おたすけこびと






去年の12月のある月曜日、

私と息子は、駅前の紀伊国屋書店の2階の、お日様の光のたっぷり入る

絵本コーナーにおりました。

棚からこの本を見つけたのは息子の方でした。

どれどれ、と、2人で開いてみた瞬間、2人ともに 「 おっ! 」 。

息子が一瞬早く 「 まーちゃん、この本 ” くださいな ” して!! 」

そして、即続いて私が、「 よし!今日はコレだね! 」

あとはろくすっぽ中身は見ないで、レジに直行。

家に着いて、改めてとくと眺め、我らの勘が大当たりだったことを確信。

『 おたすけこびと 』 は、全く新しい ” はたらくクルマ ” の絵本でした。

続々と登場し、目を見張る大活躍をする超大型重量車両がすごい!!

パワーショベルでしょー、ホイールローダーでしょー、

コンクリートミキサー車にコンクリートポンプ車、ブルドーザーにオフロードダンプトラッ

クでしょー、高所作業車にクレーン車、ウィングトラック、そして、何と!

ヘリコプターまでも!!!

私でさえわくわくしちゃう、工事現場のスター選手達が続々と登場。

そして、これらを見事操縦するのは、なななんと、

それはカワイイこびと達なんですよ!

彼らが巨大な特殊車両を使って、一体何をするのか?

これがまた驚きの楽しさ!!!

何と、お誕生ケーキを焼くのです!


ある日、おたすけこびとの事務所 ( ? ) に1本の電話が入ります。

「 はい、しょうちしました 」 ノートをひろげ、にこやかに応対するこびとさん。

さあ、しごとだ!

わあーーーっと、いっせいに駆け出してきたこびと達、そして重量車両軍団。

依頼の仕事現場は、キッチン。

ホイールローダーが掬い上げた小麦粉をダンプトラックが積んで、ボウルにザザーッ。

巨大クレーンで卵を吊り上げ、パワーショベルががっぷりとくわえた卵の殻を、

先端突起の振動ブレイカーで 「 トトトト パリン! 」 と割ってボウルの中に落とす。

巨大 ( こびとにとっては、ですが )かき混ぜ器を取り付けたショベルカー2台が、

グルングルンと混ぜ合わせ、そして、消防の特殊化学車が、混ぜあがったスポンジ種を

ホースで焼き型に流し込む。

型をオーブンに入れて、スタートボタンを押したら、さあ、ひとやすみ。

ここでのこびと達のコーヒーブレイクも楽しいよー!!

移動ドリンク車がちゃーんと到着していて、頭巾をきちっとむすんだこびと達が中にいて、

現場のこびと達に飲み物を渡すんです。

みんなかわいいヘルメットを脱いで、

それぞれ飲み物をおいしそうに飲んでいたり、ギターを弾いて歌っていたり、

おしゃべりしていたり、昼寝をしていたりしてるんです。

シポンジ台が焼けたと同時にお仕事再開。

オールテレーンクレーン2台で型から外し、次に登場するはコンクリートミキサー車と

コンクリートポンプ車だー。

ミキサー車で作られていたのは、ホイップクリーム!!!

それをポンプ車がじゅわわわわあーーーっと焼けたスポンジ台の表面に流しだし、

スクレーパーを装備したショベルカーが平らに伸ばす。

ポンプ車は引き続きポイップクリームをデコレーションし、ショベルカーは、届いた苺を

飾りつけ ( こびと2人でのこぎりを引いて苺のヘタをとってるのー!! )。

そしてハイライト、

” ババババババババ ” ヘリコプターがロープで吊って、空中搬入してきたものは、

「 おたんじょうび おめでとう 」 のクッキープレートだーっ!!!

真ん中に無事セットして、さあ ” できあがり ” 。

そして ・・・・・・ 。



この絵本の新しさ、楽しさは、一体どこからきているのだろう?



超重量特殊車両  vs  かわいいこびと達

工事現場  vs  ファンタジー

精巧な車両メカニックのイラスト  vs  ふんわりスイーツ



という、意外性溢れる設定のおもしろさに まず、わくわくさせられます。

そして、絵本全体の濁りのなさもとてもいい。

なんといっても、この本、空間の ” 白 ” が効いているのです。

その結果、車両の「 コマツ 」 イエロー、こびと達の衣服の赤・青・黄色・緑が、

クリアーで明るい世界を表現し、

ちょっと震える味のある線で細部まで書き込まれたイラストが、温かさを感じさせ、同時に

マニアックな興味の扉をも開いている。

大勢のこびと達のなかから、様々なポーズをするこびとをいくつも見つけたり ( ころび

こびと、旗振りこびと、お掃除こびと、e.t.c. e.t.c. ・・・・ )、各車両のメカや

機能を観察したり。

そして、極めつけは、こびと達の、スピード感のある仕事振り、ですね。

その、見事な段取り、鮮やかな手際。

あんなカワイイお顔と体で、まーあまあ、驚くべき仕事人集団なのです、彼らは。


以上のような考察 ( おとな読みはいやだネー、全く ) が、まあ、この本の魅力の理由

のほんの一部、ではありましょう。



作者 なかがわ ちひろ氏も、イラストの コヨセ ジュンジ氏も、

私は全く存じ上げないお二人でしたが、このような作品に出会うと、うーん、やられたな

あ、と感じずにはいられません。

1冊の絵本の全ての要素について、最高レベルで表現することに成功していて、

しかも、ユーモアがあり、そして、かわいい、のです。


男のおとなも、女のおとなも、男のこどもも、女のこどもも、みんなをワクワクさせて

くれるこびとさんの次なる依頼主は、どうやら、サンタクロースらしい。

シリーズ2冊目、『 おたすけこびとのクリスマス 』、

今年の暮れは、迷わず、

「 これ、くださいな!! 」 で、レジ直行だー!!


























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