迷子の警察音楽隊






先月、蠍座にて観ました。

いい映画でした。

観終わって、無意識に微笑んでしまっているような、そんな、感じ。

観てからこんなに時間が経っているのだけれど、

今手元にあるこの映画のチラシの、

彼ら ” 迷子になっちゃった、アレキサンドリア(!)警察音楽隊員たち ” の

真っ青な制服姿での横一列並びのシーンを見ると、またまたクスリッと笑いが

漏れてしまうのですもの。

決して笑わせる事に主眼を置いた作品ではないのですが、おかしいの!

エジプト男達 ( 迷子 ) は、ものすごい口下手。

特に隊長が頑固・生真面目の超堅物で、以下隊員たちも内気でうすらぼんやりで。

なかに一人だけ全員左を向いてる時に右を向いているのっぽの若造がいて、

トラブルメーカーなんだけれど彼のおかしさったらありませぬ。

今、思い出しちゃって、また笑ってます、私。アハハ。

物語は、

エジプトの警察音楽隊が文化交流のためにイスラエルにやってきた、

でも、行き先をなんだか知らないけど間違えちゃって、

辺鄙なド田舎の町のカフェにたどりつき、

その店の姉御肌の女主人に助けられてなんとか全員一泊、

その、たった一夜の出来事のお話、です。

この一夜に、見ず知らず同士が、それはそれはぎこちなく対話するんです。

そうです、「 対話 」 なんです。

お互いに顔を見て、お話するのです。

エジプトとイスラエルって、国同士がかなり険悪な仲なのですよね。

神様が違うし、言葉も違う。

お互いにたどたどしい英語で、まったく弾まない会話を ぼそり、ぼそり、と。

なにを話してよいのやら、、、ぼそり。

ああ、気まずい、、、えーとお、ぼそり。

なにしろ、その場を取り繕うようなからっぽなおしゃべりで、

表面上だけ和やかにやり過ごす、という今日的日本的な技は

全く持ち合わせていないんですよ、この人たちは。

電子メールで、じゃなく、”ケータイ”で、 でもなく、

生身の相手と、時間を共にして 場を同じくして、「 話す 」 ということ。

ただ、その、人間的な確かさ、暖かさ、

その事だけを描いた、味わい深い一編でしたねえ。

それぞれが、それぞれに それぞれのいろんな想いを通り抜けて終わった

長くて短い一夜が明けて。

彼らエジプト警察音楽隊は、正しい目的地に到着、無事演奏をスタート。

隊員たちの演奏をバックに朗々と歌い上げる頑固隊長の節回しの哀切よ!!

エジプトおとこ、ここにあり、というかんじ!


予想以上にジーンときて。

私にとって、大切な映画のひとつになりました。

そう、一番だいじ、は、テクニックではなくて、まごころ・・・・・

忘れないようにしたいものです。





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