8月26日(月)
今回は高校野球の話題で、
題して、「複数の投手を擁しないと通用しなくなった高校野球」
やはり、今夏、高校NO.1投手と言われた大船渡高校の佐々木君が岩手県大会の決勝戦で登板を回避した問題は大きかった。
甲子園に駒を進めたチームの中で、好投手と言われた星陵高の奥川君も、明石商の中森君も連投を避けて準決勝へ進んできました。しかし、両校とも優勝した履正社には敵いませんでした。その差は二番手の投手にあったと思っています。
履正社はエース清水君と二年岩崎君の二人でしたが、清水君は二回戦と準々決勝に、岩崎君が準決勝の明石商戦に完投。残りの三試合は継投という具合でした。他のチームも同じようにやりくりしていたのですが、履正社の二番手の岩崎君は低めへのコントロールが抜群で、エースにまったく引けを取らない力を発揮しました。準決勝ではもちろん明石商を応援していましたが、履正社が先行してしまった中で、追いついたり逆転するのは至難と岩崎君の投球に感心しながらテレビを見ていました。
実は、これには伏線がありました。私は、神奈川大会を見てきたので、東海相模の攻撃力に注目していましたが、一抹の危惧を抱いていた投手力がものの見事に破綻して敗退してしまったのです。その時のボールが高め高めに。「なんでまたそんなとこに! え、また! 高いよ、ボールが」と呟きながら連打を浴びる場面を見ていたのです。そんなことがあってから見た岩崎君の球は見違えるほどでした。とにかく低めによく制球されていましたから。
ところで、過去にも複数投手を擁するチームはあったのはたしかですが、今年の甲子園を見ていると、エース一人で勝ち上がるチームは皆無で、つくづく「様変わりしてきた」と思わざるを得ませんでした。
もちろん二番手投手のデキによりますが、もし大船渡高校が甲子園に出てきて、他のチームと同じような戦い方をしたとすると、地方大会の決勝で勝てなかったことを考えると、おそらく、二・三回勝てても、日程のきつくなった後も勝ち進むのは無理だったような気がします。
もしかすると、将来のことなんか度外視して、連投、連投という投手、昨年の金足農業の吉田君が最後になるのかもしれません。そして、甲子園が一人の投手では勝ち進めない舞台になってきたということは、野球ファンとしては寂しい限りです。
なぜなら、「投手一人のチームでも夢が持てる」のか「複数の好投手を用意しないと夢は抱けないのか」というのは大きな問題だからです。
現実には、甲子園に駒を進める高校は後者の強豪校に絞られるのかもしれませんが、全国の加盟校の大半は前者の範疇に入ってしまいます。でも、その球児たちにだって「夢」を持つ権利はあるはずで、そう考えると、現状はどう見てもおかしい。
7月末以来、大船渡高校の判断を巡って賛否が渦巻いていましたが、そんなことは馬鹿げた議論だと醒めていました。「監督も選手も何も悪くない、悪いのは制度だ」と。
だいたい、各県から50校近くの代表がひとつの球場に集まって二週間ほどの間にNO.1を決めるなんて、多くの人が現実的でないと思う状況になっていることを考えれば、やはり、甲子園は16代表くらいでいいのです。
地方予選は5月頃から始めればいい。一ヶ月半もあれば県代表も決まるだろうし、次の最終的な代表決定戦だって7月中にはできるでしょう。甲子園は、一回戦2日、準々、準決、決勝の5日間開催。それぞれの間に三日の休養日を入れてもちょうど二週間で、勝ち進んでも最大4試合。
たしかに、球児にとって甲子園は聖地で、まずはその土を踏むことが目標でしょうが、その聖地にたどり着くのが今より大変にはなるとはいっても、それが夢舞台というもの。そのかわり、一人のピッチャーでも夢が持てるということです。
最近、「NHKをぶっ潰す」と気勢を挙げて人気を博した政党が現れました。もう20年くらい前になるでしょうか、「自民党をぶっ潰す」と言って総理総裁になった人もいました。
私は、別に「高野連をぶっ潰さないと・・・・」などとは思ってもいません。でも、もう何十年も前から、「高野連がもっと柔軟に考えられるようにならないと、高校球児の健全な育成は無理ではないか」、「甲子園は16代表くらいでいいんじゃないか」と思っていました。
そんな中で、松坂投手の大活躍があり、早実斉藤、駒大苫小牧田中両投手の投げ合いがあり、済美の福井、安楽投手の連投も見てきました。その折々、勝つか負けるかハラハラドキドキしていましたが、そのハラハラドキドキの中には「こんなことでいいのか」という気分も半分くらいあったのです。
2014年の9月初めの記事に載せてありますが、同年8月末の軟式全国大会で、中京学院大中京と崇徳高校の延長50回の試合がありました。両チームとも一人の投手が投げ抜いた伝説的なその試合を、当時のブログに記したとおり、明石にいた私はとうとう全インニング観戦してしまいましたが、その間、ずっと大会運営と制度のあり方に疑問を抱きつつ、ハラハラドキドキして見ていたのを思い出します。
余談ですが、
今年の軟式の全国大会、出場16校中、なぜか、あの2014年に登場した高校が9校も出て来ているのです。延長50回の中京と崇徳と準優勝した三浦学苑がいて、あとは秋田の能代高校、仙台商に早稲田学院、和歌山の南部や愛媛の新田、福岡大大濠と。出場する選手は違っても、なんとも懐かしい。
残念なのはテレビ中継がないことですが、今朝の新聞では、神奈川代表の三浦学苑は新田高に一回戦9回裏サヨナラ0-1で惜敗したとか。情報によると、その新田が今日も勝って、崇徳高と準決勝を戦うとのこと。そして、今年も優勝候補の中京、鹿児島実業に2-0で勝っているのですが、どうもノーヒットノーランみたいで、明日の新聞を見ればわかります。
そしてそして、もしかすると、あの延長50回を戦った中京と崇徳が決勝戦で相まみえるかもと目が離せません。しかし、中継がないので目の向けようがなく、なんとももどかしい限りです。
今回は高校野球の話題で、
題して、「複数の投手を擁しないと通用しなくなった高校野球」
やはり、今夏、高校NO.1投手と言われた大船渡高校の佐々木君が岩手県大会の決勝戦で登板を回避した問題は大きかった。
甲子園に駒を進めたチームの中で、好投手と言われた星陵高の奥川君も、明石商の中森君も連投を避けて準決勝へ進んできました。しかし、両校とも優勝した履正社には敵いませんでした。その差は二番手の投手にあったと思っています。
履正社はエース清水君と二年岩崎君の二人でしたが、清水君は二回戦と準々決勝に、岩崎君が準決勝の明石商戦に完投。残りの三試合は継投という具合でした。他のチームも同じようにやりくりしていたのですが、履正社の二番手の岩崎君は低めへのコントロールが抜群で、エースにまったく引けを取らない力を発揮しました。準決勝ではもちろん明石商を応援していましたが、履正社が先行してしまった中で、追いついたり逆転するのは至難と岩崎君の投球に感心しながらテレビを見ていました。
実は、これには伏線がありました。私は、神奈川大会を見てきたので、東海相模の攻撃力に注目していましたが、一抹の危惧を抱いていた投手力がものの見事に破綻して敗退してしまったのです。その時のボールが高め高めに。「なんでまたそんなとこに! え、また! 高いよ、ボールが」と呟きながら連打を浴びる場面を見ていたのです。そんなことがあってから見た岩崎君の球は見違えるほどでした。とにかく低めによく制球されていましたから。
ところで、過去にも複数投手を擁するチームはあったのはたしかですが、今年の甲子園を見ていると、エース一人で勝ち上がるチームは皆無で、つくづく「様変わりしてきた」と思わざるを得ませんでした。
もちろん二番手投手のデキによりますが、もし大船渡高校が甲子園に出てきて、他のチームと同じような戦い方をしたとすると、地方大会の決勝で勝てなかったことを考えると、おそらく、二・三回勝てても、日程のきつくなった後も勝ち進むのは無理だったような気がします。
もしかすると、将来のことなんか度外視して、連投、連投という投手、昨年の金足農業の吉田君が最後になるのかもしれません。そして、甲子園が一人の投手では勝ち進めない舞台になってきたということは、野球ファンとしては寂しい限りです。
なぜなら、「投手一人のチームでも夢が持てる」のか「複数の好投手を用意しないと夢は抱けないのか」というのは大きな問題だからです。
現実には、甲子園に駒を進める高校は後者の強豪校に絞られるのかもしれませんが、全国の加盟校の大半は前者の範疇に入ってしまいます。でも、その球児たちにだって「夢」を持つ権利はあるはずで、そう考えると、現状はどう見てもおかしい。
7月末以来、大船渡高校の判断を巡って賛否が渦巻いていましたが、そんなことは馬鹿げた議論だと醒めていました。「監督も選手も何も悪くない、悪いのは制度だ」と。
だいたい、各県から50校近くの代表がひとつの球場に集まって二週間ほどの間にNO.1を決めるなんて、多くの人が現実的でないと思う状況になっていることを考えれば、やはり、甲子園は16代表くらいでいいのです。
地方予選は5月頃から始めればいい。一ヶ月半もあれば県代表も決まるだろうし、次の最終的な代表決定戦だって7月中にはできるでしょう。甲子園は、一回戦2日、準々、準決、決勝の5日間開催。それぞれの間に三日の休養日を入れてもちょうど二週間で、勝ち進んでも最大4試合。
たしかに、球児にとって甲子園は聖地で、まずはその土を踏むことが目標でしょうが、その聖地にたどり着くのが今より大変にはなるとはいっても、それが夢舞台というもの。そのかわり、一人のピッチャーでも夢が持てるということです。
最近、「NHKをぶっ潰す」と気勢を挙げて人気を博した政党が現れました。もう20年くらい前になるでしょうか、「自民党をぶっ潰す」と言って総理総裁になった人もいました。
私は、別に「高野連をぶっ潰さないと・・・・」などとは思ってもいません。でも、もう何十年も前から、「高野連がもっと柔軟に考えられるようにならないと、高校球児の健全な育成は無理ではないか」、「甲子園は16代表くらいでいいんじゃないか」と思っていました。
そんな中で、松坂投手の大活躍があり、早実斉藤、駒大苫小牧田中両投手の投げ合いがあり、済美の福井、安楽投手の連投も見てきました。その折々、勝つか負けるかハラハラドキドキしていましたが、そのハラハラドキドキの中には「こんなことでいいのか」という気分も半分くらいあったのです。
2014年の9月初めの記事に載せてありますが、同年8月末の軟式全国大会で、中京学院大中京と崇徳高校の延長50回の試合がありました。両チームとも一人の投手が投げ抜いた伝説的なその試合を、当時のブログに記したとおり、明石にいた私はとうとう全インニング観戦してしまいましたが、その間、ずっと大会運営と制度のあり方に疑問を抱きつつ、ハラハラドキドキして見ていたのを思い出します。
余談ですが、
今年の軟式の全国大会、出場16校中、なぜか、あの2014年に登場した高校が9校も出て来ているのです。延長50回の中京と崇徳と準優勝した三浦学苑がいて、あとは秋田の能代高校、仙台商に早稲田学院、和歌山の南部や愛媛の新田、福岡大大濠と。出場する選手は違っても、なんとも懐かしい。
残念なのはテレビ中継がないことですが、今朝の新聞では、神奈川代表の三浦学苑は新田高に一回戦9回裏サヨナラ0-1で惜敗したとか。情報によると、その新田が今日も勝って、崇徳高と準決勝を戦うとのこと。そして、今年も優勝候補の中京、鹿児島実業に2-0で勝っているのですが、どうもノーヒットノーランみたいで、明日の新聞を見ればわかります。
そしてそして、もしかすると、あの延長50回を戦った中京と崇徳が決勝戦で相まみえるかもと目が離せません。しかし、中継がないので目の向けようがなく、なんとももどかしい限りです。