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【楽天証券】個人投資家のための切り札「コンサルティングのアンバンドル化」

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「個人投資家のための切り札「コンサルティングのアンバンドル化 」と題する記事を書きました。

 個人投資家が証券会社の担当者に「相談」をした結果、その内容に納得したか、納得しなくても担当者に手間を掛けさせたことへの精神的な負い目から、証券会社に手数料収入が発生する注文を出してしまうというのは、少なからずあることでしょう。
 投資判断に関わる情報やアドバイスといった「相談」の対価は本来、どのように決まってどう支払われることがフェアなのでしょうか。
 自分が行う売買に対して(主として)比例的に掛かる委託売買手数料を通じた支払いが適切なのか、あるいは、例えば、定額の情報提供料を別途支払う方がいいのか、と考えた場合、それ以前の問題として、このどちらが実現するのかについては、運用商品の売り手側と、最終的な投資家である買い手側との力関係によって異なります。
 そしてこの場合、年金基金などの機関投資家と比べ、個人投資家は、得な立場にあるとは到底言えず、運用商品を販売する金融機関に対して手数料を払い過ぎているというのが現実です。金融商品・サービスの売り手側から見ると、運用資産額に対して比例的に手数料を取る形の方が、明らかに多くの手数料を取ることが出来るからです。

 合理的な個人投資家は、「相談は無料だったけれども、購入した運用商品では相当の手数料を払った」というような状態に陥ることを、意識的に避けなければなりません。
 お金の運用では、「相談する先」と「商品を購入する先」を意識的に分離して、それぞれを最適なものにしようとすることが決定的に重要です。例えば、運用について相談したいことがある場合、(1)運用方法・運用商品の選択に関する相談は信頼できるファイナンシャル・プランナーに相応の相談料を払って行い、(2)相談を踏まえて自分が買いたいと思う運用商品を最適な金融機関で購入する、というステップを踏むことが効果的且つ安全なのです。
 コラムタイトルの「コンサルティングのアンバンドル化」とは、まさにこの概念であり、個人投資家の側が経済的なメリットを最大化する上で鍵になるものです。「アンバンドル」とは、もともと組み合わせられているものを、別々に扱うことを指します。
 金融庁も、投資に掛かる間接コストを削減して、投資家自身がもっと儲かるようにしたいと考えているのなら、コンサルティング、即ち運用アドバイスを、運用商品の販売からアンバンドル化する方策を考えるべきでしょう。
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【現代ビジネス】小泉進次郎氏らが提案する「こども保険」に気乗りしない理由

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「小泉進次郎氏らが提案する「こども保険」に気乗りしない理由」というタイトルで記事を書きました。

 自民党の小泉進次郎・農林部会長らの若手議員が作る「2020年以降の経済財政構想小委員会」が、保育や幼児教育を実質的に無償にするための「こども保険」創設の構想を発表しました。
 未就学児も含めて、国が教育費を補助することには概ね賛成ですが、幾つかの点で、「こども保険」の仕組みには気乗りがしません。
 年金保険料を納めている世代に保険料負担を集中させるより、子どもへの支出は社会全体の投資として、一般的な税を財源とするのがいいのではないでしょうか。
 また、管轄や保険料徴収の仕組みが複雑になる点も問題です。厚労省系組織である日本年金機構が徴収業務を行い教育費の所管まで担うのか、あるいは独立行政法人が新設されるのか、詳細は不明ですが、何れにせよ、税金と差し引き計算されるか、別途給付金を支払うかの形で、税務当局によって扱う方が、仕組みがシンプルで効率的ではないでしょうか。
 さらに、最大の心配として、既に自民党内にあった「教育国債」を発行する構想への対案の形で登場したことから、こども保険を提案している自民党の若手議員の間に、国債を発行することについて、経済状況に関係無くそれ自体として問題視する見方があるように見えることがあります。
 名前はどうでも、結局は「赤字国債」ではないか、という意見はその通りでしょう。しかし、それでは今、赤字国債の発行は悪いのかという点まで考えてみてもいいのではないでしょうか。
 自民党の若手議員達が、マクロ経済の状況を無視して、いつでも均一に財政再建を目指すことが良いことだと考えるような、いわば「財務省的洗脳」の下にあるのだとすると、それこそ2020年以降の日本経済は大いに心配です。
 支出が適切であれば、状況に応じて柔軟にファイナンスの手段を考えたらいいだけのことです。当面は、堂々と赤字国債を発行すればよく、特に若手の政治家は(若手でない政治家も)、硬直的な予算の慣行に縛られた発想を行わない方がよいでしょう。
 財政は、もっと自由に考えたいものです。
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【現代ビジネス】銀行で毎月分配型の投資信託を勧められたら、こう考えよ

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「銀行で毎月分配型の投資信託を勧められたら、こう考えよ」というタイトルで記事を書きました。

 金融機関でリテール営業の場に関わると、「適合性の原則」を強く意識しなければなりません。これは、大まかに言うと、顧客の属性に合わない商品に顧客を誘導してはいけないというルールです。
 根拠条文(金融商品取引法第40条)には、行ってはいけないこととして、「顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けること」とあり、典型的には、高齢で金融知識も投資経験も乏しい人に対して、複雑でリスクの大きな運用商品を買うように勧誘するような行為を禁止しているものだと解されています。

 しかし、条文には解釈の余地があり、適合性の原則が、投資家を守ることについて「十分には役立っていない」だけではなく、原則が想定するような(望ましい)金融商品勧誘像自体が本当に「投資家にとっても正しいのか」という点についても疑問があります。場合によっては、顧客に不利益な金融商品営業を正当化するような側面さえもっているのが現実でしょう。
 加えて、どのようなケースを違反とするか、法律の専門家でも判断に迷うくらい曖昧な規定なのですから、保護されるべき消費者たる投資家側では全く油断ができませんし、金融庁や業界団体など、業界を監督・規制すべき立場にあっても、「適合性の原則」を超える投資家保護措置が必要です。

 そこで、今回のコラムでは、「適合性の原則」に代わる投資家保護の措置として、金融商品の販売者に対して、「手数料コスト」と「リスク」を具体的に説明する義務を課して、その根拠をチェックすることを提案しています。この形なら、「適合性の原則」のような馬鹿馬鹿しい曖昧さも無く、新しい商品の出現にも相当程度対応出来そうです。
 精神規定として「フィデューシャリー・デューティー」を唱えるよりも、具体的で実効性があるのではないでしょうか。
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【エンジニアの生きる道】「先生」の取扱説明書

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。

 今月は、「「先生」の取扱説明書」と題する記事を書きました。

 多くの人が、就職後しばらく経ってつくづく思うのは、大学、さらには大学の教師をもっと有効に活用しておくことができていたら、どんなによかったかということでしょう。
 私自身、会計知識を必要として手に入れた教科書の著者が学生時代の教官であることに気付き、著者本人から系統的に授業を受け、さらに直接何でも質問できる学生という立場の何と素晴らしかったかと、後から悔やんだことがあります。
 そこで今回、ビジネスパーソンになってからでも、「先生」という種族と関わる機会があった場合には、どう接したらいいのかについてまとめました。

 まず、先生とは基本的に、他人から尊敬されたい、自分を承認して貰いたいという、「歩く自己承認欲求」であることを理解しておくとよいでしょう。
 そこで、「先生」と親しくなり、後々には先生を利用する立場になりたいという人は、先生に会いに行く前に、当該先生の著書や論文を幾つか先に読んでおくことが重要です。そうして先に一手間を掛けることによって、先生の自尊心が十分満足され、先生と良好な関係を結ぶことができるのだから、これは有効な時間と努力の「投資」でもあります。
 加えて、先生種族と付き合う上では、当該先生の業績や能力を他の先生と比較しないことであり、不用意に他の先生を褒め過ぎないことが大変重要です。

 考えてみるに、自分がどう見られているかに敏感で、同業者にたいして嫉妬深いという、先生種族の特徴は、企業の経営者によく似ています。先生と社長は、おしなべていうと、自分自身が批判されることに慣れていない人達です。
 先生も社長も、なかなか取り扱いの難しい生き物ですが、生徒や社員から見て、共に少なからぬ利用価値を持っている得がたい相手でもあります。彼らに対しては、「相手に対する敬意を伴った興味」を表現することが付き合いのコツといえるでしょう。多少のコツを踏まえて、上手に付き合えるようになるのが得策です。
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【エンジニアの生きる道】SNS時代の「悪意」との付き合い方

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。

 今回は、「SNS時代の「悪意」との付き合い方」と題する記事を書きました。

 以前であれば、自分への悪口は、陰で言われていても直接耳に入ってくることが少なく、無視してやり過ごすことが容易でした。しかし、SNSの発達に伴って、自分に対する他人の悪意に思いがけず遭遇するケースが増えて来ました。
 本コラムでは、こうした「悪意」との付き合い方について、2つの要点を軸にまとめています。

 1.悪意を浴び慣れる
 まず、SNSで悪意のあるメッセージを受け取った場合、精神的に耐え難いレベルのものについては相手をブロックして構いませんが、自分に向けられた悪意を浴びることに慣れる方が、メリットは大きい場合が多いでしょう。理由はいくつか挙げられますが、場合によっては、新たな自分の「気付き」を提供してくれるプラスの結果をもたらすこともあり得ます。

 2.自分の側の悪意を上手にコントロールする
 次に、悪意のあるメッセージを受けてカッとなることはあっても、自分の側の悪意を十分に手懐けることが大切です。
 悪意の発散方法を間違えると、世評的にも、結果的に自分の精神の上でも、傷を負うことになりかねません。ビジネス的には確実にマイナスとなります。

 それでは、実際にSNS上で自分への悪意のコメントを向けられた時に、どうすればいいのでしょうか。
 結論からいうと、八割以上の場合は「スルー」、無反応が正解です。
 但し、ツイッターで言うフォロワー数の多い相手は、それだけ情報発信力があるので、説明するなり、反論するなりを、丁寧に行う必要があります。それでも、無反応でやり過ごすと、相手も張り合いがないので、ネガティブな情報発信が続くことは多くないでしょう。もちろん、フォロワー数が少ない相手は、無視して差し支えありません。

 他人の悪意は余裕を持って受け止め、これを自分のモチベーションに転化する。そういう態度を持つことができると理想です。
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【現代ビジネス】要注意!銀行口座データの「営業利用」はどこまで許されるのか

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「要注意!銀行口座データの「営業利用」はどこまで許されるのか」というタイトルで記事を書きました。

 先月の日経新聞に、「顧客行動の予測 精度競う」、「地銀が履歴解析、IT進化テコに」という見出しで、取引履歴システムを導入し、個人の口座の入出金情報を分析して営業活動に利用している地銀の記事が載っていました

 元々、銀行は自行の口座の入出金をモニタリングすることによって、個人や法人の信用状態に関する情報を持ち、これを融資の判断に生かすことができる、というビジネスモデルです。
 銀行員は口座の資金の動きから、顧客の生活状態を相当に詳細に推測できますし、データを本格的にコンピューターで解析するなら、例えば、運用商品の勧誘を断る確率が小さい、要はセールスに弱い顧客などをスクリーニングすることは難しくないはずです。
 さらに、銀行側からは顧客のお金の動きが見えているので、退職金入金のタイミング等、顧客は丁度良く且つ無防備な状態で営業攻勢に晒されることになります。

 これに対しては、個々の顧客である個人が、自分自身のために警戒するしかありませんが、金融機関が自分自身に関するビッグ・データを持っていて、営業アプローチに及んでいることを理解しておくことが重要です。
 具体的には、退職金を始め、資金の受け払いをする金融機関で金融資産の運用を一切行わないことが適切です。顧客の立場からすると、どこからどのような収入を得て、どのようにお金を使っているのかという自分の懐具合を熟知した相手は、セールスマンとしてはあまりに手強く、遠ざけるべき相手です。

 売り手側の練度が上がっているのだから、買い手側での警戒心の醸成が必要です。不適切な運用商品による被害の額を考えると、「金融機関の運用商品セールスに注意して下さい」という呼び掛けを、振り込め詐欺対策並みの頻度と熱意を持って行うべきなのかも知れません。

 尚、個人が注意し遠ざけるべき商品は、9月に公表された金融庁の「金融レポート」を見ると、毎月分配型投資信託、貯蓄性保険、ラップ口座、の主に三種類です。大いに気を付けて欲しいと思います。
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【DOL】ヤフーも導入「通年採用」が社員と人事にもたらすプラス効果

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「ヤフーも導入「通年採用」が社員と人事にもたらすプラス効果」と題する記事を書きました。

 大手企業のヤフーが、「通年採用」の仕組みを導入することを発表しました。
 今年に入って、経済同友会や世耕経産相も、通年採用への切り替えや一括採用の見直しについて公に言及するなど、通年採用には好ましい面があることが理解されつつある一方で、現実には、今ひとつ拡がりを見せていません。

 確かに、人事担当者の負担増やコスト面の問題はあるでしょう。更に、通常時の就活で内定を得られなかった学生が「通年採用」の後半に混じることによる、応募者の質の低下の懸念など、不安要素はいくつか挙げられます。

 しかし、今回のヤフーのように、対象年齢を18歳以上30歳未満と大きく拡げることで、例えば他社からの転職や、海外からの帰国者、さらには、超優秀な学生の青田買いの可能性など、企業側にも求職者側にもメリットが生じる組み合わせが新たに生じる可能性はあります。

 加えて、企業は、人事制度を根本的に作り替える契機として、通年採用の導入を考えてもいいのではないでしょうか。
 「年次」ベースの輪切り型の人材管理では、無駄や不足或いは評価に対する不満が発生します。何よりも、手持ちの社員の能力を最大限に発揮させる上で、既存の人事管理システムには限界があります。

 実際、私自身は、通年採用がきっかけとなって進むはずの、人事システムの進化の方により期待しています。
 若い頃から、年次や給与テーブルといった形式化された基準に関係なく働き、報酬や次の地位・仕事などを貰う関係に慣れるなら、仕事に向いた力のある社員は大いにやり甲斐を見いだすでしょう。一方、マネージャーの側では、部下の使い方と報酬について、人材を最大限に活用する努力が必要になるはずです。
 通年採用には、人事管理制度を、ビジネスの実態に合った社員の能力をより効率的に発揮させるものに変える上でのきっかけになり得る積極的意味があるでしょう。
 通年採用の普及拡大と、これが日本の人事システムを改善するきっかけになることを大いに期待しています。
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【経済快説】ドイツ銀行を蝕んだ投資銀行ビジネス

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています。これは、WEBでもお読み頂けます。
 今週は、「ドイツ銀を蝕んだ投資銀行ビジネス ユーロの存在も裏目に」と題する記事を書きました。

 ドイツ銀行が信用不安に揺れています。

 かつて堅実で強大なイメージを誇り、目下好調なドイツ経済のメインバンクが、なぜこのように弱体化したのでしょうか。私は、その原因として、同行が90年代から投資銀行ビジネスに力を入れたことと、欧州の共通通貨ユーロに原因があったのではないかと推測しています。

 恐らくは行内に投資銀行流の成功報酬の仕組みが組み込まれたことにより、行内の「プレーヤー」は、ドイツ銀行のバランスシートを目一杯使ってリスクを取り大きな報酬を狙うことが合理的となりました。
 また、ユーロ圏内では為替リスクがなくなるため、イタリアやスペインの不動産融資のような、利回りは高いがリスクも高い与信がやりやすい環境だったこともあるでしょう。

 投資銀行は株主にではなくプレーヤーに好都合なビジネスです。わが国にもこのビジネスに憧れる金融機関が少なくありませんが、田舎者には不向きな商売だと申し上げておきます。
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【現代ビジネス】政府部門が民間企業の大株主となることについて

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「政府機関が民間企業の「経営指導」を行うって…本当にうまくいくんですか?」というタイトルで記事を書きました。

 GPIFが、投資先企業との定期対話を始めるといいます。
 東証一部の現在の時価総額から計算すると、GPIFは日本企業の約6%の株式を保有する大株主です。GPIFや日銀のような政府機関が民間企業の大株主になることには、そもそもの制度設計として、私は反対です。
 しかし、既に彼らが大量の株式を持ってしまっている以上、株主権の空洞化が起こることは不健全であり、今回の対話に「全く反対」と言うわけではありません。

 GPIFの企業との対話は、最早、公的年金が民間企業の経営に関与しない存在であることを堂々と放棄し、建前と実態のズレを解消した点では画期的でしょう。同時に、公開の対話の場で、大株主であるGPIFが何を考えているのかを明らかにすることは、情報公開の点でも進歩といえます。

 但し、こうした政府機関が株主として民間企業の経営に関与することの可否と、彼らが民間企業の経営によい影響を与える「指導」ができるのかという点には、心配と疑問が残ります。
 制度の設計としては、公的機関が大株主となるよりは、民間人が分散して株式を持ち、民間人としての利益の立場から株式保有企業の経営に関与する方がスマートです。

 さらに、強く懸念しているのは、「公的大株主」の勢力を背景とした、民間企業の社外取締役への「天下り」が増えることです。官民の癒着は、今に始まったことではありませんが、大量の株式まで保有することで、官僚側の交渉力がより強くなることは否めません。
 公的機関の株式保有の影響は、直ちに見えるようなものは少なくても、気づいたときには大きくなっている可能性があります。公的機関が民間企業の大株主である以上、彼らの株主としての振る舞い方に注意を向けることが重要です。
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【DOL】世耕大臣が唱える新卒一括採用の見直しは本当に必要か?

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「「世耕大臣が唱える新卒一括採用の見直しは本当に必要か?」と題する記事を書きました。

 世耕経済産業大臣は4日、「新卒一括採用」について「実施する企業は多いが、かなりの比率で新入社員が辞めている。採用される学生も採用する企業も、このやり方は負担だと思っている」として、見直しを促す考えを述べました。

 新入社員は「3年で3割」辞めると言われますが、新卒一括採用に限らず、新卒でも中途採用でも、職場と社員のミスマッチは3割くらいはあるものだというのが私の実感です。
 世耕大臣が、「かなりの比率で新入社員が辞めている」こと問題視しているのだとすれば、些かピントがずれています。

 むしろ、中途採用市場を整備すると共に、年金や人事評価などの面で、中途採用者が不利にならないようにすることが重要です。強力に推進すべきは、「やり直しの利く就職活動」ではないでしょうか。

 採用活動は通年で行い、既卒者・転職者も有能なら採用して使うべきだ、というのは、企業の手間や人事制度などのコストの問題を棚上げすると、理屈は通っているように思います。

 そして、新卒一括採用と結びついている「年次主義型人事管理」は、そろそろ止めるべき企業が多いのではないでしょうか。
 年次が下でも、有能な管理職たり得る人材はいますし、年次が上でも無能な管理職は、もっとたくさん居るというのが、多くの企業の実態でしょう。

 問題は、これら企業経営の根幹に関わる人事管理のシステムを誰が変更するのかですが、これは、経営者がやるしかありません。
 日本企業の経営者達は、報酬に見合う実績を上げるためにも、人事管理システムの改革に本気で取り組むべきでしょう。その成果が十分出た時には、少なくとも企業側で新卒一括採用に拘る必要はなくなるように思います。
 「新卒一括採用」が企業の後進性を象徴するようになれば、日本企業の人事システム改革は成功です。
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【DOL】資産運用に「高齢者向き」の方法など存在しない

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「資産運用に「高齢者向き」の方法など存在しない」と題する記事を書きました。

 最新号の『週刊ダイヤモンド』(2016年8月6日号)は介護・死別・終末期などの特集を組んでいます。
 そこで今週は、「終末」あるいは「相続」まで辿り着く手前でお金で失敗してしまうことのないよう、高齢者のマネー運用について、気をつけるべき項目を四箇条にまとめました。

高齢者の資産運用四箇条

第1条 運用に歳を取らせる必要はない

 お金は、使いみちや所有者の年齢、手持ち金額などから独立して、その運用方法を決定することができます。
 「判断力さえしっかりしていれば」、高齢者だからと言って、ポートフォリオにまで歳を取らせて、リスク水準を落とすようなことは必要ありません。

第2条 インカムゲインに拘るな

 株式でも投資信託でも、分配金などのインカムゲインとキャピタルゲイン(と税金や諸費用も)を「合わせて」判断するのが、運用における絶対の基本の一つです。
 本ブログでも何度もお伝えしていますが、毎月分配型の投資信託は、買った値段に関係なく、即刻解約して構いません。

第3条 プロに任せるな

 たとえ無料相談であっても、お金の運用の判断には、運用商品を販売するプロに一切関わらせてはいけません。
 彼らは高い人件費以上の利益を稼がなければならない(商売の)プロであり、彼らが繰り出す「ご提案」を、素人がその場で的確に批判することは難しいからです。
 相談が必要な場合は、金融商品や保険商品などを扱っていない「金融機関と関わりのない」ファイナンシャル・プランナー(時に専門知識に疑問がありますが)などに相談料を払って相談するのがよいでしょう。

第4条 お金の在処が分かるようにしておけ

 十分な判断力がある高齢者は、以上の1~3条を守ってお金を運用すればよいのですが、高齢者の場合、「自分が不意に判断力を失った場合」について想定しておく必要があります。
 例えば、家族に告げずに持っている銀行預金があり、家族が通帳を見つけられない場合、その預金は見つけられないままとなる可能性があります。

 もっとも、これは、本質的に高齢者に限った問題ではないかもしれません。いわゆる認知症が進むケース以外にも、単純に記憶を失ったり、亡くなったりすることは、高齢者に限らず起こり得ます。
 運用にあって、「高齢」が特別な要素ではないように、全ての年代にあってお金の在処を情報として適切に管理する必要性があるのだ、という理解を持っておくことが正しいということなのでしょう。
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【エンジニアの生きる道】「夢」と「目標」を区別して考えよ

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。

 今月は、『「夢」と「目標」を区別して考えよ』と題する記事を書きました。

 先日、弁護士になりたいという夢を持った大学院生の母親からの相談について、考える機会がありました。
 相談の内容は、法科大学院に行く学費をどうするか、ということで、直接相談を受けたFPは、奨学金の紹介をしました。
 一方で、私は「司法試験に合格することが、『夢』なのか『目標』なのかをまず区別すべきでしょう」と答えました。合格が非現実的な『夢』に過ぎなければ、諦めるのが立派な決断でしょうし、それが努力によって十分合格の可能性がある『目標』なら、そこで初めて具体的に考える価値があるからです。

 夢の価値を全面的に否定するわけではありません。お金や時間といった現実のコストを考える場合には、実現性のある目標に対して考える必要があることを強調したいだけです。

 夢と目標の違いについて、私は「具体的で現実的な時間と努力で達成できる確率が50%以上に達すると考え得る夢」のことを「目標」だと考えています。
 これは、学生のみならず、社会人であっても、老若男女問わず、基本的に同じ考え方です。
 夢が真に大切なら、その夢を勝率が半分以上の目標に落とし込む努力をするべきだ、というのが、リアリストであり「人生のファンドマネジャー」(ちなみに、主な運用資産は時間と努力とお金です)としての私からの親身のアドバイスです。

 夢と目標を正確に区別して、目標を目指すことの、機会費用を含めたリアルなコストについて、意識することが必要です。
 また、当然ながら、目標によって達成までの期間は異なります。あまりに長い期間を要する目標の場合、途中でその達成度合いを測ることが出来る中間目標が必要でしょう。

 時に、目標のつもりで目指してきたことが、本人の意に反して、単なる夢になってしまうことも人生にはあります。この場合は、目標を現実的なものに設定し直すべきです。もちろん、逆のケースもあり得ますから、その場合には、自分の可能性を拡張するためにも、目標の上方修正を考えるのがいいでしょう。

 避けるべきは、夢を持っているということにこだわり、夢を言い訳にして不適切な選択を正当化することです。
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【楽天証券】ロボでも人間でも運用アドバイザーは何を訊くべきなのか?(その1)

□タイトル
【楽天証券】ロボでも人間でも運用アドバイザーは何を訊くべきなのか?(その1)

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「ロボでも人間でも運用アドバイザーは何を訊くべきなのか?(その1) 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 近ごろ流行りの「フィンテック」の一つとして、「ロボアドバイザー」が注目を集めています。
 ロボアドバイザーであっても人間の専門家であっても、運用アドバイスを行う上でなされる質問には、
1・顧客に訊くべき必須の質問
2・運用アドバイスのためには顧客に訊く必要がない質問
3・アドバイスに必要ないけれどもビジネス上の都合で訊いている質問
等があるでしょう。
 今回は、典型的な質問点から10を選び、「運用アドバイスに必要な情報は何か」について、考えています。

(1)運用期間は聞いても良いが、これでリスクは決まらない

 極端に短い期間でなければ、個人投資家に対して、運用期間を聞く意味はあまりありません。
 運用計画の最適な想定期間は、運用期間全体の長さによってではなく、ポートフォリオ調整の取引コストと運用環境の変化スピードなどによって決まるからです。
 「短期の運用戦略が、その都度、長期的にもいいと思う運用戦略になり、短期の運用判断をつなげたものが、長期運用となり、あくまでも結果的にポートフォリオには大きな変化が無かった」というのが、一見ほぼバイ・アンド・ホールドに見えるような長期運用の「正しい姿」です。

(2)アドバイス対象のお金は、全体の中のどれくらいか?

 今、動かそうとしている運用額が顧客の資金全体の中でどれほどの大きさなのか、これによって発生し得る損失がどれほどのインパクトを持つのかの評価なく、適切なアドバイスなど出来るはずがありません。
 顧客についてこの点を的確に把握し、または顧客自身による把握を補佐することが、FPの運用アドバイスにあって最重要ポイントだと考えていますが、この視点の欠けたアンケートやHPをしばしば見掛けます。

(3)資金の使用目的は全く重要ではない

 後から使い途を決められることが、お金の長所の一つです。
 取り得るリスクの範囲内で、効率よくお金を増やすことが運用の問題であり、老後の生活費なのか、子の学費なのか、その使い道は基本的には「別の問題」であり、運用方法には関係ありません。

 ※尚、元の記事では、10の質問点の1~3が今回掲載されており、残りは次回以降の掲載となります。
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【楽天証券】18歳からの投資入門

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「18歳からの投資入門 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 選挙権年齢が18歳に引き下げられました。
 18歳には投票を行う上で十分な判断力がある、との判断が根底にあるのだとするなら、同時に、投資を始めるにもいい年齢なのだとは言えないでしょうか。この思いから今回、18歳からの投資の心掛けについて考えました。

 まず、18歳に限ったものではありませんが、投資について具体的に考えるためには、多少の数学知識が必要です。四則計算の他に、
・複利計算
・割引現在価値の考え方
・標準偏差と正規分布の初歩
・等比数列の和の公式
などの理解(公式が理解できるレベル)があれば十分に、損得をある程度計算で判断できるようになるでしょう。いずれも、高校の文科系コースであっても十分履修しているはずの内容です。

 しかし、一般的な投資教育では、この最も肝心な「損得の判断方法」の基礎に当たる知識を教えていない場合が殆どです。さらには、売り手側が取る実質的な手数料が重要なのだといった「真に大切なこと」も、案外教えられていません。
 18歳の皆さんには、耳障りがいいだけの「似非投資教育」(にせものの投資教育)には気を付けて欲しいと思います。
 そこで記事では、投資の心得を5カ条にまとめて紹介しています。

18歳の投資入門者に贈る投資の心得5カ条>
1.投資は無理にやらなくてもいい
2.投資は自分のためにする
3.リスクは投資額でコントロールする
4.投資では他人を頼ってはいけない
5.「予想外」と上手く付き合え



 率直に言って、18歳の年齢から、将来に備えた資産運用を行うべきだとは思っていません。しかし、早くから投資に関わることで、リアルな感覚と問題意識を持って時々の経済・金融状況と付き合った経験を、この年齢から持つことが出来るとすると、これは相当に有効な「経験」への投資になり得ます。
 18歳の当人である皆さんや、その親御さんには、ぜひ提案してみたいと思います。経験に時間を投資する上で、優れた期待リターンの投資になるのではないでしょうか。
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【DOL】国民投票で国論二分の大問題を決めることのリスク

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「国民投票で国論二分の大問題を決めることのリスク」と題する記事を書きました。

 英国のEU離脱を問う国民投票で「ブレグジット」が可決されました。
 この結果が、英国及び世界にどのような帰結をもたらすのかは、今のところ「よく分からない」と言うしかありません。
 しかし、ブレグジット以降の金融市場では、どこかの国でEU離脱に向けた国民投票の「気運が高まる」だけで資本市場が反応を始め、大手金融機関のバランスシートに生じた修復不可能な歪みが表面化してしまう可能性があります。
 世界経済は、言わば、いつ発作が襲うか分からないような慢性病の病巣を欧州に抱えており、致命的な発作につながりかねない症状の進行を見せたのが、今回のブレグジットの可決です。

 国民投票後の英国民の間では、EU離脱への賛否を巡って深刻な対立感情が残ったようにも見えますし、スコットランド独立問題が再燃する可能性も生じています。いずれも、キャメロン氏が国民投票という手段を採らなければ、直ちに表面化することは無かったはずです。
 国論を二分するような問題を国民投票に掛けてはいけない、ということなのか、国論が二分される大問題である以上国民投票で決めるのが正しいということなのかは、政治家の信条に関わる問題です。
 キャメロン氏は、国民を説得できるはずだと考え、まさか負けるとは思っていなかったのでしょう。

 今回の英国の「民意」には、二種類の説明の可能性があります。

 一つは、個人間の大きな経済「格差」が顕在化して、固定してきた、という印象を多くの人が持つ場合、「経済全体にとって得なこと」が選択されなくなる可能性が、大いにあるということです。
 可能性のもう一つは、自分も損をすると分かっていても、儲けている連中が損をすることが望ましいと思う、一種の処罰ないしは嫉妬の感情を持ったことが挙げられます。

 今回の英国の状況は、次の大統領選挙に向けて米国が直面している状況と似ている可能性がありますし、経営者の報酬ばかりを引き上げる一方、ROE向上に圧迫されて一般社員の賃金が上がりにくい現在の日本企業と社会にあっても、遠からず問題となる状況かも知れません。
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