レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

クジランと藤本さんの新刊

2009-11-19 05:45:31 | 
 このごろ本屋で見た新刊で、歴史絡みであり読みたくはなった本。

 鯨統一郎『空海 七つの奇蹟』『タイムスリップ忠臣蔵』
 新書ノベルスの棚で。クジランは歴史上の人物に絡んだミステリーをよく書いていて、「タイムスリップ」シリーズはもう6冊目。現代人が過去へ行くときと、逆に先方が現代へ来る場合とある。
 手にしたところ、『忠臣蔵』は、吉良が討たれずに「生類憐みの令」が続いてしまっているという状態を変えるために奔走するという設定であるらしい。--もっとも私は、あの事件に関してはむしろ吉良サイドに同情的である。

 藤本ひとみ『アンジェリク』

 このタイトルを見たときに思ったのはーー藤本さんは『三銃士』のアレンジをやったこともあるけど、『アンジェリク』もか?版権が切れるほど昔の作品でもないはずだが?  結局、勘違いであったが。オビにはこう書いてある(アマゾンからのコピー):
 1789年7月。アルプスに近い国境、城砦司令官の娘アンジェリクは、パリの寄宿学校に通う従弟から革命の話を聞く。密かに憧れていた美貌の貴族青年との結婚が間近に迫っている時だった。その夜突然、城砦を民衆が襲う。炎の中ですべてを失ったアンジェリクは、凶悪犯として投獄されていた少年と共にパリを目指した。家も、仕事もないままに犯罪者の仲間に身を落とし、婚約者の行方を探すが…。革命の渦中を生きる人々の愛憎と成長を精緻な筆致で描き出す筆者渾身の書き下ろし傑作長編ロマン。

 なんだかいろいろとほうふつさせるなぁ。いまどきは、ゲーム『アンジェリーク』のほうが知られているだろうけど、17世紀フランス(のちにはアメリカ)を舞台にしたS&A・ゴロンによる現代フランスの大河小説『アンジェリク』(木原敏江によるマンガ、それに基づいた宝塚上演もあった)も中々ファンがいるし、そちらを思い出す読者が少なくないことは作者にも予想のつくことだと思う。私は、既成作品に似ていること・真似していることをすぐにパクリとあげつらうことには反対の立場をとっているけど、--いや~度胸あるなぁ、とつい思う。面白くてオリジナリティがあることがまずだいじだけど。
 
 これらの小説、図書館に入ったら読もう。
 
 それにしても、藤本さんの本の巻末に載ってる著作リスト、相変わらず、改題したものをそれと明記していないことには怒りを感じる。
 『ウィーンの密使』を『マリー・アントワネットの恋人』なんて俗な題にした先例があるけど、『ハプスブルクの宝剣』は来年宝塚で上演するのでこれは復刊しても変えないだろう。
コメント (6)
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