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レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

フランス史の顔

2010-06-16 15:09:34 | 歴史
 中野京子『名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語』 光文社新書
 すでにベストセラーの『ハプスブルク家 12の物語』の姉妹編。
 史実のだいたいの流れは知っているが、新たに知って驚いたこと
・マリー・ド・メディシスに関して。アンリ4世の2度目の妃。まえの妃マルゴが、スキャンダラスな評判はあれど華やかな存在だったことに対して、二人目は魅力の点でかなり劣るとは読んだことがあった。しかし、そのぱっとしない自分をヨイショしまくる連作をルーベンスに描かせたとは。
・ヨーロッパ近代史で刑死した君主といえば、イングランドのチャールズ1世、フランスのルイ16世、ロシアのニコライ2世。  ルイ16世が、先代から負債を引き継いだチャールズ1世と共通項を感じて英国史の本でよく研究していたので、強圧的な政策はとらずに妥協を重ねたけれど、結果はあの通りだったーー悲しいことである。 この人たちよりもはるかに憎々しい王はいくらもいるだろうに。

 ルイ14世がアポロンに扮した図、私はこれを見ると、美空ひばりを思わずにはいられない。いちど倒れてからあとの復活記念リサイタルのときの、まるで宝塚のフィナーレに近いようなハデハデの衣装。
 アウグストゥスも(まだその名前を得てない時期だろうが)アポロンのコスプレをしたことがあるというけど、もっとまともな衣装であったと思いたいものである(マエケナスがノリノリでプロデュースしていそうだ)。この人も背が低いので高底サンダルはいてたという。ルイ14世は、ハイヒールで脚線美を誇示していた。
 まぁ、実質独裁でも市民の代表者の建前を貫いて、個人的に質素だった人と、
これでもかとばかりにド派手に権威をみせつけて目立ちまくった人とではかなりの隔たりがあるが。

 前後して出た、佐藤賢一 『フランス革命の肖像』 集英社新書ビジュアル版。
 巨漢でデブ(そして醜男)ミラボーの項で、
「『三銃士』のポルトス然り、『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン然り、現代フランスの名優ジェラール・ドゥパルデュー然りで、かかる身体的特徴こそフランス人が痺れる男の、ひとつの典型なのだというから、やはり単なる醜男では片づけられない」
 だいぶ共通点のあるダントンの肖像はまるでブルドッグのようである。木原さんが『杖と翼』で描いていたダントンは中々特徴を生かしていたのだ(味のあるキャラであった)と愉快である。
 ところで名前の挙がっている俳優ジェラール・ドパルデユューは、私は『アステリクス』実写で初めて見た、あれも巨漢デブのキャラ。『仮面の男』(脚色はげしいとはいえ一応『三銃士』だ)でポルトス演ったし、私は見てないけどジャン・バルジャンにも、そしてダントンにも扮している。違和感のない配役なのだろう。
 タレーランは端整な優男で、くえない策士で、『ローマ』で青年オクタをクールに演じたサイモン・ウッズが少し年くってから演ったらきっと似合うと思う。見たいな~。
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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (サラ)
2010-06-17 20:21:21
>ルイ14世がアポロンに扮した図、

頭上に放射線状に開いた椰子の葉っぱを飾り付けたようなあの扮装でしょうか?
どこが太陽神なのかよくわからないシロモノの。
当時はあの紛争でオーライだったと思うと、美式の差も理解しがたいものです。

>もっとまともな衣装であったと思いたいものである

トーガはまとわず、キーアイテムの竪琴を持つ程度ですませてくれて十分アポロンですよ、この人は。

返信する
容姿だけは (レーヌス)
2010-06-18 17:11:22
>頭上に放射線状に開いた椰子の葉っぱを飾り付けたようなあの扮装

 そうです。本屋で目に入ったら、83ページをご覧ください。

 概して地味なアウちゃんの「唯一華やかなセールスポイント」が美貌ですからね。
 中身はアポロンよりもだいぶ賢明なことは間違いありませんが。
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