毎週の出来事をお伝えします
電話室便り
おたすけこびと
2010-03-14 / 本
去年の12月のある月曜日、
私と息子は、駅前の紀伊国屋書店の2階の、お日様の光のたっぷり入る
絵本コーナーにおりました。
棚からこの本を見つけたのは息子の方でした。
どれどれ、と、2人で開いてみた瞬間、2人ともに 「 おっ! 」 。
息子が一瞬早く 「 まーちゃん、この本 ” くださいな ” して!! 」
そして、即続いて私が、「 よし!今日はコレだね! 」
あとはろくすっぽ中身は見ないで、レジに直行。
家に着いて、改めてとくと眺め、我らの勘が大当たりだったことを確信。
『 おたすけこびと 』 は、全く新しい ” はたらくクルマ ” の絵本でした。
続々と登場し、目を見張る大活躍をする超大型重量車両がすごい!!
パワーショベルでしょー、ホイールローダーでしょー、
コンクリートミキサー車にコンクリートポンプ車、ブルドーザーにオフロードダンプトラッ
クでしょー、高所作業車にクレーン車、ウィングトラック、そして、何と!
ヘリコプターまでも!!!
私でさえわくわくしちゃう、工事現場のスター選手達が続々と登場。
そして、これらを見事操縦するのは、なななんと、
それはカワイイこびと達なんですよ!
彼らが巨大な特殊車両を使って、一体何をするのか?
これがまた驚きの楽しさ!!!
何と、お誕生ケーキを焼くのです!
ある日、おたすけこびとの事務所 ( ? ) に1本の電話が入ります。
「 はい、しょうちしました 」 ノートをひろげ、にこやかに応対するこびとさん。
さあ、しごとだ!
わあーーーっと、いっせいに駆け出してきたこびと達、そして重量車両軍団。
依頼の仕事現場は、キッチン。
ホイールローダーが掬い上げた小麦粉をダンプトラックが積んで、ボウルにザザーッ。
巨大クレーンで卵を吊り上げ、パワーショベルががっぷりとくわえた卵の殻を、
先端突起の振動ブレイカーで 「 トトトト パリン! 」 と割ってボウルの中に落とす。
巨大 ( こびとにとっては、ですが )かき混ぜ器を取り付けたショベルカー2台が、
グルングルンと混ぜ合わせ、そして、消防の特殊化学車が、混ぜあがったスポンジ種を
ホースで焼き型に流し込む。
型をオーブンに入れて、スタートボタンを押したら、さあ、ひとやすみ。
ここでのこびと達のコーヒーブレイクも楽しいよー!!
移動ドリンク車がちゃーんと到着していて、頭巾をきちっとむすんだこびと達が中にいて、
現場のこびと達に飲み物を渡すんです。
みんなかわいいヘルメットを脱いで、
それぞれ飲み物をおいしそうに飲んでいたり、ギターを弾いて歌っていたり、
おしゃべりしていたり、昼寝をしていたりしてるんです。
シポンジ台が焼けたと同時にお仕事再開。
オールテレーンクレーン2台で型から外し、次に登場するはコンクリートミキサー車と
コンクリートポンプ車だー。
ミキサー車で作られていたのは、ホイップクリーム!!!
それをポンプ車がじゅわわわわあーーーっと焼けたスポンジ台の表面に流しだし、
スクレーパーを装備したショベルカーが平らに伸ばす。
ポンプ車は引き続きポイップクリームをデコレーションし、ショベルカーは、届いた苺を
飾りつけ ( こびと2人でのこぎりを引いて苺のヘタをとってるのー!! )。
そしてハイライト、
” ババババババババ ” ヘリコプターがロープで吊って、空中搬入してきたものは、
「 おたんじょうび おめでとう 」 のクッキープレートだーっ!!!
真ん中に無事セットして、さあ ” できあがり ” 。
そして ・・・・・・ 。
この絵本の新しさ、楽しさは、一体どこからきているのだろう?
超重量特殊車両 vs かわいいこびと達
工事現場 vs ファンタジー
精巧な車両メカニックのイラスト vs ふんわりスイーツ
という、意外性溢れる設定のおもしろさに まず、わくわくさせられます。
そして、絵本全体の濁りのなさもとてもいい。
なんといっても、この本、空間の ” 白 ” が効いているのです。
その結果、車両の「 コマツ 」 イエロー、こびと達の衣服の赤・青・黄色・緑が、
クリアーで明るい世界を表現し、
ちょっと震える味のある線で細部まで書き込まれたイラストが、温かさを感じさせ、同時に
マニアックな興味の扉をも開いている。
大勢のこびと達のなかから、様々なポーズをするこびとをいくつも見つけたり ( ころび
こびと、旗振りこびと、お掃除こびと、e.t.c. e.t.c. ・・・・ )、各車両のメカや
機能を観察したり。
そして、極めつけは、こびと達の、スピード感のある仕事振り、ですね。
その、見事な段取り、鮮やかな手際。
あんなカワイイお顔と体で、まーあまあ、驚くべき仕事人集団なのです、彼らは。
以上のような考察 ( おとな読みはいやだネー、全く ) が、まあ、この本の魅力の理由
のほんの一部、ではありましょう。
作者 なかがわ ちひろ氏も、イラストの コヨセ ジュンジ氏も、
私は全く存じ上げないお二人でしたが、このような作品に出会うと、うーん、やられたな
あ、と感じずにはいられません。
1冊の絵本の全ての要素について、最高レベルで表現することに成功していて、
しかも、ユーモアがあり、そして、かわいい、のです。
男のおとなも、女のおとなも、男のこどもも、女のこどもも、みんなをワクワクさせて
くれるこびとさんの次なる依頼主は、どうやら、サンタクロースらしい。
シリーズ2冊目、『 おたすけこびとのクリスマス 』、
今年の暮れは、迷わず、
「 これ、くださいな!! 」 で、レジ直行だー!!
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