レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

『大奥』18巻

2020-07-06 16:11:37 | マンガ
『大奥』18巻
 14代将軍家茂が人柄がよく慕われていたことは史実であり、このよしなが版でも、健気さに泣けてくる。母に愛されず孤独であった和宮(の替え玉、女)と心が通い合い、でも上京したまま帰らぬ人に。動かせない展開とはいえ悲しい。
 慶喜は、頭はいいけど性格の悪い奴として描かれていて、15代将軍時代にはあまりページを割かないですましている。
 「続きは近日発売のメロディで!」にはノってやることにしている(たまにはマンガ雑誌を買いたいし)。もう鳥羽伏見が終わった。「錦の御旗」におののいて慶喜が江戸に逃げてきた。「十月十一日」と書いてあるのは「一月」のミスだよね?

 瀧川が勝から英語を習うシーンで、「この英語という言語の明快さはなんなのだ!?オランダ語のように動詞が分離することが無いではないか!?そして名詞に男性女性の区別もなく定冠詞はtheの一語のみとは!恐るべき合理性だ・・・!」
 福沢諭吉の映画でのオランダ語学習のシーンで、オランダ語には英語と共通で時制の一致があり(ドイツ語はない)、ドイツ語と共通で副文の定動詞後置があることを知った。『大奥』で、オランダ語にも進行形がある(ドイツ語はない)ことを知った。
 こういうのは楽しい。

 瀧川の「私のように江戸市中どころか城の外に出る事もめったにかなわぬ身には異国の言葉に触れるのは旅のようなものでな」は、たいへん斬新に見えた。現代人の大半は、少なくとも英語を学ぶ者は、接する機会がある(かもしれない)からこそ学ぶ必要に迫られてやっているのだろうけど、息抜き、旅気分での外国語学習とは。

 次で最終巻。一般的な史実へとつなげるのだろうけど、まだなにか驚きの幕引きが待っているのだろうか。
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