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天国の日々 / DAYS OF HEAVEN ( 続き )

 

( 続き )

 

開拓時代が終わり、ヨーロッパからは産業革命の波が押し寄せ拡がり始めている20世

初頭のアメリカ。

シカゴの石炭工場で働くビリー( リチャード・ギア ) は、過酷な労働とわれ方に、

ついに現場監督を殴り倒してしまい、妹のリンダ( リンダ・マンツ )、恋人アビ

( ブルック・アダムス )とともに、「 冒険の旅だ! 」 と列車に飛乗り逃げます。

向かう先など何一つ決まっていなかったし、働き口さえあればどこだっていい。

生きていくだけでぎりぎり精一杯、彼らは若さ以外何も持っていないのでした。

冒頭、石炭工場の、蓋を開けて並ぶ溶鉱炉の中の燃えさかる炎は、これから始まる

物語を禍々しく暗示するかのような、容赦のない地獄の業火を思わせるのです。

 

あてのない三人は、テキサスの広大な麦畑に辿り着き、裕福で孤独な農場主チャック

( サム・シェパード ) のもとで麦の刈り入れ作業の季節労働に加わります。

日の出から日没まで刈り続ける今までと同様の、「 代わりはいくらでもいた 」過酷

労働からいつかは抜け出したいビリーは、偶然にチャックが病のため余命一年と

知り、( ビリーの妹と偽っている ) アビーに惹かれるチャックからの、刈り入れ作業

の終了後もここに残ってほしいという申し出を、三人一緒だったらという条件で受け

容れるようアビーに促します。さらに、チャックからの結婚の申し込みも、一年間辛抱

した( その後は全てを手に入れることが出来るだろうから )・・・と、説得するの

でした。

 

 

テキサスの広大な麦畑にびっしりと育っている麦の穂が一斉に揺れ、麦畑の上には果

しのない空。大地と空、その二つが接するところに建つ農場主の館の奇妙な終末感。

「 大空 」 と書くのとはどうも違う、、、そうですね、、 「 大空 」 からイメージでき

る牧歌的な平和を無言で拒否する、宇宙的なスケールでの大気圏というような、、、

絶対の静けさです。

この、まるで神がいて、神が創造したと表現したくなるような圧倒的な物理の光景は、

監督テレンス・マリックの、作品の時代の光への究極のこだわりを実現したシネマフォ

トグラファー、ネストール・アルメンドロスの最高の撮影技術によるものです。

徹底的なリアリティを追求し、特に屋外でのいくつかのシーンの撮影は、” 魔法の時間

( マジックアワー ) ” と呼ばれる、日が沈んでから夜の帳が降りるまでの間の時間帯

に行われたとのこと。

 

 

「 明るさが残っているのは20分ほどの間なので、 〈 略 〉そうしたわずかな 時間

においては、光はまさに魔法の趣を呈し、そこでは、もはや光がどこからくるのか

わからず、太陽は姿を消し、しかし空は明るく澄みわたって、しかも大気の青は不思

議な変化を遂げてゆくのだ。」

( ネストール・アルメンドロス著『 キャメラを持った男 』筑摩書房刊 より )

 

 

人工的な照明を当たり前に使うハリウッドスタイルではなく、屋外の撮影は勿論、

屋内のシーンでも窓からの光のみで撮影され、その美しさたるや息を呑む、まさに。

淡く幽玄なる色調が ” 本物 ” であることからくる情緒がこれほど凄い説得力を持つ

ものなのだと知りました。

映画全体を柔らかでありながら人知を越えたスケール感、荘厳な気配で満たすのです。

 

農場は、イナゴに襲われ一瞬で全ての収穫を奪われ、そしてビリーもアビーもリンダ

も、チャックもいなくなる。

観ていると、無力感、寂寥感、言葉に出来ない哀しみに胸を打たれてしまいます。

創造主・サムシング グレートの領域で、ちっぽけな人間がもがいている。

抗うことなどできない自然の理の中で、運命すらちっぽけ。あっぱれ、何事も

なかったように過ぎてゆくのでした。

 

タイトルの 『 天国の日々 』 が指すのは、持たざる者であったビリーとアビー、リンダ

の三人が、収穫期を終えてからの農場にて、持つ者であるけれど家族も恋人もいなか

ったチャックとともに仮初めの ” 家族 ” のように過ごした短い日々のことなのでしょ

う。生まれて初めて働くことなく贅沢な生活を、たとえそれが偽物であったとしても

味わったけれど、長く続くことは決してなかった、神の采配の掟によって。

天国とか地獄とか、神とか、そんな宗教的な言葉でしか言い表せないような深い情感

と感動に満ちた、やはり世紀の名作といわれることに納得でした。

 

最後に、

物語は、11歳の妹・アビーの淡々とした語りで進むのですが、全ては ” 過去形 ” な

のです。そこがねえ・・・とても胸が締め付けられるのでした。ああ。

 

 

 

明日金曜日は、パスキューアイランド・パン販売の日。

飛び石連休の今年のG.W. 、お天気模様もまあ、まぁ、ってとこでしょうか。

10度台後半の気温のようです、お花見にはちょっと防寒の工夫もいるかな?

それでも、お休みは良いですね!のんびりと過ごしたいものです。

のんびりの休日用に、明日もこんがりと焼けた丸いパンを山盛りにして、

みなさまのご来店を、お待ちしております!!

 

 

グラハム粉の丸いプチパン

1個 150yen

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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