきだ、というのは、企業の手間や人事制度などのコストの問題を棚上げすると、理屈は通っているように思います。

 そして、新卒一括採用と結びついている「年次主義型人事管理」は、そろそろ止めるべき企業が多いのではないでしょうか。
 年次が下でも、有能な管理職たり得る人材はいますし、年次が上でも無能な管理職は、もっとたくさん居るというのが、多くの企業の実態でしょう。

 問題は、これら企業経営の根幹に関わる人事管理のシステムを誰が変更するのかですが、これは、経営者がやるしかありません。
 日本企業の経営者達は、報酬に見合う実績を上げるためにも、人事管理システムの改革に本気で取り組むべきでしょう。その成果が十分出た時には、少なくとも企業側で新卒一括採用に拘る必要はなくなるように思います。
 「新卒一括採用」が企業の後進性を象徴するようになれば、日本企業の人事システム改革は成功です。
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【DOL】資産運用に「高齢者向き」の方法など存在しない

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「資産運用に「高齢者向き」の方法など存在しない」と題する記事を書きました。

 最新号の『週刊ダイヤモンド』(2016年8月6日号)は介護・死別・終末期などの特集を組んでいます。
 そこで今週は、「終末」あるいは「相続」まで辿り着く手前でお金で失敗してしまうことのないよう、高齢者のマネー運用について、気をつけるべき項目を四箇条にまとめました。

高齢者の資産運用四箇条

第1条 運用に歳を取らせる必要はない

 お金は、使いみちや所有者の年齢、手持ち金額などから独立して、その運用方法を決定することができます。
 「判断力さえしっかりしていれば」、高齢者だからと言って、ポートフォリオにまで歳を取らせて、リスク水準を落とすようなことは必要ありません。

第2条 インカムゲインに拘るな

 株式でも投資信託でも、分配金などのインカムゲインとキャピタルゲイン(と税金や諸費用も)を「合わせて」判断するのが、運用における絶対の基本の一つです。
 本ブログでも何度もお伝えしていますが、毎月分配型の投資信託は、買った値段に関係なく、即刻解約して構いません。

第3条 プロに任せるな

 たとえ無料相談であっても、お金の運用の判断には、運用商品を販売するプロに一切関わらせてはいけません。
 彼らは高い人件費以上の利益を稼がなければならない(商売の)プロであり、彼らが繰り出す「ご提案」を、素人がその場で的確に批判することは難しいからです。
 相談が必要な場合は、金融商品や保険商品などを扱っていない「金融機関と関わりのない」ファイナンシャル・プランナー(時に専門知識に疑問がありますが)などに相談料を払って相談するのがよいでしょう。

第4条 お金の在処が分かるようにしておけ

 十分な判断力がある高齢者は、以上の1~3条を守ってお金を運用すればよいのですが、高齢者の場合、「自分が不意に判断力を失った場合」について想定しておく必要があります。
 例えば、家族に告げずに持っている銀行預金があり、家族が通帳を見つけられない場合、その預金は見つけられないままとなる可能性があります。

 もっとも、これは、本質的に高齢者に限った問題ではないかもしれません。いわゆる認知症が進むケース以外にも、単純に記憶を失ったり、亡くなったりすることは、高齢者に限らず起こり得ます。
 運用にあって、「高齢」が特別な要素ではないように、全ての年代にあってお金の在処を情報として適切に管理する必要性があるのだ、という理解を持っておくことが正しいということなのでしょう。
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【エンジニアの生きる道】「夢」と「目標」を区別して考えよ

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。

 今月は、『「夢」と「目標」を区別して考えよ』と題する記事を書きました。

 先日、弁護士になりたいという夢を持った大学院生の母親からの相談について、考える機会がありました。
 相談の内容は、法科大学院に行く学費をどうするか、ということで、直接相談を受けたFPは、奨学金の紹介をしました。
 一方で、私は「司法試験に合格することが、『夢』なのか『目標』なのかをまず区別すべきでしょう」と答えました。合格が非現実的な『夢』に過ぎなければ、諦めるのが立派な決断でしょうし、それが努力によって十分合格の可能性がある『目標』なら、そこで初めて具体的に考える価値があるからです。

 夢の価値を全面的に否定するわけではありません。お金や時間といった現実のコストを考える場合には、実現性のある目標に対して考える必要があることを強調したいだけです。

 夢と目標の違いについて、私は「具体的で現実的な時間と努力で達成できる確率が50%以上に達すると考え得る夢」のことを「目標」だと考えています。
 これは、学生のみならず、社会人であっても、老若男女問わず、基本的に同じ考え方です。
 夢が真に大切なら、その夢を勝率が半分以上の目標に落とし込む努力をするべきだ、というのが、リアリストであり「人生のファンドマネジャー」(ちなみに、主な運用資産は時間と努力とお金です)としての私からの親身のアドバイスです。

 夢と目標を正確に区別して、目標を目指すことの、機会費用を含めたリアルなコストについて、意識することが必要です。
 また、当然ながら、目標によって達成までの期間は異なります。あまりに長い期間を要する目標の場合、途中でその達成度合いを測ることが出来る中間目標が必要でしょう。

 時に、目標のつもりで目指してきたことが、本人の意に反して、単なる夢になってしまうことも人生にはあります。この場合は、目標を現実的なものに設定し直すべきです。もちろん、逆のケースもあり得ますから、その場合には、自分の可能性を拡張するためにも、目標の上方修正を考えるのがいいでしょう。

 避けるべきは、夢を持っているということにこだわり、夢を言い訳にして不適切な選択を正当化することです。
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【楽天証券】ロボでも人間でも運用アドバイザーは何を訊くべきなのか?(その1)

□タイトル
【楽天証券】ロボでも人間でも運用アドバイザーは何を訊くべきなのか?(その1)

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「ロボでも人間でも運用アドバイザーは何を訊くべきなのか?(その1) 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 近ごろ流行りの「フィンテック」の一つとして、「ロボアドバイザー」が注目を集めています。
 ロボアドバイザーであっても人間の専門家であっても、運用アドバイスを行う上でなされる質問には、
1・顧客に訊くべき必須の質問
2・運用アドバイスのためには顧客に訊く必要がない質問
3・アドバイスに必要ないけれどもビジネス上の都合で訊いている質問
等があるでしょう。
 今回は、典型的な質問点から10を選び、「運用アドバイスに必要な情報は何か」について、考えています。

(1)運用期間は聞いても良いが、これでリスクは決まらない

 極端に短い期間でなければ、個人投資家に対して、運用期間を聞く意味はあまりありません。
 運用計画の最適な想定期間は、運用期間全体の長さによってではなく、ポートフォリオ調整の取引コストと運用環境の変化スピードなどによって決まるからです。
 「短期の運用戦略が、その都度、長期的にもいいと思う運用戦略になり、短期の運用判断をつなげたものが、長期運用となり、あくまでも結果的にポートフォリオには大きな変化が無かった」というのが、一見ほぼバイ・アンド・ホールドに見えるような長期運用の「正しい姿」です。

(2)アドバイス対象のお金は、全体の中のどれくらいか?

 今、動かそうとしている運用額が顧客の資金全体の中でどれほどの大きさなのか、これによって発生し得る損失がどれほどのインパクトを持つのかの評価なく、適切なアドバイスなど出来るはずがありません。
 顧客についてこの点を的確に把握し、または顧客自身による把握を補佐することが、FPの運用アドバイスにあって最重要ポイントだと考えていますが、この視点の欠けたアンケートやHPをしばしば見掛けます。

(3)資金の使用目的は全く重要ではない

 後から使い途を決められることが、お金の長所の一つです。
 取り得るリスクの範囲内で、効率よくお金を増やすことが運用の問題であり、老後の生活費なのか、子の学費なのか、その使い道は基本的には「別の問題」であり、運用方法には関係ありません。

 ※尚、元の記事では、10の質問点の1~3が今回掲載されており、残りは次回以降の掲載となります。
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【楽天証券】18歳からの投資入門

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「18歳からの投資入門 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 選挙権年齢が18歳に引き下げられました。
 18歳には投票を行う上で十分な判断力がある、との判断が根底にあるのだとするなら、同時に、投資を始めるにもいい年齢なのだとは言えないでしょうか。この思いから今回、18歳からの投資の心掛けについて考えました。

 まず、18歳に限ったものではありませんが、投資について具体的に考えるためには、多少の数学知識が必要です。四則計算の他に、
・複利計算
・割引現在価値の考え方
・標準偏差と正規分布の初歩
・等比数列の和の公式
などの理解(公式が理解できるレベル)があれば十分に、損得をある程度計算で判断できるようになるでしょう。いずれも、高校の文科系コースであっても十分履修しているはずの内容です。

 しかし、一般的な投資教育では、この最も肝心な「損得の判断方法」の基礎に当たる知識を教えていない場合が殆どです。さらには、売り手側が取る実質的な手数料が重要なのだといった「真に大切なこと」も、案外教えられていません。
 18歳の皆さんには、耳障りがいいだけの「似非投資教育」(にせものの投資教育)には気を付けて欲しいと思います。
 そこで記事では、投資の心得を5カ条にまとめて紹介しています。

18歳の投資入門者に贈る投資の心得5カ条>
1.投資は無理にやらなくてもいい
2.投資は自分のためにする
3.リスクは投資額でコントロールする
4.投資では他人を頼ってはいけない
5.「予想外」と上手く付き合え



 率直に言って、18歳の年齢から、将来に備えた資産運用を行うべきだとは思っていません。しかし、早くから投資に関わることで、リアルな感覚と問題意識を持って時々の経済・金融状況と付き合った経験を、この年齢から持つことが出来るとすると、これは相当に有効な「経験」への投資になり得ます。
 18歳の当人である皆さんや、その親御さんには、ぜひ提案してみたいと思います。経験に時間を投資する上で、優れた期待リターンの投資になるのではないでしょうか。
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【DOL】国民投票で国論二分の大問題を決めることのリスク

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「国民投票で国論二分の大問題を決めることのリスク」と題する記事を書きました。

 英国のEU離脱を問う国民投票で「ブレグジット」が可決されました。
 この結果が、英国及び世界にどのような帰結をもたらすのかは、今のところ「よく分からない」と言うしかありません。
 しかし、ブレグジット以降の金融市場では、どこかの国でEU離脱に向けた国民投票の「気運が高まる」だけで資本市場が反応を始め、大手金融機関のバランスシートに生じた修復不可能な歪みが表面化してしまう可能性があります。
 世界経済は、言わば、いつ発作が襲うか分からないような慢性病の病巣を欧州に抱えており、致命的な発作につながりかねない症状の進行を見せたのが、今回のブレグジットの可決です。

 国民投票後の英国民の間では、EU離脱への賛否を巡って深刻な対立感情が残ったようにも見えますし、スコットランド独立問題が再燃する可能性も生じています。いずれも、キャメロン氏が国民投票という手段を採らなければ、直ちに表面化することは無かったはずです。
 国論を二分するような問題を国民投票に掛けてはいけない、ということなのか、国論が二分される大問題である以上国民投票で決めるのが正しいということなのかは、政治家の信条に関わる問題です。
 キャメロン氏は、国民を説得できるはずだと考え、まさか負けるとは思っていなかったのでしょう。

 今回の英国の「民意」には、二種類の説明の可能性があります。

 一つは、個人間の大きな経済「格差」が顕在化して、固定してきた、という印象を多くの人が持つ場合、「経済全体にとって得なこと」が選択されなくなる可能性が、大いにあるということです。
 可能性のもう一つは、自分も損をすると分かっていても、儲けている連中が損をすることが望ましいと思う、一種の処罰ないしは嫉妬の感情を持ったことが挙げられます。

 今回の英国の状況は、次の大統領選挙に向けて米国が直面している状況と似ている可能性がありますし、経営者の報酬ばかりを引き上げる一方、ROE向上に圧迫されて一般社員の賃金が上がりにくい現在の日本企業と社会にあっても、遠からず問題となる状況かも知れません。
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【エンジニアの生きる道】凡人が秀才を逆転するために必要な5つの要素

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。

 今月は、「凡人が秀才を逆転するために必要な5つの要素」と題する記事を書きました。

 仕事における処理能力とは、高校レベルの国語・数学・英語の運用能力が、その全てではないとしても、大まかには当てはまるように思います(但し、この三科目を、高校レベルで文字通り「完璧」に使いこなす人は、私のビジネス経験上殆ど見たことがありません)。
 そして、「秀才」と呼ばれる人々が一般的に「凡人」に比べて仕事の処理能力が高いと言われるのは、個人差があるとしても、これらの能力が相対的に優れているからであり、そのために、ビジネスの世界でも「あの人は、出来る」と評されるのでしょう。

 しかし、業務全般の処理能力が高い秀才が、必ずしも、ビジネスの世界で高い成果を上げて出世するかというと、そうはなっていないのが現実です。

 それでは、秀才ではない者に、仕事の「処理能力」に勝る秀才を逆転する余地が現実にあるのだとしたら、逆転を可能にするためには何をしたらいいのでしょうか。

 後天的な努力によって変化が可能な「逆転のための要素」を抜き出すと、以下の5つが目に付きました。
 今回の記事では、それぞれについてまとめています。

1・対人能力
 恐らく最大の要素でしょう。問題は、努力によって改善可能であることに、本人が自覚的であるかどうかと、改善のための努力の仕方を知っているか、です。

2・人脈(=人間関係の集合)
 人脈を利用するには、作り方、維持の仕方、育て方等を知らなければなりません。方法を知って意図的に努力するかしないかで、大きな差が付きます。

3・芸
 有効な人間関係の形成に役立つ場合があることに加え、高度な達成度合いの芸事を持つ者は、仕事にあっても高い達成意欲をもつだろうと推定されて、人材評価を改善する可能性が十分あります。

4・健康
 高い処理能力も、健康と体力が無いと有効には機能しません。特に、差が付きやすい中年期以降は、仕事のパフォーマンスにも、経済的な有利不利も、さらに出世の可否にも大きな影響が出ます。

5・経験
 いつどのような仕事に関わったかという「経験」の差も要素としてあるでしょう。自分の「時間」という貴重な資源を、どういった経験に投資するか、常に自覚的であるべきです。
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【現代ビジネス】ソフトバンク孫社長の選択は「正解」だ~大物経営者の引き際を考える

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「ソフトバンク孫社長の選択は「正解」だ~大物経営者の引き際を考える」というタイトルで記事を書きました。
 ソフトバンク孫正義氏の事実上の後継者と見られていたニケシュ・アローラ副社長が退任するというニュースから、今回は、大物経営者の辞め方について考察をまとめています。

 報道によると、孫氏が社長を継続したいという心境になったことによるそうですが、孫氏の選択は正解でしょう。真の大物経営者は、自身のビジネスにあっては取り替えの利かない生き物なので、体力と情熱が続く限り自分の事業に関わるのがいい。
 先般の、セブン&アイ・ホールディングスの「カリスマ」こと鈴木敏文会長の退任に至る事例もそうですが、創業者に限らず、事業を新しく構築し、長らく会社の成長を主導してきたような大物経営者の引き際というのは、難しいことがわかります。

 大物経営者は、「後継者」や自身の「高齢リスク」などを問われたり、判断力の衰えや成功体験への固執などが非難される場合があります。しかし、ゼロからイチを作り出すようなビジネス・モデルの創造者においては、多くの場合、自分を上回る人物が出るまで自分は留まるのだという覚悟で、自身のポテンシャルを使い尽くすことに注力する方が、会社のためでもあり、ひいては社会のためではないでしょうか。
 但し、これを、「ゼロをイチに変える」能力の気配が全くない凡庸な社長にやられると、会社にとっても社会にとってもありがたくないのが大変難しいところです。
 「ゼロをイチにする経営者」と「単なる社長」を正しく区別して適切に扱うことが、会社と社会の双方にとって重要です。
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【楽天証券】確定拠出年金について伝えたい5つのメッセージ

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「確定拠出年金について伝えたい5つのメッセージ 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 確定拠出年金は、課税される金額以上の所得が見込まれる方にとって、「ほぼ確実に儲かる」と言える数少ない金融サービスであるにもかかわらず、利用していない人の多い制度です。
 記事では、確定拠出年金について今、是非ともお伝えしたい・言いたいと思っている以下の5項目について書いています。

確定拠出年金について伝えたい5つのメッセージ
1・利用しないと「もったいない!」
2・運営管理機関・運用商品の「地雷」を避けよ
3・金融機関による投資教育を警戒せよ
4・手数料が安い外国株インデックスファンドを選べ
5・70歳まで加入可能にして欲しい

 今月、確定拠出年金の改正法案が国会を通過しましたが、ちょうどそのタイミングで「確定拠出年金の教科書」(日本実業出版)という確定拠出年金の解説書の出版を進めていたため、ぎりぎりで改正法案の内容を本文中に紹介することが出来ました。先の5項目は、それぞれ拙著にて更に詳しい説明をしています。

 確定拠出年金については、今後要望したい点が大きく言って二つあります。

 1つには、移換をはじめとする各種手続の改善です。一部の手続は恐ろしく面倒ですし、全体的にみても手続きは不便で遅く、手数料も掛かかります。この改善は継続的に要望していこうと思います。
 もう1つは、原則として60歳迄としている年金の拠出可能年齢を、早急に70歳迄に引き上げることです。日本人が相対的に長寿・健康であること、働き方が多様化していることなどを踏まえても、加入資格年齢の引き上げは、政策が目指す方向性と合致するはずです。

 皆さんには、ご自分の加入資格を確認して、確定拠出年金を是非使ってみて欲しいと思っています。そのためのガイドブックとして、拙著が少しでもお役に立つなら、著者としては大変嬉しく思います。
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【告知】「確定拠出年金の教科書」一部修正します

 6月9日に「確定拠出年金の教科書」(日本実業出版社)を上梓しました。地味なテーマということもあり、売れ行きを心配していましたが、先日、増刷の連絡がありました。有り難いことです。
 本来なら、増刷のタイミングで誤植等の修正を加えるのですが、1点だけ、修正が間に合わなかった箇所がありました。この場を使って告知できればと思います。

 掛け金が全額、非課税になるという箇所で、会社員の企業型DC加入者を事例に説明していますが、これを、個人型の加入者である自営業者の例に置き換えたいと思います。
 企業型の場合、実際に掛け金を拠出するのは事業主であり、加入者本人が非課税になるのは、「マッチング拠出」で拠出した掛け金の額に限られます。修正前の説明では、掛け金全額が控除の対象になるかのように書かれていましたが、これは正しくありません。「図表1-1」の数値を含め、下記の通り修正したいと思います(金融ジャーナリスト竹川美奈子さんにご指摘頂きました。有難うございます)。

■該当箇所:p19~p21

〔第1のメリット〕
掛け金が全額「非課税」になり、所得税や住民税が減る

■修正後の内容

 確定拠出年金では、通常は毎月決まった金額を掛け金として拠出する。個人が掛け金を拠出する「個人型」の場合、金額は後から変更可能だ。「企業型」(詳細は63㌻参照)では個々の企業の制度による。これを日々運用していった成果を老後に受け取る。

 税金のメリットの1つ目では、この掛け金が全額、非課税になる(企業型の場合は、加入者が拠出した掛け金の全額)。所得税は、所得が大きくなるほど税金の額も大きくなる。確定拠出年金では、拠出した金額を差し引いて「圧縮」された所得額を元に、納める所得税の額を計算することが出来る。また、住民税も所得が対象になるので、計算の元になる所得が確定拠出年金の掛け金分だけ圧縮されると、税額が減少する。

 具体的な数字で見てみよう。
 ここに、課税対象となる所得が400万円になる自営業者がいるとしよう。この場合、適用される所得税の限界率は20%であり、住民税と合わせた納税額は78 万5300 円となる(次㌻図表1-1)。ところが、彼(又は彼女)が個人型の確定拠出年金の加入者であり、毎月6万8000円、年間81万6000円を掛け金として拠出していたとすると、この額は大きく変わってくる。因みに、月額81万6000円は、自営業者等の国民年金第1号被保険者が拠出出来る最高額だ。

 この場合、課税の対象となる所得の金額は、確定拠出年金の拠出額81万6000万円を差し引いた318万4000円となる。ここから所得税と住民税を改めて計算し直すと、税額は54万8900円となり、1 年間で23万6400円もの税金を「節約」出来るのだ。

 後で述べる企業型の確定拠出年金の加入者の場合、掛け金を拠出するのは事業主であるため、この段階では大きな節約にはならない。しかし、「マッチング拠出制度(63㌻参照)」を利用して、加入者である従業員が事業主の掛け金に上乗せして拠出した場合、この分の掛け金については、個人型同様、全額が非課税になる。

 この「節税」によって得られる金額と同じだけを株式投資によって手に入れようとした場合、仮に、運用期間中一定して5%のリターンが得られるとして計算すると、1年で23 万6400 円の運用益を得るには、元金として472万8000 円もの資金が必要だ。しかも、株式投資は、必ず期待通りのリターンが得られる訳ではない。当然ながら、マイナスになる可能性もある。

 非課税によって「確実」に節約出来るという確定拠出年金の威力は、金融の世界において、どれだけ「まれ」で「貴重」なものなのかが想像できよう。

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